人の輪をビジネスにつなげる「社外ネットワーク活用法」
世の中には、実に様々な業種、業態、職種、会社があります。
自分の会社を飛び出して、社外の人たちとの交流を深めることは、
ビジネスにおいて、また人間的な部分においても、意義深いものになります。
しかし、闇雲に社外活動を行っては「時間とお金の無駄遣い」です。
今回は効果的な社外ネットワークの活用法をご紹介します。

自らが出会いを求める姿勢を
 経営者や上役の方の場合、特に社外活動を意識しなくても、仕事を通じて、自然と様々な業種・職種の人たちが集まってきます。ですが、その「集まってくる人たち」とだけの交流では、会社、また自身にとって、大きな成長や前進は望めません。経営者や上役たるもの、業界全体のこと、日本全体のこと、そして世界のことと、大枠を考えた行動をとることが必要です。そうなると、自社の業界はもちろん、一見、関係のない業界であっても、その場所で活躍している方々との交流も重要になってきます。そこで、多角的に、かつ経営者や上役ならではの高度な視点で学び合い、知識や情報を共有し合うことが、大きなメリットを生み出す結果をもたらします。
 中小企業では、同じ中小企業同士の交流に加え、専門職の人たちとの交流が大きく役立ってきます。中小企業の場合、様々な理由から、社内だけで補え切れる業務は限られ、経費削減を目的に、専門外の業務までをも社内で補おうとすると、かえって失敗を招く可能性も高くなってしまいます。世間には、「こんなことを専門にしているのか!」と驚くような専門家がたくさんいます。そのような人たちを一人でも多く知っておくことは、中小企業にとっての大きな強みです。異業種交流会、勉強会、研究会などに参加していたり、講師として招かれている方々に接触してみたりするのもよいでしょう。

社外には可能性の扉がある
 一般社員や若手社員にとっても、社外の人たちと接することは、必ず財産になります。趣味やスポーツなどのサークルのような気軽に参加できるものでも、十分なネットワークになります。また、会社が勧めるセミナーをはじめ、興味のあるワークショップや講習会などでも交流が深められます。
 社外のネットワークを構築することは、知識や情報を得ることにつながります。また、社内にはない刺激が得られ、スキルアップにもなり、さらに交流の輪が広がることで、新しい可能性、ステップアップの扉も開かれます。
 私は客室乗務員だった20〜30代、飛行機を利用される経営者層の方々について、少しでも学びたいとの思いで、経済誌の発行元や新聞社が主催するセミナーに通っていました。そこには個人投資家が多く集まり、年齢も職業もバラバラで、企業情報、経済、トレンドなど、社内の会話では決して出てこないような言葉が多く飛び交い、世界観や空気の違いを感じました。そこでの知り合いが増えてくると、そこに来る人たちと会話をするための共通言語が必要になるため、新聞、経済誌、四季報を毎日眺めました。そうしていくうちに、経営者の方とも臆することなく話ができるようになったのです。私は社外活動を通じて、知らない世界を知り、視野が広がり、会話の引き出しが増えました。この収穫は、今の仕事でも大いに役立っています。

ネット交流会を上手に利用
 最近は、SNSなどインターネットを利用したネットワーク作りが盛んです。リアルな場での交流会は、慣れないうちは緊張もしますし、敷居が高いと感じる人もいるかもしれません。実際の交流会への参加に躊躇している、あるいは社外活動の時間がなかなか確保できない場合は、こういった“ネット交流会”を利用してみるのもおすすめです。


 社外の人たちとのネットワーク作りで最も重要なのは、何よりも「継続すること」です。会合には定期的に参加し、顔を合わせない時でも、電話やメールなどでこまめに連絡を取り合うことで関係性が継続できます。そして、社外ネットワークでは、上下関係や損得勘定は考えないようにしましょう。関係や立場はあくまでフラットであり、ギブアンドテイクを忘れないことです。これがお互いの関係を深め、信頼を生み、本当の意味での「仲間」になっていく秘訣です。
●奉行EXPRESS 2014年秋号より