基本を極めるビジネスの心得
初対面の相手に好印象を与えるためのマナー
ビジネスパーソンにとって、4月は新しい出会いが増える時期。
初めて顔を合わせる取引先の担当者や新規の営業先には、できるだけ良い印象を持ってもらいたいものですよね。
実はこの第一印象次第で、ビジネスの成否が決まるといっても過言ではありません。
では、どうしたら初対面で好印象を持ってもらえるのでしょうか。そのテクニックをご紹介します。
 3月が別れの季節なら、4月は出会いの季節です。新しい部署に配属されたり、新入社員や異動してきた上司と顔を合わせたり、取引先の担当者が新しい人に代わったり…。4月は、ビジネスパーソンにも数多くの新たな出会いが待っています。
 この新たな出会いに、ビジネスパーソンとしてはできる限り相手に好印象を与えておきたいものですよね。特に、取引先や新規営業先の担当者には、より良い印象を持ってもらえるよう心がけなくてはなりません。
 自社の人間なら、初対面の印象があまり良くなかったとしても、毎日顔を合わせ、共に仕事を重ねるうちに印象を大きく変えていくことができるでしょう。しかし、取引先と接する時間は限られています。新規営業先の場合、初対面だけで終わってしまうこともあり得るでしょう。だからこそ、第一印象を最大限良くする必要があるのです。
 アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱する「メラビアンの法則」というものがあります。これは、初対面の印象を分析したものです。

 あなたが素晴らしい商品やサービスを用意して営業先を訪ねても、その話の中身が7%しか相手に伝わらないのであれば、商談の成否は明らかです。初対面の段階では、商品やサービスの内容よりも、あなた自身の“視覚情報”と“聴覚情報”に対して好印象を持ってもらうことが大切です。
 相手がまず見るのは「顔」です。髪型やヒゲ、女性ならメイクなどに注意を払い、自分の顔に清潔感を持たせるようにしましょう。顔の印象で大きなポイントとなるのが「表情」です。過度なつくり笑いを見せる必要はありませんが、やはり口角の上がった爽やかな笑顔の人は好印象を持たれやすくなります。服装や靴、カバンなども派手すぎず、清潔感があるものを心がけると、あなたに対する信頼度がグッと上がります。髪形や化粧、服装などに関して、たとえ自分好みでなくても、仕事相手に好印象を与える見た目に徹することも時には必要です。
 “視覚情報”が整えられたら、次は“聴覚情報”です。声のボリュームは、大きすぎても小さすぎても印象を悪くしてしまいます。うまく抑揚をつけた、バランスの良い大きさを心がけてください。初対面だと互いに緊張や牽制をし合い、会話に詰まる場合も少なくありません。相手の会社のことはもちろん、業界全体に関しても調べておくと会話が膨らみます。また、時事や流行、スポーツなどの話題もあらかじめ用意しておきましょう。ネタは、テレビやラジオ、新聞、雑誌、インターネットなど、様々なところに転がっています。
 私の仕事は「話す」ことが大きなウェイトを占めますが、私は相手の話を「聞く」よう努めています。「話す」が二割で、「聞く」が八割といったところでしょうか。特に初対面の人の場合、相手から一方的に話されると良い印象が持ちづらくなり、話をあまり聞いてくれません。反対に、相手の話を良く聞くことで好印象を与えれば、こちらの話も聞いてくれるものです。ビジネスの場でも、まずは聞き役に回ることによって、初対面の相手の印象が格段に良くなります。
●奉行EXPRESS 2012年春号より