体調が悪くなった時の「早退時のマナー」
日頃から体調管理には最善の注意と予防を心がけることが大切です。
しかし、疲労の蓄積や環境の変化で体調を崩す時もあります。
誰しも体調不良を100%防ぐことはできないのです。
そこで今回は、仕事中に具合が悪くなり、早退を余儀なくされる場合に備えて
覚えておきたい早退時のマナーをご紹介します。

自己の判断基準はNG
 早退時のマナーにおいて念頭に入れておきたいことは、「早退の判断基準」です。ひと口に体調不良と言っても、「少し頭が痛くなった」とか「悪寒がしてきた」程度なら今すぐに早退するほどではないはずです。ましてや「上司に注意されて気落ちしたから」「二日酔いでフラフラだから」といった理由の早退は許されません。
 体調不良の感じ方は人それぞれですが、ビジネスマナーでは、「高熱で意識が朦朧とする」「会話ができないくらい咳がひどい」など、「仕事にならないような体調になったら」というのが早退の判断基準となります。仕事にならない状態、つまりミスなどをして社内や取引先に迷惑をかけてしまう可能性が高くなった場合が目安になると言えます。歯を食いしばって頑張って仕事を続けても、周りが迷惑に感じてしまうなら意味がありません。そういった場合は、できる限り速やかに早退するようにしましょう。

自分の都合で迷惑をかけない
 自分の中で「早退する」と決めても、それを断定的にしてはいけません。まずは上司に「体調が悪いので、失礼してもよろしいでしょうか」とお伺いを立てます。これはあくまで相談ですので、詳細な症状をきちんと説明して返事を待ちます。上司の許可を得たら、続いて仕事の確認を行います。早退をするほど体調が悪いのですから、一刻も早く帰りたいところですが、その日に予定していた仕事をそのまま放置して帰ってしまっては大問題です。社内外でのアポイントメントなどをもう一度確かめましょう。
 社外の取引先との約束が入っている場合は、日程を変更するか、約束の内容が代役でも構わない場合は社内の誰かに出席してもらいましょう。その役目を担ってくれそうな人がいるようであれば、まずはその人に相談をし、それから上司や先輩、関係者に承諾を得るようにします。その際、資料等が必要な場合はそれを忘れずに渡しておきます。絶対にこちらの都合で先方に迷惑をかけることのないようにしましょう。
 社内の会議や打ち合わせについては、代役を立てるほどではないかもしれませんが、関係する人たちにひと声かけておくことがマナーです。

円滑に早退できる環境づくり
 ビジネスの早退マナーで最も重要なことは周囲への配慮です。上司や同僚、取引先などが早退を承諾してくれたなら、しっかりと感謝の気持ちを持ち、後日体調が回復して出勤をしたら、社内ですぐに顔を合わせられる人たちには面と向かって、会う時間がすぐには取れない上司や取引先にはメールでもかまわないので、忘れずにお礼とお詫びの気持ちを伝えましょう。
 誰しも、いつ体調不良になるか予測はできません。いざという時に円滑に早退ができる人間関係を日頃から築いておくことも大切です。


 自分の場合だけでなく、同僚の具合が悪そうだと感じたら、そっと声をかけて気遣いましょう。後輩が体調不良のようだったら、先んじて上司にその旨を伝えてあげるのも先輩としての心得です。もしもあなたが早退を許可する上役の立場にいるならば、誠意をもって早退を望む部下の相談をなるべく快く承諾してあげましょう。そうすれば自分が逆の立場になった時でも、周囲の人たちが早退を促してくれ、協力してくれるはずです。「早退マナーの基本は、人間関係にあり」ということを、ぜひ覚えておいてください。
●奉行EXPRESS 2015年春号より