会計ひろば
第4回目は、株式会社マイツ代表取締役社長西田隆夫様に、3月に新会社法施行後初の決算を迎える企業へのアドバイスや、グループで展開する国内・中国での業務についてお聞きしました。
新会社法を機に経営指標を明確に
 3月に会計年度末を迎える企業では、昨年5月の新会社法施行後初めての決算期ということもあり、準備を進めていらっしゃると思いますが、5月から今までに決算を迎えた企業の例から見て、顧問先のお客様には、法改正による大きな変化はないと申し上げています。ただし貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」に名称が変わり、また、自己株式等の表示区分も変更されたり、役員賞与の人件費化など、経営指標に影響を与える改正項目があります。
新会社法施行後の決算では、改正前との比較で、経営指標に与える影響をきちっと理解しておくことが重要と考えています。
その他、事業継承に関連する法制として、複数の相続人に対しての議決権(経営権)と財産権(配当権など)の配分を細かく規定できるなど、企業にとっての選択肢が広がっています。
これは企業にとってメリットの多いことですが、逆に深い専門知識と多くの選択肢から自社の将来像に照らし合わせた最適なチョイスが必要となります。
そのため私たちマイツグループは、会計・労務・企業コンサルティング等の専門分野に分かれてグループを形成し、顧問先のお客様のご要望に広く対応できる体制を整え、言わばお客様にとっての「ワンストップショップ」となることを目指しています。
会計士に必要なのは「人間力」
 企業再生業務にせよ、事業継承にせよ、会社経営には的確な現状把握と将来予測、そして経営者の明確な会社の将来像が必要不可欠です。たとえば企業再生などにおいては、銀行の要請により、役員給与の削減や不採算部門の閉鎖など、厳しい条件を納得した上で、経営者自らが経営判断を下さねばなりません。その際に、私たちには、土台としての会計事務処理能力はもちろんですが、それ以上に顧問先企業の状態を把握し、最適な方法を模索し、それを説明するという、コミュニケーション能力、「人間力」が求められます。
また、年々要望の高まる経営サポートについては、お客様に対し、財務担当者レベルではなく、経営者マターの視点が必要になります。そこで、一見矛盾するようですが、社員には常に「お客様に対して会社の看板で仕事をするな、個人で信頼を得られる関係を築け」、そして、「会社の資産を最大限利用しろ」と言っています。つまりそれは、個人の「人間力」を磨き、お客様に信頼される担当者になると同時に、自分の専門分野だけでフォローしきれない事案は、経営者も含めたマイツグループの総合力(企業インフラ)を最大限駆使することを意味しています。お客様にとって最高のサービスをご提供するためには、「個人のスキルアップ」と「グループの総合力」を柔軟に活用することが大切なのです。
時代にリンクした中国進出支援業務
 マイツグループの大きな柱として、中国に進出している日本企業の現地法人への進出支援と法人設立後の会計支援業務が挙げられます。
10年前、企業の中国進出が盛んになった時期に、元請である大手企業の中国進出に際し、進出すべきか、国内に留まって別の事業を行うべきか、判断に苦しむお客様が多くいらっしゃいました。その際の大きな問題が、管理部門における日本人スタッフの確保でした。大手企業は日本人スタッフの派遣が可能ですが、中堅中小企業にはコスト的に難しい問題だったのです。そこに我々日系会計事務所による会計サポートのニーズがありました。現在では、中国経済の成長に伴い、こういった当初の会計業務支援だけではなく、国内での業務と同様に、経営支援的な業務に対するニーズが増加しています。
最初から中国の法人経営に特別なノウハウがあったわけではありません。「中堅中小企業に役立つ業務を行う」という創業当初のポリシーがあり、とにかく生き残りを賭けた企業競争に「なんとかお役に立ちたい」という気持ちだけで、中国進出支援業務をスタートしました。おかげさまで、現在では、1,000社以上のお客様と、上海を中心に、大連、深セン、蘇州、天津、広州の6拠点で事業を展開しています。
今後も、国内外で弁護士・司法書士等、外部専門家とのネットワークを強化することで「ワンストップショップ」としての機能を拡充し、国内・中国を問わずお客様のニーズに高い次元でお応えできるような総合コンサルティング企業として、企業経営のお手伝いをしていきたいと思います。
Vol.04
2007年冬号
企業を支援し、活動する職業会計人を迎え、時流にあわせた業務に関する話題についてポイントや詳しく知りたい部分を毎回紹介していきます。
西田 隆夫氏
代表取締役社長
公認会計士

西田 隆夫氏
(にしだたかお)
株式会社マイツ

●株式会社マイツ

住所:大阪市北区芝田2丁目7番18号オーエックス梅田ビル新館9階
TEL:06-6374-5281
ホームページ:http://www.myts.co.jp/

マイツグループは高い専門性を持つグループ企業が有機的に連携することで、税務・労務・会計に関する業務支援、企業の現状や今後の方向性を基にした経営コンサルティングを行っています。
また、企業の中国進出・現地での会計業務を始めとする国際税務コンサルティングのリーディングカンパニーとしての地位を確立。国内外を問わず、企業への「ワンストップサービス」を提供しています。

●奉行EXPRESS 2007年冬号より