会社を元気にする「見える化」とは?(2)
会社名:株式会社プログレスパートナーズ
投稿者名:執行役員 ディレクター 坂口兼一
〜誰がどこまで見るのか?〜
   
 
今こそ戦略会計を実施するとき!その必要性とは?

自分の会社の「見える化」の現状に不満を感じていらっしゃる経営者の方がいらっしゃるとしたら、次のポイントについて確認してみてください。

  • 「見える化」(=事業遂行上の事実の収集)の単位は、全社合計だけ? 事業部毎?
    製品または製品グループ毎?
  • 「見える化」(=事業遂行上の事実の収集)の範囲は、本社地区のみ? 
    地方の営業所を含む法人としての本社全体? 子会社を含むグループ企業全体?
  • 「見える化」(=事業遂行上の事実の収集)によって得た情報の分析や改善を実施する責任者が明確になっている?


【図2】は、「見える化」のあるべき体系を表現したものです。商品企画から保守サービスまでの各事業プロセスは、どれかひとつ欠けても商売が成り立ちません。この機能連携全体を事業と呼びます。各事業プロセスには必ず管理者がいて、担当する業務の遂行責任を負っています。この方たちを機能責任者と言います。

それに対して、製品や製品グループあるいは複数の製品の開発や製造を担当する事業部などを戦略的な事業遂行管理単位として、それぞれに責任者を配置します。この方たちを事業責任者と言います。事業責任者は事業遂行上の戦略を立案して機能責任者に通達するとともに、これを達成するための各事業プロセスの役割と目標を明確にします。

事業責任者および機能責任者は、こうして策定された目標どおりに事業が遂行されているかを確認するために、「見える化」(=事業遂行上の事実の収集)が必要となります。事業責任者は詳細な情報よりも、事業全体を俯瞰(ふかん)できるような情報を欲することでしょう。そのためには事業遂行プロセス全体から情報を収集する必要があります。例えばその中に独立子会社化した製造会社や販社が含まれていたとすると、無論それらの会社も情報収集対象となります。

それに対して、機能責任者は自身の責任範囲内の詳細情報を欲するでしょう。しかしながら、事業全体の目標達成度を確実なものにしたいなら、機能責任者にも事業全体を俯瞰(ふかん)できる情報を提供して”事業の中の自分の位置づけ”を認識させることが重要です。この点からも「見える化」は常に事業全体をカバーしてなければならないことを理解いただけると思います。

私どもがコンサルティング活動を行う中で、改善ポイントとして指摘することが一番多い点はこの事業責任と機能責任の明確化です。分社化が積極的に行なわれた際に、これが機能の一部委譲にも関わらずあたかも事業遂行上の意思決定権限もいっしょに委譲したように勘違いしている企業が非常に多いと感じています。そのために、事業責任者不在 もしくは事業責任者がいても事業遂行に関わる意思決定情報が集まるような環境が整備されていないのだと思います。