会計ひろば2
日本最大規模の税理士法人。景気悪化で企業再生に注力
 辻・本郷税理士法人は、3,500社以上という日本最大級の顧問先を持つ税理士法人です。東京本部を中核とし、仙台、盛岡、名古屋、小田原、大阪、八戸の全国6ヵ所に支部を設け、社員数は関連グループ会社を合わせると約400人に上ります。
 顧問先のほとんどは社員数100人以下の中堅中小企業や零細企業、個人事業主です。法人の決算や申告、個人事業主の確定申告などの税務申告業務が6割、残りの4割がスポットで提供するコンサルティング業務となっています。
 コンサルティング業務では、事業再編・M&A、企業再生、公会計、株式公開、医療機関税務、内部統制、公益法人、相続・事業承継などのそれぞれのカテゴリーに対し、独立した専門チームを設置。さらに弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家とも業務提携し、顧問先のニーズに合致したサービスをタイムリーに提供しています。メインとなっている税務申告業務以外でも、「こんなことに困っている」と気軽に相談してもらえればと思います。
 「困っている」ことといえば、昨今の景気後退局面で案件数が増えている企業再生です。中堅中小企業にとって厳しい状況が続く中、会社再建、リストラ支援、ファイナンスプランの作成などの要望が数多く寄せられ、専門の部隊が民事再生法の活用などを含めた会社立て直しのためのプランニングに取り組んでいるのが現状です。実績例の一つに旅館があります。従来、旅館は企業の社員旅行など団体をメインに商売してきましたが、昨今の経済情勢などを背景に団体客が激減し、個人宿泊客の誘致も難しくなっています。経営が傾き、取引先の銀行から資金の引き上げ通告を受けるケースもあります。このような場合に私たちがリストラや金融機関との交渉などを通じて財務面を徹底的に支援します。
公会計、公益法人のサポートも、税務申告業務の収益基盤が武器
 地方公共団体の会計業務である公会計コンサルティングも当法人の強みです。団体の多くは、財務の状況を正確に把握できていないため、正しい財務報告ができるよう、通常の会社でいう決算書の作成をサポートし資産や債務の改善につなげています。
 また近年多くなっているのが公益法人コンサルティングです。2008年12月に新公益法人制度が施行され、公益法人は5年以内に公益認定を受けるか否か決める必要があります。このような法人に対し制度移行サポートや法人設立、認定後フォローなどの各種業務を提供するのが、公益法人コンサルティングです。現在この専門チームは多忙を極めています。
 法改正に伴うサポート業務の一方で、中堅中小企業の課題となる相続・事業継承にも注力しています。そこで特に問題となるのが株式です。中堅中小企業では、オーナー様の意向で複数の関係者に株式を持たせることがありますが、いざ世代交代となると株主が権利を主張するケースがあります。オーナー様は日々の経営や利益、資金繰りについては注意深く対応されていますが、株式のこととなると無頓着で、将来的に問題となる可能性が高いいびつな株主構成になっていることが少なくありません。事前に審査・分析し、問題化の芽を摘み取るために株主構成に改善を加えていくことも私たちの仕事です。
 こういったコンサルティング業務に力を注げるのも、当法人が、中堅中小企業向けの税理士法人としては比較的規模が大きく、メインの税務申告業務による収益の基盤をしっかりと築いているからです。経験と実績が豊富で多彩な人員を多く要していることで、多様なコンサルティングサービスを展開できます。また、再生や相続・事業承継などだけを専門にしていても、事業機会や収益に波がありすぎて、安定性に欠くことになります。やはり、多方面にバランスのよい収益構造が重要。そうした意味からも規模のメリットを発揮しつつ、税務とその他のコンサルティングをバランスよく展開していることは当法人の強みといえます。
中堅中小企業のIT化も支援。新規会計ソフト導入も指南
 ITの活用を支援する活動にも取り組んでいます。その活動は複数のアプローチで展開していますが、1つは、税理士が顧問先の業務フローを精査し、簡素化したり透明性を高めたりする中で、必要に応じて業務ソフトやシステムの導入を促し、業務の改善を図っていくという方法です。また、オーナー系企業では、オーナーが引退後にも業務が回るような仕組みを構築してほしいという要望もあり、その仕組み作りを効率的に実現させるために業務ソフトやシステムを導入することもあります。
 さらに経理・会計・人事など専門の業務に特化したアウトソーシング(業務委託)や各種コンサルティングサービスをワンストップで提供するグループ会社のCSアカウンティング株式会社の部隊が、新規会計ソフトなどの導入に伴うソフトの選定や勘定科目などの初期設定、導入後のフォロー、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の実施までを提供することもあります。単にソフトやシステムを導入するのではなく、コンサルティングやフォローも含めてサポートできることが、大きな特徴です。
 さらにIT化を強化するために、今まで培ってきた業務実績やノウハウを、インターネットを通じて提供できればと考えています。顧問先との関係を密にすることも可能になるだけでなく、他の地域の中堅中小企業にも、私たちのノウハウを提供することができます。これまでにもインターネットからコンサルティングの依頼を受けたケースもありますが、今まで以上に通信ネットワークやHPの充実を図っています。当法人のHPをご覧いただくと、他の会計士・税理士事務所などと比べて力を入れていることが分かっていただけると思います。
支部の充実を図るとともに、スピード感ある体制をアピール
 今後の課題については、まずは全国に展開している支部の充実を図ること、具体的にはクライアントの数を増やすことです。全国の会社の数は200万社以上といわれていますが、そのうちまだ0.2%弱を顧客にしているに過ぎません。
 ただし、その方法論には工夫が必要です。好景気では、新会社が設立されたり、親会社が子会社を作ったりするために潜在顧客はいくらでも増えるため、それを顧客化するだけでことは足りますが、現在のような不景気では、新会社はなかなか増えません。従って、企業の皆様に辻・本郷税理士法人を選択していただくために、当法人では営業部隊の拡充に力を入れています。主に銀行出身者を中心に編成し、ネットワークや提案能力を武器に、精力的に展開しています。その際、当法人を選択していただくメリットとなるのがスピード感です。決算などの税務申告業務をスピーディーに対応できる体制をアピールしています。そして、3,500社以上の顧問先と契約している実績からくる安心感も訴求します。
 受身の体制ではなく、常に新しい情報や発見を提供できるよう理事長である本郷孔洋が定期的に経営に役立つ情報を提供するメールマガジンを発信しています(http://www.e-acctg.com/mlmaga/)。単に言われたことをこなしていくのではなく、顧問先に対するパートナーとしてともに成長できればと思っています。
Vol.15
2009年秋号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
徳田孝司
副理事長・公認会計士・税理士
徳田孝司
(とくだ たかし)
辻・本郷税理士法人

●辻・本郷税理士法人

本部/東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル31F
TEL:03-5323-3301 FAX:03-5323-3302
ホームページ:http://www.ht-tax.or.jp/

2002年4月設立。税務代理から企業再編までさまざまなコンサルティングを展開する。事務所では公認会計士が16人、税理士が50人、税理士試験合格者が41人在籍するとともに、社会保険労務士、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、測量士、物納コンサルタントなどの各分野のスペシャリストと業務提携することにより、ワンストップサービスの提供を実現。拠点は全国7ヶ所。顧問先は3500社以上。多くの実績とノウハウを蓄積し、顧問先の多様なニーズに対応できる体制が整う。

●奉行EXPRESS 2009年秋号より