上司や取引先の自宅に招待されたら、まずは、当日着ていく服の準備から。男性であればスーツ、女性も清潔感のある服装を心がけてください。パーティドレスなど、露出の多いものは避けましょう。
服装が決まったら、次は手土産の準備です。訪問する上司や取引先の相手だけでなく、訪問先の家族のことも考えるのがポイント。小さい子供のいる家庭ならば、子供用と大人用それぞれの手土産を準備するのもよいでしょう。ここで注意をしなくてはならないのは、手土産の購入場所です。訪問先の近所や最寄り駅付近で買うのは礼儀に欠けます。
会話の内容も準備しておくと安心です。実際には準備した会話のとおりに進まないことも多いのですが、ある程度「こういったことを話そう」と“ネタ”を考えておけば、当日、会話に困ることもないでしょう。
さて、訪問当日。仕事でアポイントの時間に遅れるのは厳禁ですが、自宅訪問の場合は数分〜5分程度遅れて到着するのがマナーです。というのも、先方も掃除や料理など準備に追われていることが想定されるためです。
到着したらチャイムを鳴らし、玄関に入ります。冬場は、コートなど上着を脱いで玄関に入るのが昔からのマナーではありますが、最近は玄関に入って先方に「お上がりください」と言われてから脱ぐのが主流です。
玄関に入ったら、ドアの閉め方に注意。体は正面を向いたまま、斜め後ろを振り返るようにしてそっと閉めるようにしましょう。それから、「本日はお招きいただきありがとうございます」と挨拶をします。ここで手土産は渡しません。ただし、生花や冷蔵庫へ入れる必要がある食べ物の場合は早々に渡してしまいましょう。靴を脱ぐ際も、先方にお尻を向けるのはNG。正面を向いたままで靴を脱いで上がり、スリッパを履いたら膝をつき、脱いだ靴の先を玄関へ向けて、手早く隅に置きましょう。
部屋に通されたら、改めてご挨拶。それから、部屋の中や住宅の周辺環境などを大げさすぎない程度に褒めましょう。通された部屋が和室であれば、まずは下座に、座布団からは外れて座ります。洋室であれば、ひとまず立ったままでいます。そして、手土産を渡してください。このとき、「つまらないものですが」などと言う必要はありません。一言添えるなら、「ささやかなもので恐縮ですが」「お口に合うとよろしいのですが」といったあたりにしておきましょう。
酒席が始まったら、用意してもらった料理やお酒をおいしくいただきましょう。遠慮をしすぎて料理やお酒に手をつけないでいると、先方もがっかりするものです。出されたものは、基本的にすべて平らげましょう。
酒席が進んだら、次に気にかけるべきは「おいとま」のタイミングです。帰る時間は、あらかじめ先方に伝えておくようにします。そして、その時間が来たら、こちらから「そろそろ失礼します」と帰る旨を切り出します。
玄関で脱いだスリッパは、相手のほうに向き直して脇に置きます。それから挨拶をして玄関を出るわけですが、上着は玄関を出てから着用するのがマナーです。
上司や取引先の自宅に招かれたら、緊張感も大切ですが、気を遣いすぎることはありません。招かれたことを心から喜んでいる、この酒席をすごく楽しんでいる、それを先方に伝えることが一番のマナーです。
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