備えと智恵が必要な「雨の日のマナー」
「ゲリラ豪雨」という言葉が定着して久しい近年、
確かに予期せぬ突然の豪雨に見舞われることが多くなりました。
しかし、自然気象ばかりは誰もコントロールできません。
雨の日でも普段通りに自分も周囲も気持ち良く過ごすことができる
「備え」と「知恵」を持つことが求められます。

不快感を回避・解消
  雨の日は傘や荷物で手がふさがっているため、可動域が制限されて身体的に負担がかかります。おまけに視界が暗くなり、気分まで落ち込んでしまいます。そうなると自分の不快感を回避・解消しようと、つい自分本位の行動をとってしまいがちですが、自分本位の行動はビジネスマナーにとっては好ましくありません。“雨の日のマナー”で優先すべきは、周囲の不快感を回避・解消することです。

常に配慮を心がける
 まずは「傘の使用マナー」です。傘を開く時、周りに気を配っていますか。故意ではなくても、傘を当てられたら誰でも不快に思うものです。突然の雨でも慌てることなく周囲を見渡し、自分の斜め横、あるいは下に向け、傘を開いてから上げましょう。傘を閉じる時も周囲の確認が必要です。傘についた水滴は多少なりとも飛び跳ねてしまうため、自分の頭上でゆっくり閉じながら人のいない斜め横に向けて静かに閉じながら下ろします。
 閉じた後の傘の扱いにも十分な配慮が必要です。会社を訪問する際や打ち合わせで店舗を利用する際、入口では邪魔にならない場所で立ち止まり、傘に付着した雨水をしっかり取り除き、雨水吸水用の機械が設置されている場合は必ず利用します。どんなに急いでいてもこれを適当に済ませてはいけません。雨水が傘についたままだと水滴が落ちて床が汚れますし、滑りやすくなりとても危険です。傘立てがあればそこに傘を置いて中に入りますが、傘立てがない場所もあるので、濡れた傘を入れるビニール袋や傘ケースを傘と一緒に携帯しておくと便利です。また、電車やバス、タクシーに乗車する前も、人気のない場所で傘の水気をしっかり払い、他の乗客に傘が触れないよう気をつけましょう。

見られている雨の日の対応力
 次は「身だしなみ」です。傘をさしていても服やカバン、髪の毛は濡れてしまいます。傘の使用マナー同様に、タオルやハンカチなどで水気をきちんと処理します。また、髪の毛の乱れにも注意してみてください。湿気でペタッとしていたり、広がっていたりしては印象も良くありません。水をはじきやすいワックスを毛先になじませてヘアスプレーで固めて崩れを抑え、長い髪はヘアゴムでまとめたり、顔周りの髪の毛をピンなどで留めておいたりすると全体的にスッキリします。出勤前やお客様に会う前は、鏡を見ながら水分で型崩れした服や乱れた髪を整えるようにしましょう。雨の日の対応力は、「どんな変化にも対応できる仕事のできる人」という印象を与えてくれます


 雨の日に来社されたお客様には真っ先に、「お足もとの悪い中、ご足労をいただき誠にありがとうございます」「雨が相当降っておりますね」などの言葉をかけましょう。私が実践する工夫としては、お客様が衣類やカバンの水滴を拭けるよう、携帯用のキッチンペーパーを常に準備しています。本来ならばタオルが良いのかもしれませんが、気兼ねなく使っていただけるよう、使い捨てのものをお出ししています。
 飲み物を出す前には、暖かい季節であっても雨に濡れて寒さを感じているかもしれませんので、 「温かい飲み物と冷たい飲み物、どちらがよろしいでしょうか」とお聞きし、エアコンの温度を適宜調整する配慮も忘れずに行いたいですね。
●奉行EXPRESS 2015年夏号より