基本を極めるビジネスの心得
グローバル感覚を備えたビジネスマナー
近年、社会情勢やビジネス環境の変化によって、
ビジネスパーソンにグローバル感覚を備えたビジネスマナーが欠かせなくなっています。
では、現代のビジネスパーソンは、どのような世界共通のマナーを身につけておかなければいけないのでしょうか。
今回は「世界共通のビジネスマナー」をサンプルに挙げながら、最も大切な心構えを紹介します。
 海外進出を実施するその一方で、海外留学生を積極的に採用するなど、日本企業も多くの外国国籍あるいは海外生活の長い人材を登用するケースが増えました。また、外資系企業に採用され、支社のある各国を飛び回っているビジネスパーソンも少なくありません。こういった背景もあって、以前にも増して大切になっているのが、グローバル感覚を備えたビジネスマナーです。
 では、現代のビジネスパーソンは、具体的にはどのようなグローバル感覚のあるマナーを身につけておかなければいけないのでしょうか。表現を変えれば、ビジネスマナーにおけるグローバルスタンダードとはどのようなものでしょうか。
 世界14カ国で展開するあるグローバル企業が、13カ国で実施した「世界共通のビジネスマナー」と題するレポートによると、ビジネスマナーに反していると思う行為の第1位は「不適切な言語の使用」(79%)、第2位は「出社時に挨拶をしない」(77%)、第3位は「部屋の中で大声で話す」(66%)となっています。つまり、どの国でもビジネスパーソンはこのようなことを「不快に感じる」ということです。
 第1位の「不適切な言語の使用」とは、相手の人格を陥れるような表現、セクシャルハラスメントやパワーハラスメント、頭ごなしの命令口調などです。これはどの国でも、まず「言葉づかい」を重視していることの証明です。人権重視の概念が浸透している欧米はもとより、近年脚光をあびている新興国でもこの傾向は強くなっています。
 第2位の「出社時に挨拶をしない」は、社内のコミュニケーションに着目したものです。これは、上司・同僚・部下、パートや派遣スタッフなど、誰に対しても自分から積極的に挨拶をすることが求められているということです。
 第3位の「部屋の中で大声で話す」は、他人の迷惑になるような行為はビジネスマナーに反するということです。
 以上のことをまとめると、グローバル感覚を備えたビジネスパーソンの心得は、次の3つに集約されます。

 これらは拍子抜けするほどシンプルで、ごく当たり前のマナーばかりです。しかしその反面、実際にはできていないケースも多いといえるのではないでしょうか。
 ここで、私がかつて乗務していた飛行機の中や、海外でのビジネス経験でつかんだことを、少しだけ申し上げておきます。それは相手を歓迎する態度や相手に対する好意を表現する「笑顔」と、相手に対する「感謝の言葉」はどの国でも常に不可欠だということです。笑顔と感謝の言葉は世界共通のもので、とりわけ感謝の言葉は相手にハッキリ伝わるように届けることが、ビジネスの潤滑油として、とても重要だと私は確信しています。
 実は、相手がどの国籍の人で、どんな言語を使うのかということはさほど重要ではありません。コミュニケーションの際に大切な心得は、相手の人格を尊重するということに尽きます。これがグローバルスタンダードです。相手の人格を尊重していれば、相手に話しかける言葉も丁寧になり、優しい口調になります。自然に笑顔で接することができ、感謝の言葉も自然と口に出ます。また、自分から積極的に挨拶をするでしょうし、他人の迷惑になるようなことは慎むでしょう。
 こういった世界共通の「基本ルール」を守って相手に接することで、はじめて相手が育った文化に対する理解が自然に生まれてくるのではないでしょうか。
●奉行EXPRESS 2011年春号より