基本を極めるビジネスの心得
言葉づかいや言い方によって信頼度も向上 良好な関係を崩さない「断り方」のマナー
上司や先輩から頼まれた会社の仕事は拒否できません。
社会人は業務以外でも、上司や取引先から飲み会やパーティに誘われることもあります。
しかし、どちらの場合も重要な仕事や用事などが入っているときは断らざるを得ませんよね。
そこで今回は、このような状況に直面したときに役立つ、角が立たず良好な関係を崩さない「断り方のマナー」を紹介します。
 上司や先輩から仕事を頼まれた部下や後輩にとって、それは会社のミッションと同じこと。たとえ相手が同年代や年下の上司であったとしても、無条件に従うのが心得ですが、仕事が立て込んでいるときに急用を言いつけられたり、帰宅しようとしたときに残業を頼まれたりしたときは、断ろうかどうか迷いますよね。それは「断ったら相手が気分を害するのではないだろうか」と不安を抱くからです。そこで今回は、角を立てず、相手との良好な関係を保ったまま仕事の依頼を断るマナーを紹介しましょう。
 仕事が立て込んでいるときの急な依頼には、「大変申し訳ございませんが」あるいは「お役に立ちたいのは山々ですが」とクッション言葉を用いたあとで、「現在○○の案件の業務で手一杯になっており、すぐに対応することができません」と現状を正確に伝えましょう。帰宅しようとしたときに残業を頼まれたときは、「大変申し訳ないのですが、今日はかなり前から約束をしている学生時代の先輩との先約が入っており、どうしても断れないため、残業することができません」と、用事が入っていることをきちんと伝えて断りましょう。私用の内容を告げたくない場合は「大切な用事」と言えば大丈夫です。また、仕事の納期に猶予がある場合なら、「明日早朝に出社して仕上げても結構でしょうか」と代替案を提示すると相手は好印象を抱きます。
 上記のケースでの断り方のポイントは、(1)敬語で話すこと(2)申し訳ない気持ちを伝えること(3)できない理由をきちんと説明すること。相手に対して「そういう状況なら仕方がない」と納得してもらうことが肝心です。
 派遣社員やパートタイマーが社員から急な仕事を依頼された場合は、前述のように断るのではなく、「社員の○○さんから本日は××の仕事をするよう指示があり、現在その業務に就いておりますが、仕事の優先順位はいかがいたしましょうか」と、会社から指示されている仕事内容を説明するのが得策です。そうすれば急用を依頼した社員と管理者とが相談し、本人に急な仕事を依頼するか否かを決定してくれるでしょう。
 一方、社会人は上司や取引先から飲み方やパーティに誘われることがあります。どうしても断らなければならないときは、次の3つのポイントをおさえておきましょう。
断り方の心得3つのポイント
 例えば、「誘っていただき嬉しいのですが、本日(その日は)はどうしても断れない用事がございまして出席できません。次の機会にこれに懲りずにどうか誘ってください」と伝えましょう。結婚式やパーティの場合、返答を先延ばしすると、座席や料理の人数を予約できなくなるので早めに断るようにしましょう。  「断り方」の上手なビジネスパーソンは、コミュニケーション能力の高い人です。相手の立場や気持ちを理解したうえで、丁寧に断れる人が嫌われることはありませんし、断られた相手が気分を害することもないでしょう。むしろ「自己主張のできる人物」と高評価を得られます。Yesというだけがビジネスではありません。上手な断り方のマナーこそ信頼につながるのです。
●奉行EXPRESS 2010年春号より