オフィスで気をつけたい「共有スペースの使用マナー」
従業員および来社するお客様全員が使用するオフィスは、全体が共有スペースです。
当然、使用マナーが存在します。
特に注意すべきは、人の出入りが多いスペースでのマナーや、
気が緩みがちな場所での使用マナーです。
社内は“共有スペースである”と改めて意識してみましょう。

オフィスに「人の目」あり
 私が飛行機の客室乗務員として働いていた時、会社の上司や先輩から、「会社から貸与されたバッグを持ったり、制服を着たりして歩く場所はすべて共有スペースだから、常に緊張感を持った振る舞いをするように」と指導を受けました。これは飛行機の中の立ち居振る舞いだけではなく、空港施設や出退勤時の交通機関、自宅周りやステイ先のホテルでさえも、常に「人の目」があるということです。これはオフィスにいても同様で、「人の目」があることを意識 しなければなりません。
 自分のデスクやロッカーは、全て会社の所有物です。そのため、オフィスに「プライベートスペース」は存在しない ことになります。大きな声で雑談をしたり、私語をしたり、若者言葉を使ったりすることはマナー違反。オフィスは全体が共有スペースであり、いつお客様がやってくるかわかりません。できるだけ常に緊張感を保ち、適度な声の大きさと適切な言葉遣いで話すようにしましょう。間違っても部外秘のことを大声で話してはいけません。また、整理整頓を怠らず、きれいに使用することも欠かせないマナーです。

自社であっても緊張感を
 オフィスで最も人の出入りが多いスペースはエントランスやロビーです。自分の会社だからと気を抜いて、ダラダラと歩き、眠そうにあくびを見せたり、感情的な声を発したりするのはNGです。ましてやロビーのソファーに足を投げ出して座る、寝転がるなどは論外です。
 通路・廊下・階段も多くの人たちが出入りする共有スペースです。急いでいる場合でも猛スピードで走ることはせず、せいぜい急ぎ足か小走り程度にとどめ、通常の速さで静かに歩くよう心がけてください。この時、通路の端によって歩くようにしましょう。すれ違う人には軽く会釈をし、自分より前を歩く人を追い抜く場合は「失礼します」と必ずひと言添えるようにします。これは、来社されたお客様だけではなく、社内の人に対しても同じです。

スマートに気を遣う
 エレベーターもまた、共有スペースの意識を強く持っておくべき場所です。エレベーターが来るのを扉の前で待つ時は、扉の脇に立ちましょう。扉の前に立っていると、エレベーターの中にいる人が開くドアと共に目の前に立ちはだかる人に少し驚いたり、不快に思ったりする場合があるからです。
 エレベーターに乗る際は、ほかに乗る人がいる場合は「開」ボタンを押して「どうぞ」と促すのがマナーです。エレベーター内ではできるだけ率先して操作板の前に立ち、同乗者が気持ち良く乗り降りできるようサポートするとスマートです。エレベーターでは同乗者に気を配りつつ、会話は必要最低限にとどめるようにします。


 気が緩みがちなのが、トイレやロッカールームなどの休憩スペースです。オフィスそのものが共有スペースとは言え、常時緊張しているのも辛いのでリラックスすることも必要ですが、これらの場所で私語や噂話を楽しんだり、鏡の前に化粧道具を並べたり、長時間独占するなどの行為は、やはりマナー違反と言えます。休憩スペースではつい気が緩み過ぎてしまいますが、いつ誰が通りかかり、その話を耳にしているかわかりません。オフィスでひと息つく場合でも気の緩みすぎに注意しましょう。「壁に耳あり障子に目あり」。オフィスにも「人の目」と「人の耳」が常にあるのです。
●奉行EXPRESS 2015年秋号より