頭のスパイス 心のビタミン BOOKS

頭のスパイスBOOK 頭のスパイスBOOK
ビジネスに役立つ選りすぐりの一冊
銀行支店長、走る

著者:江上 剛
実業之日本社
1,680円(税込)
 東京の下町にある、はやぶさ銀行T支店の支店長が突然いなくなった──!?
 貞務(さだむ)定男は、同期で同窓の人事を取り仕切る専務・久木原善彦からの命を受け、「T支店の秘密を探ってほしい」という言葉と共に、新たな支店長としてT支店に赴任します。久々の現場に赴いた貞務は、着任早々T支店に違和感を持ち始めます。誰もが嘘をついているような、何かを隠しているような。気になることは放っておけない性格の貞務は、その違和感を探ろうと行動に出ますが、忠告するかのように帰宅途中に襲われてしまいます。
 T支店最大の不良債権先にもかかわらず、誰も何も策を講じないアパレル会社の謎、実体のない会社への巨額の融資、はやぶさ銀行内部で起こる旧大海洋銀行と旧丸和銀行との派閥争い、銀行と政界と裏社会との関係…。そして、T支店前支店長は一体どこに? 貞務は明るみになっていく大きな秘密に、仲間と共に挑んでいきます。
 絡み合う伏線、出世や欲に捉われた人々の心理、銀行内部に蔓延る影、時折引用する貞務の「孫子の兵法」など、読みどころ満載です。
心のビタミンBOOK 心のビタミンBOOK
疲れた心を満たす良質の一冊
夢を売る男

著者:百田尚樹
太田出版
1,470円(税込)
 かつて大手出版社で編集長を務めたこともある牛河原勘治。今は三流出版社の丸栄社に身を置く編集部長です。しかし彼の敏腕ぶりは半端ではありません。そして彼こそが“夢を売る男”なのです。
 彼が夢を売る相手、それは丸栄社にとっての「カモ」。自信満々で自分には才能があると信じ、それに気づかれないのは世間が馬鹿だからと考える自己顕示欲の強い人たちです。牛河原は彼らの自尊心をくすぐり、著者と出版社が費用を折半するジョイント・プレスという方法で本の出版を持ちかけます。根拠のない自信にあふれたビッグマウスのフリーター、周りのママ友を見下すプライドの高い主婦、一部上場企業の商社に勤めていた自意識過剰な初老の男性。牛河原は彼らの性格、生活状況、所持金などを踏まえ、巧みな話術を駆使し、高額な見積もりを提示します。彼らは高い金額をふっかけられながらも、「本を出版する」という形でそれぞれの欲望を満たしていきます。
 詐欺のように見える牛河原の行動も、一方で夢を実現に導く“人助け”とも言えます。文学界や出版業界に苦言を呈する牛河原の鋭い視点にも注目です。
ベストセラー 2013年6月4日 トーハン調べ
    ■単行本・文芸
  • 暦物語[西尾維新/講談社]
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年[村上春樹/文藝春秋]
  • 海賊とよばれた男(上・下)[百田尚樹/講談社]
  • 心[姜尚中/集英社]
  • 夢幻花[東野圭吾/PHP研究所]
    ■単行本・ビジネス
  • 雑談力が上がる話し方 30秒でうちとける会話のルール[齋藤 孝/ダイヤモンド社]
  • 伝え方が9割[佐々木圭一/ダイヤモンド社]
  • 統計学が最強の学問である データ社会を生き抜くための武器と教養[西内 啓/ダイヤモンド社]
  • 「アベノミクス」の真相[浜 矩子/中経出版]
  • 人生はワンチャンス! 「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法[水野敬也、長沼直樹/文響社]
●奉行EXPRESS 2013年夏号より [→目次へ戻る]