会計ひろば2
ワンストップで迅速なサービスを提供
デューデリジェンス事業やストラクチャー構築に注力
 赤坂共同事務所は、私を含め3人の代表社員によって設立された税理士法人です。現在は東京・港区赤坂のアークヒルズエグゼクティブタワーの4フロアに東京オフィスを構えるほかに、茨城県つくば市につくばオフィス、沖縄県名護市に2009年10月に開設した名護オフィス(赤坂共同BPO)、同一拠点に同年5月に開設した司法書士赤坂共同事務所、9月に開設した社会保険労務士赤坂共同事務所があります。また、関連会社が生命保険会社12社、損害保険会社7社と提携しており、ワンストップなサービスを提供しています。
 業務内容は、大きく2つに分かれています。まず1つ目は、税理士法人の本来的な業務である法人・個人に対する会計・税務業務や企業オーナーの事業継承対策などであり、業務全体の6割を占めています。そして、2つ目が、フィナンシャル・アドバイザリー・サービス。具体的には、M&Aにおける買収対象会社の財務・税務詳細調査(デューデリジェンス業務)やストラクチャー構築のサポート、企業価値の算定、ストックオプションの評価などの諸業務を提供します。このサービスは主に公開会社やそれに準ずるような大規模企業を中心に展開しており、これが業務全体の4割と、多くの割合を占めていることが特長です。
 さらに、これらの柱となる業務をバックアップする形で力を入れ始めているサービスが2つあります。1つがBPO(Business Process Outsourcing)支援であり、もう1つがIT支援です。まず、BPO支援は、クライアント先の業務効率を向上させるために、会計業務や給与計算業務などの一部を代行するアウトソーシングサービスです。このサービスは新設した名護オフィスが専門部隊として担当します。また、同オフィスは、東京事務所の税理士や会計士に対して、記帳代行や支払代行などの経理作業のサポートも担います。こうすることで、東京の税理士や会計士は、クライアントの問題解決や専門的な要請に対応するソリューション部隊の役割に専念できます。
中小企業の経営資源の集中
スピード向上をBPOで支援
 中小企業を取り巻く環境は一昨年来、非常に厳しくなり、その深刻さは大企業以上といえるでしょう。そういった苦しい状況の中、中小企業が大企業に対し競争の優位性を保つには、「経営資源の集中」と「経営スピードの向上」を図るよりほかありません。そのためのツールとして、ぜひ活用していただきたいのが、当社のBPO支援です。
 ところで、BPOの本質的なメリットは何だと思いますか? それは、コスト削減といった目先のことではなく、「企業風土、組織風土を改善できること」にあります。経理業務をはじめとした間接部門をアウトソーシングすることによって、その仕事が会社からいわば消えてなくなります。そうすることで、中小企業は、ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を、本来力を入れるべき本業の部分に集中して投入できるようになります。すなわち、BPOにより、企業風土や組織風土があるべき姿に改善されるわけです。これは、絞りきるまで業務改善を進めたにも関わらず、なおまだ絞らなければならない中小企業の経営者にとって、今までの改善活動の延長線上にはない抜本的な改革です。私たちのクライアントの中にも、このことに気づき始めた経営者の方がいらっしゃいます。厳しい経営状況の中、事業を継続できていることは自信を持ってよいことです。その気持ちを忘れずに、これからの経営を考えていただければと思います。
奉行V ERPによるIT支援も展開
導入支援とシェアードサービスが柱
 一方、IT支援は効率的で効果的なシステムの導入や使い方を助言・サポートするサービスです。SAPやオラクルなどのERPを導入し、業務効率性や経営資源の有効活用を実現している大手企業に対し、中小企業がどのように太刀打ちしていくかは、永遠のテーマといえるでしょう。それには中小企業も可能な範囲でITの導入による業務の効率化、業務スピードの向上、経営資源の集中が不可欠です。
 私たちが提供するIT支援サービスには、(1)ERPシステムの導入支援、(2)シェアードサービスの提供の2つのアプローチがあります。(1)に関連して、赤坂共同事務所では、09年11月に自らがIT投資をして、最新のIT環境を整備し、ERPパッケージとして奉行V ERPシリーズを導入しました。勘定奉行[個別原価管理編]、債務管理オプション、償却奉行、申告奉行[内訳書・概況書編]、給与奉行、就業奉行、人事奉行、法定調書奉行、商奉行、蔵奉行、OFFICE BANK21を導入しています。それに加え、商奉行を補完する形でセールスフォース・ドットコムのCRM、Google Appsのサービス、サーバー仮想化を実現するHyper-V、アプリケーションをネットワーク経由でリモート配信するためのCitrix Presentation Serverなど、考えられる限り最新の環境を構築しました。奉行シリーズの各システムはシームレスに利用することができ、データの連携も図られています。
 奉行VERPシリーズは、驚くほどスピーディーかつスムーズに操作でき、システム化による高い効果を実感しています。今後も最新のIT環境の下で効率的に業務を進め、ノウハウやベストプラクティスを蓄積し、自社を一種のショールームとして機能させた上で、企業の皆様へのIT支援における提案に役立てたいと考えています。
 また、(2)については、BPOと同様に、お客様は、必要なサービスを必要なときに必要なだけ利用することができます。例えば、クライアントと当社のITインフラをネットワークでつないで、クライアントは当社のITインフラにアクセスしてその中から必要なソフトを利用し、その利用した分だけ料金を支払うことが可能になります。IT投資を抑制したい会社に有効なサービスとなります。
 会計やITの機能は、企業にとってはコアコンピタンス(企業において核となる独自の強みのこと)ではありませんが、会社を経営していくためには、必要不可欠なものです。しかし、中小企業にとって専門の人財を雇用したり、常に最新鋭のシステムを構築・運営することは、資金的に難しい部分がある場合も見受けられます。そういったときにこそ、当社のBPO支援やIT支援の利用を検討していただければと思います。
BPO人財の育成も計画
クラウドサービスの提供も視野に
 当社では将来的に、BPO支援、IT支援サービスに注力していきます。BPO支援では、名護オフィスに新たに名護アカウンティングカレッジを開校し、自社のBPO人財の育成に力を入れるとともに、地元企業へ優秀な人財を供給することで地域社会の成長につながればと考えています。また、IT支援では、ITインフラの構築や運営の受託、さらにはクラウドサービスが提供できるような体制の整備に取り組みます。
 今の時代に、中小企業が生き残っていくためには、「オペレーショナル・エクセレンス(日常業務を間断のない改善により競争優位性を高めた状態)を追求していくこと」と、「業務改善によって生じた余剰資源を、自分の強みを突き詰めるために使っていくこと」が必要不可欠です。今後もソリューション業務やBPO支援、IT支援を通じて、中小企業を徹底的にサポートし、各社の成長と発展に寄与したいと考えています。
Vol.16
2010年冬号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
宝金正典
代表社員・公認会計士・税理士
宝金正典
(ほうきん まさのり)
辻・本郷税理士法人

●税理士法人 赤坂共同事務所

東京都港区赤坂1-14-5 アークヒルズエグゼクティブタワー9F
TEL:03-5545-7630 FAX:03-5545-7631
ホームページ:http://www.akasaka-kyodo.com/

2004年7月に、公認会計士・税理士である宝金正典氏、山本成男氏、吉村史明氏が中心となって設立。公認会計士・税理士4名、公認会計士2名、会計士試験合格者1名、税理士4名、税理士有資格者2名、税理士科目合格者14名が在籍し、全スタッフ数は41名(うち女性17名)。経営理念に「信頼性」、「柔軟性」、「法令遵守」を掲げ、高度な専門知識に基づく付加価値の高いサービスを提供する。得意とするのはフィナンシャル・アドバイザリー・サービス。M&Aや企業再生などで多くの実績を持つ。2009年にはBPO部隊となる沖縄県名護オフィスを開設。現在BPOの積極展開を図っている。
左写真:名護オフィスとスカイプで会議中

●奉行EXPRESS 2010年冬号より