基本を極めるビジネスの心得
段取り&スケジュール管理術のマナー
情報のスピード化が進む現在のビジネスシーンにとって、
マネジメントの三大要素「ヒト・モノ・カネ」に加えて、
もうひとつの要素「トキ」が重要度を増しています。
今回は仕事の成功からワークライフバランスまで、ビジネスパーソンに大きく関わる
「段取り&スケジュール管理術のマナー」を活用したタイムマネジメントについて紹介します。
 仕事において「段取り」とは、目標達成のための最適な手順を意味します。段取り術、いわばタイムマネジメントは、最近のビジネスパーソンにとってもはや欠かせない“マナー”です。そして長引く不況下により、多くの企業は残業を認めにくくなり、就業時間厳守でその日なすべき業務を終了させる必要性が出てきました。また、最近重要視されてきている仕事と家庭(プライベート)の適切なワークライフバランスの維持・改善のためにもタイムマネジメントは必要なのです。
 刻一刻と流れる時間を有効に使えるよう、まずは時間に対する考え方を見直すことから始めてみましょう。
 残業しがち、仕事を持ち帰りがちな人は「この仕事が終わるまでが業務」と認識しています。しかし、これでは「時間はいくらでもある」と思っているようなもの。「就業時間内に仕事を終わらせる」と考えるのが効率アップの第一歩です。これによって1日の業務に「〆切」ができ、各自の課題にも「×月×日×時まで」という日時入りの「〆切」が生まれます。毎日出社したらまず、その日やるべき仕事を明確にするためにリストアップをしましょう。これを〈to doリスト〉といいます。担当する業務をそれぞれ「最優先」「優先」「通常」という風に分類して視覚化し、優先順位を明確にします。
 私の場合は毎朝、出社するとコルクボードにその日やるべき仕事を書き出します。コルクボードを縦に三分割し、今週やるべき仕事を右端、今日やるべき仕事を真ん中、左端には今日のスケジュールというカテゴリに分けて、それぞれに仕事内容を書いた付箋を貼っていきます。その日の仕事率を左右する大切な作業ですから毎朝必ず5〜10分は使っています。左端のスケジュールをこなしながら真ん中(本日分)の仕事から終わらせ、ちょっとした隙間が空けば右端(今週分)の仕事を真ん中へ昇格させて、どんどん片付けていきます。その結果、真ん中、右、左の順で仕事が効率よく消化されていきます。出張などで外出しているときには同じ作業を手帳のノートスペースを使って整理します。そのため手帳はあえて白場の多いものを選んでいます。
 タイムマネジメントでは「時間の使い方」も重要です。出社してすぐメールチェックをする人は多いはず。1通や2通の返信ならすぐに書けますが、1日に何十通、何百通と届く大量のメールに返信するとそれだけでヘトヘトになります。以前の私もそうでした。あるとき「朝は、何かを生み出す仕事に使ったほうがいいんだよ」と、ファーストクラスに搭乗された作家の方が教えてくださいました。ファーストクラスのお客様のほとんどの方が早起きで、朝をクリエイティブな時間に充てているようです。睡眠で疲労を回復した脳の使い方として見習う点は多いですね。以来、私は朝のメールチェックでまず「至急」と「普通」と「捨てる」の3つに分けています。そのうち「至急」だけに返信して処理済フォルダへ移動させ、その他は未処理フォルダへ移動させます。午前中は資料作成や打ち合わせ、会議など、頭を使う仕事に専念します。午後は教える仕事に集中し、その日の夜に残りのメールを返信します。
 タイムマネジメントのマナーで大切なのは、「(1)業務に必ず期日を付けて」「(2)優先順位を明確にし」「(3)パフォーマンスを最大化できるタイミングで働く」こと。今日から少しずつ実践してみてくださいね。
●奉行EXPRESS 2011年冬号より