特集:Windows XPのサポート終了に向けた具体的な準備そろそろ本格的に始めませんか?
Windows XPのサポートが終了するとどうなるの?
サポート終了に向けユーザーがすべきこととは
 日本時間の2014年4月9日、長きに渡ったWindow XPのサポートが終了します。01年のWindows XP発売以降、ウィンドウズOSは、Windows Vista(06年)、Windows 7(09年)、Windows 8(12年)とリリースされてきました。米国の調査会社によるウィンドウズOSユーザーの内訳を見ると、現在はWindows 7が台頭しているものの、今もなお4割以上をWindows XPが占めているという結果が出ています。奉行ユーザーのアンケート結果を見ても、奉行シリーズの運用OSの実に5割以上がWindows XPとなっています。
 しかしサポートが終了するとなると、状況は一変、使用を継続することも見直しが必要になります。見直しが必要な理由をおさらいしましょう。
新OSに移行する必要性
問題発生時の対応ができない
電話やメールによるサポート、関連情報の提供が終了。パソコン故障時の原因究明や迅速な対応が難しくなります。
更新プログラムができず最新の状態に保てない
最新の状態にアップデートする更新プログラムが提供されず、プログラムの実行に不具合などが生じる可能性があります。
脆弱性を突いたウイルス感染の恐れ
セキュリティ更新プログラムの提供終了によるウイルスやマルウェアの感染リスクが増大します。安全なIT環境の維持に問題が生じます。
関連製品のサポート終了による使用制限
サポート終了に伴い、ウイルス定義ファイルや周辺機器のドライバーの提供が終了の可能性大。各メーカーによるサポートが受けられない、あるいは使用できなくなる恐れがあります。
※一部例外があります。詳しくは各メーカーにお問い合わせください。
互換性の不具合で起こる業務の停滞(新OS移行後の注意点)
新OSを業務で使用するためには、単に移行を完了しただけでは不完全です。周辺機器の実行やソフトウェアの動作など確認が必要です。互換性はあるものでも、不具合の可能性は否定できません。
● Office 2003のサポートも同時に終了
業務を行ううえでなくてはならないオフィスソフトのOffice 2003が、Windows XPと同様、2014年4月9日(日本時間)にサポート期間満了を迎えます。Office 2003で作成したファイルは、アップグレードの対象となるOffice 2010との互換性はあるものの、レイアウトや表示の微妙なズレ、動作の不具合が発生する可能性があるため、確認作業が必要になります。また、意外と盲点なのがセキュリティ面です。Officeの脆弱性を突いたウイルスには、ソフトのマクロプログラムによって感染を広げるマクロウイルスがあります。ファイルの閲覧や電子メールでのやり取りが日常的に行われる企業活動では、自社他社を問わず、感染の危険性が高くなります。

● バージョンアップ必須のInternet Explorer
調べものや情報交換、データのやり取りなど、インターネットは言うまでもなく、業務も業務以外でも、日常の中にあるものとなりましたが、気をつけなければいけないのがウイルス感染やパソコンで悪さをするプログラムの侵入です。新種のウイルスは毎日増加、様々な問題を起こしており、ウイルスやマルウェア感染による被害は企業にとっても死活問題となります。感染を未然に防ぐためには、インターネットを閲覧するブラウザのセキュリティを常に最新に保つことが第一歩です。古い状態でブラウザを使い続けるとその脆弱性を突かれ、閲覧・クリックしただけで感染したり、標的にされてしまったりするケースが発生します。最新のセキュリティに対応したブラウザは対応OSが限られているので、セキュリティを固めるためにも、OSのサポートが終了する前の対策が必要です。
新OS移行のスケジュールをシミュレート
まずはロードマップで大枠を把握する
 「サポートが終了しても、OSが稼働しないという訳ではないし、コストは極力かけたくない。別に新しいOSに移行する必要はないのでは?」。このような意見もあるでしょう。しかし前頁で挙げたリスクは、かえって大きな代償を払う結果になりかねません。サポートが終了したWindows XPを使い続けるより、新しいOSに乗り換える方がはるかに賢い選択です。「新OS移行への必要性は理解できたが、自社にITの専任者がいないし、何から始めてよいかイマイチわからない」。特にIT専任者を持たない中小企業では、このような不安を抱えているのが実情です。ですが、移行の着手は早いことに越したことはありません。まずは、大まかなスケジュールモデルとロードマップをつかんでおきましょう。
新OS移行を成功させるためには早めの着手を
 新OSへの移行を完了するまでには、検討、発注、展開、検証作業など、思った以上に多くの工程と時間を費やします。また、法改正・税制の変更などによる導入コストの変動も予測され、スケジュールの遅延、不測のトラブル発生等を考慮すると、余裕を持ったスケジュールを組み、今すぐ移行準備に着手することが成功へのステップと言えます。
新OS移行へのロードマップ
● 新OSには何を選ぶ?
現在主流のWindows 7か、最新のWindows 8か――。Windows XPから新OSに移行する場合、選択肢はこの2つです。Windows 7は現在発売されている多くのパソコンに搭載されており、Windows XPからの乗り換えもしやすいのが特長で、ウィンドウズOSのユーザーも半数近くがこちらのOSを使用しています。一方、Windows 8はタッチ操作を前提として設計されたシステムですが、マウスもキーボードも従来通り使えるので、Windows XPからの移行も何ら問題はありません。サポート期間や、パソコンからタブレット端末へシフトするIT環境を考えれば、後者の選択が望まれます。

● おさらい! セキュリティ更新プログラムとは?
各種ソフトウェアのセキュリティ関連の脆弱性を修正するために提供される修正プログラムです。定期的に提供されるものだけでなく、脆弱性の深刻度に応じ緊急的に提供されるものもあり、常にコンピュータを最新の状態に保ってくれます。脆弱性を修正しない状態でインターネットに接続すると、ウイルス感染や情報漏洩などのリスクを伴う場合があります。
システム環境の方向性をイメージしながら検討する
企業規模や将来性、導入期間やコストも考慮
 前項では導入スケジュールモデルを紹介しました。ここでは自社に合った「新OS導入スタイル」を検討していきます。
 新OS導入と一口に言っても、企業ごとにそのスタイルは異なります。新OSを搭載した新しいパソコンを最小限に抑えて導入するか、自社全体のIT環境を刷新するのか、自社におけるシステム環境の展望はどうなっているのか、新OS導入の予算はどのくらいなのか…。このスタイルが定まらないままに導入を進めてしまうと、本当に導入や更新が必要なものを見誤ってしまったり、スケジュールが延び延びになってしまうかもしれません。しっかりとこれからのシステム環境の方向性をイメージしながら、業務も含めた様々な面を考慮した計画作りが新OS移行を成功させる鍵です。
 今回、検討モデルとして2パターンを紹介します。1つ目はWindows XPからの新OS搭載の新たなパソコンを導入する「ベーシックスタイル」。そして2つ目が、パソコンをはじめ、サーバや周辺機器も含めた刷新など、システム全体を刷新する「アッパースタイル」です。それぞれの特長をまとめました。
ベーシックスタイルの場合
周辺機器はそのままに新OS搭載のパソコンを新調しグレードアップを図る
 ベーシックスタイルは、新OS搭載のパソコンを新調するスタイルです。コストを最小限に抑えたい、移行に費やす時間に余裕がないなど、即席型の移行に向いています。ただし、使用中のハードウェア・ソフトウェアが新OSでもきちんと作動するかの確認が必要です。前述の通り、Windows XPのサポートが終了すると同時に、対応していたソフトウェアのサポートも終了する場合があるので、移行した後になって使えなくなってしまったり、トラブルに対応できなくなってしまったりする可能性があります。使用しているソフトウェアのメーカー等に問い合わせをし、新OS移行後について確認をとっておきます。同時に互換性も確認し、操作の仕方は変わらないか変わるのか、ファイルの扱いはどうなるのかなど、導入後の環境をしっかりと把握しておきましょう。

アッパースタイルの場合
新OSへの移行を機に自社のシステム全般を刷新。現状維持ではない将来性の高い選択
 アッパースタイルはパソコン、サーバ、ソフトウェアなど自社のシステムを一新するスタイルです。もちろん“一気に”とはいかないまでも、“徐々に”を含め、企業のIT環境を最新の状態にしていきます。
 新OSを標準搭載したパソコンへの移行後は、今まで使用していたソフトウェアが正常に作動するか確認が必要ですが、最新版のソフトウェアを購入していれば、新環境の動作も安心です。周辺機器についても最新OSに対応したものを選択しておけば検証は最小限に抑えられます。特にサーバに関しては、企業の中枢を担うマシンです。現在のサーバは、本体の大きさも小さく、サポートや監視サービスなども充実していて、社内に管理者を置かなくても容易に運用可能です。企業活動に大きく貢献することでしょう。
マイクロソフトの特設サイトを活用しよう!
 マイクロソフトでは特設サイトを用意し、新OSへのスムーズな移行を支援しています。サポート終了に伴うリスクや、新OSの解説、購入キャンペーン、移行支援パートナーの紹介など、欲しい情報が掲載されているほか、導入計画策定支援サービスも行われています。
◎マイクロソフト特設サイト
安全な破棄・下取りで情報漏洩を防ぐ
 ハードウェアを処分する際は、環境への配慮や、情報漏洩を防ぐために安全な方法で破棄することが企業の責務として求められています。現在は処分にかかる費用が無料の廃品回収会社やリサイクルショップも増えてきましたが、中には情報を抜き取り売買する悪質業者も存在します。信頼できる業者に依頼するのはもちろん、データの完全削除も検討し、情報が残ったまま外部に出回らないように十分注意しましょう。マイクロソフトの正式契約を交わしたリサイクル業者による安全な破棄・下取りサービスもあります。参考までに検討してみてはいかがでしょうか。
◎マイクロソフトによる破棄・下取りに関する情報
basic style
 サポート終了までに何とか新OSに切り替えたい――。Windows XPのサポート終了まで1年を切ってしまった今、新OSを導入するか否かをじっくりと吟味している余裕は正直なところありません。ましてやIT専任者や専門部署を持たない企業にとっては、切り替え作業を本来の業務と並行して行うことになります。本来の業務に支障をきたさずサポート終了までに新OSを導入するためには、ここではあえて「とりあえず」という妥協も必要です。
 また、将来的にはITを最新にしていくにしても、初期費用を抑えなければならないなど、投資額が限られている場合、新OSを搭載したパソコンを最小台数で導入するベーシックスタイルでの計画を立てることになります。ただ、新しいOSを搭載したパソコンが今まで使用していた周辺機器やソフトウェアに影響することも考えられるので、初期の購入費用以外にもコストがかかることを理解しておかなければなりません。
ベーシックスタイルはこんな企業の選択肢
IT専任者・IT専門部署が不在で、担当者は本来の業務と並行してIT導入計画を立てている
Windows XPのサポート終了までには新OSに切り替えたいが、時間的な制限があり対応が不十分になりかねない
将来的なシステム全般の刷新をする予定はあるが、現状では最小限の新パソコン導入をするつもりだ
新パソコンの運用状況を見ながら、必要に応じて周辺機器やソフトウェアを導入していきたい
新パソコンへの切り替えにかかるコストは理解しているものの、ITへの投資額は最小限に抑えたい

プラスポイント
「新OSに切り替える」という明確な目標で
社内の意思統一や目的意識の共有がしやすい
あれもこれも変えるとなると、どこから手をつけてよいか、どのシステムからどのような段取りで変えていけばよいかなど、スケジュール管理が長期化・複雑化してしまい、社員にとっても負担がかかり、業務の中断も発生します。「新OS搭載のパソコンを最小限新調する」という目標が明確になると、社内の理解も進むと同時に、スケジュール管理もスムーズにいく可能性が高まります。また、「Windows XPのサポートが終了し、様々なリスクが発生する。だから新OS搭載の新パソコンに切り替える」というシンプルな内容で、社内の意思統一や目的を共有もしやすくなります。

マイナスポイント
比較的低コストで導入できるが
OS刷新に伴う影響で手間増・コスト増にもなりかねない
新OS搭載のパソコンを最小限の導入するということで、比較的初期費用は抑えられますが、Windows XPのサポート終了に伴い、セキュリティソフトや業務支援ツールなど、ソフトウェアのサポートも終了することが予想されます。ハードウェアも同様に、新OSには対応していないこともあるため、切り替えに伴い、現行機の使用が制限される可能性があります。動作確認の作業が発生し、手間が増えてしまったり、予想以上にコストがかさんでしまったりということも考えなくてはなりません。

マイナスポイント
新OS搭載のパソコンへの切り替えで
運用開始後に問題が浮上する可能性あり
OSを変えるだけでは運用・活用には不十分な部分も多く存在します。Windows XPと新OSとでは、画面表示のサイズやフォントなど、機能面で小さな差異が現れます。バージョンの異なるファイルについては、互換性はあるものの、小さな誤差も出てしまうこともあり、これが大きなミスにつながってしまう可能性も否定できません。初期費用は抑えられても、運用してみると、あれもこれもと追加購入しなければならなくなる事態も考えられます。新しいOSの導入が完了しても運用がうまくいくとは限らないのです。

プラスポイント
運用状況を見ながらシステムのリニューアルを検討
必要に応じた対応策がとりやすい
IT環境全般を一新しようとすると、運用後の検証・調整に大変な労力とコストがかかります。一方、OSのリニューアルから進めた場合、その都度、稼働状況や業務上の運用状況を確認しながら微調整や追加購入ができるので、その時の自社の状況に合わせて臨機応変に修正ができます。ITトレンドや法改正など、システムを取り巻く環境はめまぐるしく変化します。初めからガチガチに固めてしまうと、柔軟な対応も取りづらくなるので、新OSで試運転を行ってから、本格的な自社のIT環境を見直すのもよいでしょう。
basic style
 ここで言うフルモデルチェンジとは、新OS搭載のパソコンを筆頭に、サーバ、プリンタ、外付けHDDなどの周辺機器のほか、オフィスソフト(Office 2010もしくはOffice 2013)、セキュリティソフト、業務ソフトなどのソフトウェアまでを一新することです。この投資はそれなりの額になりますが、10年以上前のIT環境をリニューアルすることは、確実に自社のIT力が格段にアップする結果をもたらします。
 マイクロソフトの最新OSは、皆さんもご存じの「Windows 8」です。Windows 8の特長は、現在ビジネスシーンにも浸透しているタブレット端末やスマートフォンで使われているタッチ操作を前提に設計されていることです。今までのOSとは異なり、直感的な操作性で、タイルと呼ばれる画面は大きく見やすくなっています。パソコンの出荷台数が減少する中で、タブレット端末の出荷台数は急激に伸びており、タブレット端末を活用するビジネスパーソンも増えています。今後、ビジネスで主流のデバイスとなるタブレットの利用を考えていれば、選びたいのはやはりWindows 8です。
アッパースタイルはこんな企業の選択肢
新OSへの移行と同時に自社のIT環境を見直し、ハードウェア・ソフトウェアともにリニューアルをかけたい
ビジネスシーンで主流になりつつあるタブレット端末の導入を考えており、それらを活用できるツールをそろえたい
IT戦略を自社の展望のひとつと考え、ある程度の投資を行う予定を組んでいる
新OS導入に伴い、拠点間のネットワーク化を図ったり、サーバを導入したり、新たな可能性を広げたい
あらゆるシーンでセキュリティを強化したい
● サーバ導入で社内ネットワークを活用するなら「信頼性」がキーワード
安心して使用できる堅牢な筐体、何かトラブルが起こっても即対応してくれるサポート体制、部品の異常があってもすぐに供給できる体制など、業務を止めないための準備が整っていることは、サーバに求められる高い信頼性といえます。
奉行ユーザーから7年連続No.1に選ばれた富士通が提供するPCサーバ「PRIMERGY」は、奉行ユーザーも納得の業務を止めない高信頼性が自慢です。

プラスポイント
投資額は高くなるが見返りは大きい
購入キャンペーンを活用すればお得にゲットできる
IT全般をリニューアルするとなると、それなりの投資額を積まなければなりませんが、これは費用対効果の高い投資となりえます。ただし、展望のないままのフルモデルチェンジは、せっかく最新のITを投入しても機能を使いこなせないままで終わってしまうことも考えられるため、導入にあたっては、社内全体のIT力を高めるなどの努力も必要になります。IT専任者がいない企業でもマイクロソフトでは、Windows XPのサポート終了に伴うWindows 8購入の促進キャンペーンやオンラインセミナー、操作に関する支援などを行っているので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
◎マイクロソフトの中堅中小企業向け情報サイト「MSBC」

マイナスポイント
多機能がゆえに使いこなせない可能性も
社員のIT知識の向上が課題
ITの進化スピードはますます速まり、搭載される機能の数は増え、性能も格段に高まりました。ですが、それらの機能全てを使いこなすのは至難の業です。「どんな機能があるのかよくわかっていない」、「機能がたくさんあるのはいいが、実際に使っている機能は限られている」など、日常業務で使用する機能は限定的なのが本音でしょう。新OS導入には、各社員のIT知識の向上が不可欠です。昔と異なり、不要な高機能化はメーカー側でも行わない傾向にありますが、新機能は覚えてしまえば格段に効率があがるものが多いので、これを機会に一気に覚えてしまうのも良いでしょう。

プラスポイント
将来性があり時代のニーズや変化に即対応
新OS対応が前提でトラブルも最小限に留まる
IT全般を刷新する意義は、「単にサポートが終了するから変える」のではなく、「自社の将来を考えたIT投資」です。このような前提で取り組んだIT投資は、時代のニーズや変化に対応しやすく、スピード感もあります。また、OSのみを変える場合と比べ、新OS対応のハードウェア・ソフトウェアをそろえているため、新OSに対応しているかどうかを確認する手間も省けます。これは安心して稼働・運用できるという大きなメリットです。

プラスポイント
不具合が生じても手厚いサポートで問題解決も迅速
安心して本来の業務に打ち込める
新OS対応の周辺機器やソフトウェアなら、サポート期間も長く、安心して利用できます。Windows 8の延長サポート期間は2023年1月までで、今購入すれば約10年間は保証されます。皆さんも経験があると思いますが、ITの不具合は非常に業務を妨げる厄介な事態です。復旧までに時間がかかってしまうと、重要な取引に影響が出たり、顧客に迷惑をかけてしまったりと、悪影響が懸念されますし、これにより重大なミスや信用問題に発展し、経営レベルでの打撃をこうむることになります。アッパースタイルであれば、安心して業務に打ち込めます。

OBCホームページでも別視点で特集を掲載! 7月中旬に公開予定です。
●奉行EXPRESS 2013年夏号より [→目次へ戻る]