奉行にプラスワン
手形がなくなる?話題のファクタリングとは?
 取引先が増え、取引規模が大きくなれば企業の収益は増えます。収益向上に合わせて資金も増加といきたいところ。信用取引がメインの企業では、取引先の増加は未回収債権の増加につながりキャッシュ・フローを悪化させる要因に…。キャッシュ・フローが重要視される中、債権を早期に資金化できるファクタリングが導入されるケースが増えてきました。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権を、金融機関をはじめとしたファクタリング会社に譲渡・売却し、ファクタリング会社が債権回収を代行するサービスのこと。日本では近年、大企業を中心に手形決済の廃止や事務処理の効率化といった財務体質の転換を図る動きの一環として急速に発展してきました。最近では、支払側企業にもメリットのある「一括ファクタリング」を積極的に取り入れる動きも出てきており、大手企業が取引先の中小企業を巻き込む形で利用するケースが増加しています。
ファクタリングを導入することは大手にとってだけメリットがあるのではなく、中小をはじめ多くの企業に財務面、事務処理面の双方で多くのメリットをもたらします。
最も大きなメリットとしては、売掛債権の早期資金化によるキャッシュ・フローの改善と、売掛債権のオフバランス化による経営指標の向上です。キャッシュ・フロー悪化の原因である売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで資金が生み出され、借入金の返済などに充てることで、バランスシート(貸借対照表)をスリム化できるのです。
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この他、ファクタリングには、取引先の倒産などによる「貸倒リスクの回避」や与信・信用調査をファクタリング会社が代行する「信用調査機能」などがあります。償還請求権なしで売掛債権を譲渡し、ファクタリング会社に貸倒リスクを負担させることができます。また信用調査の代行があるので、新規顧客開拓がきちんと行えるという面も中小企業には大きなメリットと言えるでしょう。
事務処理面でも、手形取引からファクタリングへの移行で、現物の手形証券の管理や、取立手数料が不要になるほか、領収書発行不要、印紙代節約や割引手数料が割安になるなどのコストメリットにもつながります。
しかしながら、ファクタリングを導入したい、もしくは導入を迫られている企業にとってファクタリング特有の管理業務は手間であり、奉行シリーズと併せた運用はできないかという要望もありました。「ファクタリングの達人21」は、勘定奉行及び商奉行と連動、仕訳データや入金伝票の作成が可能です。また、ファクタリング会社別・支払企業別・入金銀行別など、管理資料の活用で債権管理を効率化します。企業間取引にファクタリング導入が進む中、債権管理のシステム化は有効な選択肢となってくるのではないでしょうか。
ファクタリングの達人21
ファクタリングのメリットを最大限引き出すには、事務処理面での対応も必要です。
ファクタリング特有の処理まで対応しているので、安心して利用できます!
Text : 吹上 正洋(ふきあげ まさひろ)
会計業務ソフトの導入指導を通じて培った経理実務ノウハウに定評があり、業務ソフト解説書も多数出版。会計実務講座、パソコン財務会計主任者試験の指導も行う。企業管理部門のコンサルタントとしても活躍中。
●奉行EXPRESS 2006年夏号より