基本を極めるビジネスの心得
ビジネス会話のマナーを磨いて観察力・傾聴力・会話力をつけよう!
仕事の良好な関係を築き上げていくために必要不可欠な「ビジネス会話」。
このマナーを守り、能力を磨くことが、ビジネスの成否を分けるといっても過言ではありません。
では、いかにして“ビジネス会話力”をアップしていけば良いのでしょうか。
私が国際線客室乗務員の仕事を通じて学んできた、ビジネス会話の磨き方をご紹介します。
 どんなにIT技術が進歩しても、人と人との関係を作り上げるのは会話を中心としたリアルな対人コミュニケーションです。ビジネスの人間関係も、このリアルなコミュニケーションがあってこそ成り立つもの。だからこそ、ビジネス会話がとても重要になります。ビジネス会話の力を磨くことは、ビジネスの力を磨くことと同じとも言えるでしょう。ビジネス会話の力を磨くためには、「観察力」「傾聴力」「会話力」を磨いていかなくてはなりません。それぞれのポイントを交えてお伝えします。
 まず「観察力」。会話をする相手の特徴を見抜き、どう対処していけば良いか、というものです。相手をジロジロ見回すのは失礼に当たりますし、ずっと視線を外さないままでいると圧迫感を与えることになってしまいます。機内の仕事の中で私は、相手の足を見る観察テクニックを身につけました。お客様がCAと話すことに苦痛を感じている時、その足はたいてい外側を向いていました。反対に、会話に前向きな時は、足は真っすぐ相手に正対しているのです。機内に限らずどんな場面にも同じような光景が見られました。顔の表情にプラスして“足の表情”も観察することで相手の心理を読み取ってみてください。ポジティブな精神状態の人にはこちらもテンションを高くし、事細かに会話を展開しても良いでしょう。一方でネガティブな状態の人には、なるべく端的に会話を構成し、回答は後日にするなど配慮が必要です。
 次に「傾聴力」。相手の話に耳を傾け、何を言いたいかを理解する力です。私はCA時代に、お客様のお話を伺う際、胸から眉間にかけてのオーパールゾーンを見るよう心がけていました。これにより、柔らかでしっかり聞こうとする真摯な姿勢を伝えることができ、好感度アップにつながります。また、話を聞く際に適度なうなずきは必要ですが、速く、何度もうなずかれると、相手としては急かされているように感じてしまいます。「早く終わってほしいと思われているのではないか」と不快感を抱かれかねないので注意しましょう。うなずく時は、深く、ゆっくりと、を心がけてください。
 最後に「会話力」。聞き出したいことを相手に話させ、聞き出す力です。相手が言いたいことを引き出すために、相手にリラックスしてもらうテクニックが効果的です。相手のことを褒めたり、こちらも褒めてもらったり、お互いの共通点を話題にしてみたり。すると自然と笑顔がこぼれ、リラックスした雰囲気が漂います。リラックスすれば相手も心を開きやすくなり、話したいこともすんなりと話してくれます。
 こちらから相手にどのように話すかも重要なポイントです。私は会話をする際、簡単なフレーズで答えていただける質問を心がけています。YesやNoで答えられる質問(クローズドクエスチョン)では、話しが続かないからです。会話が末広がりに続くオープンクエスチョンがポイントです。また、相手とのアイコンタクトは、主語が「私」や「弊社」、「貴社」や「お客様」などの2人称までの場合と、文末に限るようにしています。それ以外は手元の資料やパソコンか、胸の高さに視線を向けます。「観察力」でも触れましたが、過度なアイコンタクトはビジネス会話のマナー違反になります。不自然で圧迫感を与えてしまうからです。
 「観察力」「傾聴力」「会話力」を磨くことでビジネス会話の力は格段にアップします。これに加えて、相手をリスペクトすることを必ず心に留めておきましょう。
●奉行EXPRESS 2013年春号より