会社を元気にする「見える化」とは?(1)
会社名:株式会社プログレスパートナーズ
投稿者名:執行役員 ディレクター 坂口兼一
〜うちには見える化は必要ない?〜
   
 
今こそ戦略会計を実施するとき!その必要性とは?

『うちのような規模の会社には「経営の見える化」なんて関係ないよ』

中小企業の経営者からはこんな声が聞こえそうです。
「見える化」という言葉が、大企業向けの複雑な経営管理システムを連想させるのでしょうか?
でも、そうではありません。
私は、「見える化」とは、事業遂行上の意思決定に必要な事実を把握することだと考えます。
そうすると「見える化」は会社の規模に関わらず必要なものだと理解できるでしょう。

では、経営者はどのような状況になったときに「見える化」を意識し始めねばならないのでしょう? 
先にも述べたとおり「見える化」が『意思決定に必要な事実を把握すること』であれば、そのために経営者がどのような行動を取るかという視点で考えてみましょう。


事業遂行環境

図1に簡単な事業遂行環境を3パターン記述してみました。
(1)の場合、経営者は必要なときに現場に足を運び、自身の目と関係者への質問で”事実”を確認する事ができるでしょう。まさに、現場主義に基づく「見える化」を実践できる環境だと思います。

生産量が増えてきたため本社直轄の工場を増設したというのが(2)の場合です。
増設した工場が近距離にある場合は(1)の場合と同様に経営者自らが現場に足を運んで”事実”を確認することができるでしょう。
しかし、これが遠方にある場合は経営者のペースで”事実”を確認することが難しくなってきます。
そうすると、定期的な会議・電話連絡・電子メール等の手段によって情報を集めなければなりません。
その時に大切なのは、どのような情報を どのような形で報告させるかということです。
事業遂行上の意思決定を行なうために必要な事実を収集するのですから、入手する情報から課題を発見したり、疑問点がクリアになるようにしなければなりません。
このように、経営者が他人に自分の必要とする情報を求めねばならなくなったときにはじめて「見える化」を意識するのではないでしょうか?

さらに事業規模が拡大して、(3)のように一部の機能を遠方に分散したり、独立法人化したりすると「見える化」に関する方針を明確に打ち出さねばならなくなります。
分散した機能組織や子会社にはその組織機能を統括する責任者がいるので、親会社の経営者にとっては情報収集階層が一段階増えて、タイムリー性や網羅性が確保しにくくなってしまいます。

何度も繰り返しますが、「見える化」とは事業遂行上の意思決定に必要な事実を収集することです。であれば、収集する事実は事業全体を対象としてポイントをついたものでなければなりません。多すぎる情報に振り回されるだけの非効率的な経営管理環境を作ってしまうことになります。このようなことも念頭において、改めて皆様の会社における「見える化」のあるべき姿について考えてみませんか?