基本を極めるビジネスの心得
スムーズな会議を妨げない進行のマナー
どんな会社でも何らかの会議を行うものです。会議によって会社は前進し、成長していきます。会議とはそれくらい重要な存在です。
しかし、その参加者の発言や態度次第では、会議はスムーズに進行できず、会社の前進・成長どころか、マイナスにすらなってしまいかねません。そうならないために、“会議のマナー”は必要不可欠です。
 ひと口に「会議」といっても、その種類は様々です。社内で行われる会議もあれば、取引先の社員と行う会議もあります。また社内の会議にも、部署別だったり、プロジェクト別だったりと千差万別です。
 そもそも会議とは、「情報」もしくは「問題」に対する報告・連絡・相談(=ホウレンソウ)を行い、その共有化を図るためのものです。ところが、会議の進行を、発言や態度によって妨げる参加者がいると、これら会議の目的をうまく達成できずに終わってしまいます。だからこそ会議にもマナーが欠かせないのです。
 社内で行われる会議の場合、基本的には毎日顔を合わせている社員同士が参加者となります。顔や名前はもちろん、性格や能力、あるいはプライベートな部分も含めて、お互いに“人となり”を良く知っている者同士です。特に部署別やプロジェクト別などで行う会議の場合、常に行動を共にしている社員同士ということも珍しくありません。そのため変に気を遣い合うこともなく、忌憚の無い意見を言い合える、活発な会議にもなりえます。そのような会議は、会社にとって非常に実りあるものになることでしょう。反面、何でも言い合えるがゆえに、単なる悪口のような意見が出たり、批判されて不貞腐れた態度を見せる社員が現れたり、時には掴み合い、殴り合いなどに発展してしまうことすらあります。これでは会議はスムーズに進行するはずがありません。
 会議に臨む際のマナーとして何よりも大切なのは、「個人的な意見はOK」であるが、「個人的な感情はNG」であるということです。会議はプライベートな場ではありません。あくまでも仕事として行われるものです。仕事に私情を持ち込んではいけないのがビジネスの鉄則です。
 批判や非難をされれば、人間誰しも腹が立ったり、悔しかったり、傷ついてしまうものです。しかし、それを会議の場で出してはいけません。腹が立ち、悔しいならば、自分の意見をしっかり相手に伝えること。傷ついて泣いてしまうなど、社会人としては恥ずかしい行為です。会議のマナーとして、「自分の感情をしっかりコントロールすること」を忘れずに。
 感情をうまくコントロールしているつもりでも、知らず知らずのうちに会議の進行を妨げてしまっていることがあります。それは、「人の話を最後まで聞かない」ことが原因となるものです。あなたは会議で、誰かの発言が終わるのを最後まで待っているでしょうか。その発言に対して意見や反論がある場合でも、最後まで発言が終わるのを待つことは会議の大切なマナーです。人の話を最後まで聞き、自分が話すのはその後です。このマナーを守らない人が一人でもいると、会議の進行はスムーズにいきません。
 会議が始まる前に参加者同士で声を掛け合い、会議のルールとして規定するのも良策です。加えて、発言がある場合は必ず挙手をするというルールも効果的です。ただし、人の発言中に挙手をしないようルール化する必要もあります。私が会議の際に行っているやり方をご紹介しましょう。(1)アジェンダを作る、(2)終了時間を決める、(3)質疑応答は最後に行う、(4)「いつまでに」「誰が」「何をやる」でしめる、以上の4点です。アジェンダを作ることで、参加者はその流れに沿って思考を巡らせるので、会議がより円滑になる効果があります。そして終了時間を決めることで、参加者の時間を無駄にしないという決意表明にもなります。これにより参加者は安心感を抱き、ダラダラとした結論の出ない進行を避けることができます。会議でもっとも重要なのは「いつまでに、誰が、何をやる」ことです。ここを最後に確認し合うことで、とても良い会議となるでしょう。
●奉行EXPRESS 2013年冬号より