気遣いで差が出る「ビジネスランチのマナー」
朝食や夕食はプライベートの場がほとんどでも、
昼食はたいてい仕事の合間にやってきます。
お昼休みとして気ままに楽しむことができればよいのですが、
取引先、上司、先輩などとランチを共にする場合はそうもいきません。
知っておくと安心なビジネスランチのマナーを紹介します。

謙虚な姿勢を持つこと
会社員のランチは「1時間が相場」と決まっているため、誘う側も誘われる側も比較的気軽に構えることができます。また、ランチの方がディナーよりもリーズナブルであることや、アルコール抜きでしっかり話し合えるメリットもあり、ここ数年、ビジネスランチを重視する人が増えているようです。これはつまりビジネスランチが大きなチャンスになり得ると同時に、マナーを考えずに挑むとビジネスパーソンとして命取りになりかねないことを意味しています。
 まずは取引先や上司の方からランチを誘われた時のマナーです。どうしても外せない予定が入っていない限り、基本的には断らないのがルールです。この時、「嬉しいです。是非ご一緒したいのですが」と謙虚な姿勢で受けると相手に好印象を与えられます。どうしても断らなければならない場合は、誘いに対するお礼を述べた上で、「残念ながらどうしても断れない先約が入っております。大変申し訳ございませんが、またの機会に是非ともお願いいたします」といった具合に丁寧に断りましょう。
 自分から取引先や上司の方を誘う場合は、「もしよろしければ、ランチをご一緒させていただきたいのですが」と無理強いをしない誘い方で声をかけるとよいでしょう。

話すことに重きを置く
ランチでは10分以内に入店できるお店を選び、メニューを選ぶ際は、料理が出てくるまでに時間がかかりそうなものは避けましょう。ランチの時間は限られているので、遅くなると同席者も不安になってしまいます。料理の値段にも留意が必要です。違和感が生じないよう同席者のメニューよりも高すぎず、安すぎずを意識します。そのためにも注文内容は同席者に先に決めてもらうようにします。この時、ニオイの強い料理は避けましょう。ビジネスランチは食べることよりも同席者と話すことに大きな意味があります。口臭のみならず衣類や髪の毛などにニオイがついてしまうと、その後の仕事にも影響が出てしまうからです。
 続いてビジネスランチの会話のマナーについてです。当然、同席者もビジネスの話がしたいと考えているはずです。だからと言って、ランチの初めから終わりまでを延々とビジネストークに費やすのは少々味気ないもの。日常会話を上手にはさむと会話が盛り上がります。この時、天気やスポーツ、政治や経済などといった同席者と直接かかわりのない話題を出してもあまり意味がありません。それよりも、同席者の興味のありそうな話題など、差し支えのない範囲でプライベートなテーマを振りましょう。そうすることで相手はリラックスして心を開き、関係性を親密にするきっかけがつかめます。
 聞き役に徹することも忘れてはなりません。自分がアピールしたいこと、提案したいこともあるかと思いますが、それは同席者に求められてから切り出します。まずは同席者が話したいことを聞くことに集中しましょう。


 会話を交わしながらの食事は意外と難しいもの。話に夢中になって食事が進まなかったり、早く話に集中したくて料理を勢いよく食べてしまったりすることもありますが、食事のスピードは同席者に合わせるのがマナーです。会計の際は、たとえ相手が支払ってくれる場合でも、支払おうとする態度を示し、支払う意思を必ず伝えましょう。
●奉行EXPRESS 2016年春号より