特集2:インターネットの利用の普及と広まる電子商取引で新たな販売チャネルを狙え!
ひろがる販売チャネル。ECでビジネスチャンスを拡大
 「平成20年通信利用動向調査」(総務省)によると、インターネットの人口普及率は75.3%で、企業の利用率に限っては99%に達しています。
 また、インターネットを利用した調達・販売においてEC化を実施している企業の割合は、B to B(企業間の調達・販売)とB to C(消費者への販売)を合わせて50.6%にのぼり、もはや全商取引の半分がEC化されています。「平成20年度我が国のIT利活用に関する調査(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省)を見ても、B to BおよびB to Cの取引全体におけるEC化率は増加傾向にあり、日本の消費者向けEC市場は前年比13.9%増の6兆890億円となっています。
 このようなインターネットやEC市場が拡大する情況は、企業にとって潜在的な新しいビジネスチャンスを示唆しています。つまりインフラ化するインターネットを活用したECを取り入れれば、商材の新たな販売チャネルを開拓できる可能性があるのです。
 ECにはさまざまな形態がありますが、今回はネットショップ(仮想商店)にスポットを当て、仕組みやメリットについて紹介します。
限られた人材で開始するならショッピングモールがお勧め
 「パソコン1台ですぐに始められる」と言われるネットショップですが、初めてネットショップの開設を検討するなら、手間や投資を最小限に抑えられるネットショッピングモール(以下、ショッピングモール)への出店が候補に挙がります。ショッピングモールとは仮想商店街のことで、楽天市場やYahoo!ショッピングなどがそれに当たります。ショッピングモールは、運営管理会社がネットショップを用意してくれるので、基本的には商品を出品するだけです。写真撮影やWebページのレイアウトを工夫すれば、取扱商品の新たな魅力に気づいてもらうことも期待できます。運営側のシステムを利用して、予め用意されている画面やレイアウトをベースにネットショップの画面を構築できるので、IT知識がそれほどなくても始めることができます。また、ネットショップ自体が、パッケージ化・フォーマット化されているため管理しやすく、知名度もはたらいて集客しやすいのがメリットです。ただし、競合他社がひしめき合っているため、同じシステムを利用しながら、どれだけ特長を出して集客するかがポイントになります。そして、かかる運営コストを抑え、入金支払などの業務を効率的に行って、ページ作りやメールマガジンなどの企画に重点を置くことも重要です。
SCIO広告  このようなショッピングモールで確実に利益を上げるには、その業務の効率化を図る必要があり、そのためには管理ツールを活用するのが効果的です。株式会社サイオの『速販フロンティア』は、ネットショップの受注管理や商品管理を行うことが可能なソフトウエアです。操作が簡単なのでITの専任者でなくても操作しやすく作業時間も短縮。ローコストでショップの運営が可能になります。『速販フロンティア』の主な役割は、受注データの自動取り込み、各ショッピングモールのステータスの自動更新、注文データの入力、EC在庫・実在庫の自動調整管理、送り状発行、商品データの一括編集・一括掲載などです。特にショッピングモールの注文データやステータスを自動で更新する機能は非常に効果的で、いちいちショッピングモールにログインしなくても、さまざまな操作を行うことが可能になります。その効果は、一つのショッピングモールでも発揮しますが、複数のショッピングモールに出品していると、さらに効果的になります。このような便利なソフトウエアを活かして、空いた時間でより魅力的な商品情報やメルマガの作成など集客に力を入れ、確実に収益を上げることが、ネットショップ事業を成功させる鍵となるでしょう。
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投資力・IT知識・ECのノウハウ。3拍子揃っていれば独自システムを
 ショッピングモールへの出店は、初めてネットショップを展開する企業にとって有効な出店方法ですが、既にショッピングモール出店の経験がありECのノウハウがあるならば、自由度が高く、オリジナルなマーケティング展開が可能な独自のネットショップ開店を検討してみてはいかがでしょうか。独自のネットショップはショッピングモール出店よりも企業の特色を出しやすく、ブランドイメージを伝えやすいのが利点です。例えば、ターゲットとなる顧客の特性に合わせた商品検索カテゴリを設定したり、ショッピングカート機能に工夫を加え、購入に至るプロセスを簡素化したりなど、ECパッケージを用いたECサイト構築で、キャンペーンや予約など柔軟な顧客アプローチが可能になります。また、デザイン性の高いレイアウトで企業カラーを印象付けたり、携帯サイトとの連動で間口を拡げ、顧客の意見を反映したサイト作りにつなげるなども容易です。そのため、ネットショップをステップアップし収益を伸ばすなら、独自のネットショップが効果的です。
ソフトクリエイト広告  株式会社ソフトクリエイトの『ecbeing7』は、ノウハウを凝縮した実践向きECパッケージです。ショッピングサイトの基本である各種管理機能(注文・顧客・商品)、陳列・検索・カート・決済機能はもちろんコンテンツ管理、分析集計機能、さらにSEO対策に有効な商品ページ生成機能やRSS機能、レコメンド機能など先進の機能が充実しています。また、サーバーセンターは24時間365日の常駐対応。携帯サイト、モール、大規模サイトなど業態、規模を問わず多彩なニーズにフレキシブルに対応しています。サイトオープン前のマーケティング戦略支援からサイト構築、オープン後の運営支援まで支援も厚く、集客プロモーション・物流・コールセンターなどを含むECサイト運営のすべてをワンストップで提供しているので安心です。
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 実は、評判のECサイトを展開する企業の多くがショッピングモールも独自のWebサイトでネットショップも運営しています。知名度向上や集客、企業の宣伝ツールとしてショッピングモールを、自社サイトをブランドのイメージや商品特性をアピールするツールとして独自のネットショップを展開するのも一つの事業戦略です。
 今後のEC市場はB to Cだけでなく、ECによるB to Bの取引増加は確実です。実際、前述の通り半数以上の企業がECによる取引を行っています。他の企業にはない自社の強みを出し、ブランディングを高めようとするのであれば、独自のネットショップが効果的です。また、中国や韓国といった海外との取引を想定しているのであれば、各言語のページが作成できるオリジナルWebサイトが必須。将来的な事業展開を見据えた計画的なEC事業を目指しましょう。
ショッピングモールと自社のネットショップを比較
ECには確実なセキュリティが必須。おろそかな対策は企業の致命傷に
 インターネット利用に不安を感じているか否かについて、半数近くが「不安を感じている・少し不安を感じている」という結果が出ています(「平成20年通信利用動向調査」)。不安の内容として最も多いのが、個人情報の保護に関する不安(71.2%)。次いでコンピュータウイルス感染の心配(67.2%)、セキュリティ対策(61.7%)です。この結果を見ても、すべてセキュリティにかかわる不安です。ネットショッピングでは、住所、氏名、電話番号、クレジットカード番号、購買履歴など個人の情報を取り扱います。そのため、セキュリティ対策はECを行うに当たって最も傾注しなければならないことでもあります。個人情報の流出や、ウイルスに感染したホームページを公開してしまった場合など、信頼性の低下はもちろん、損害賠償、訴訟問題、IT技術の脆弱性の露呈、ネットショップの閉鎖、企業存続の危機などいろいろなリスクが発生します。このような問題を未然に防ぐためにも、しっかりとしたセキュリティ対策が必要です。
カスペルスキーラブスジャパン広告  また、内部スタッフの些細な操作ミスによって情報が外部に漏れる人的問題も気をつけなければなりません。例えば、個人情報が記載されたメールを他者に送信してしまったり、個人情報をコピーしたメモリーを紛失してしまったりなどの事態も想定されます。さらに、悪意を持ってデータを持ち出される可能性もあるでしょう。技術的なセキュリティ対策を行うだけでなく、従業員へのセキュリティ教育やオフィスへの出入りを管理するシステムの導入を行わなければなりません。
 セキュリティ対策を怠らず、きちんとした体制を整えれば、豊富な情報は企業の財産となります。顧客へのターゲティング広告やカスタムサービスの充実、ダイレクトメールや嗜好情報によるセールスの強化など、さまざまなプロモーション計画を行うことができます。まずは、自社にとっても顧客にとっても安心して使えるEC事業の体制を確立しましょう。
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顧客情報の取り扱いに関する対策例
技術的な対策
顧客情報へのアクセス制限・禁止
管理者や特定パソコンからのみアクセスを許可し、制限をかける。サーバールームがある場合は、担当者以外の出入りを禁止する。
顧客情報のファイルコピー・印刷などの禁止
顧客データにパスワードをかける。ファイルのコピーを禁止したり、印刷ができないようにする。
顧客情報を管理するサーバーへのアクセス制限・禁止
特定のIPアドレス以外からのアクセスを禁止する。認証パスワードをかけ、通信の際は暗号化する。
ウイルス対策ソフトなどセキュリティツールの導入
不正アクセス対策、スパイウエア対策、ウイルスチェック、ダウンロードデータの監視などを行うソフトウエアを導入する。
パソコンやサーバーの破棄や修理時の注意
リース契約のパソコンやサーバー返却、古くなったパソコンを破棄する場合は完全にデータを消去する。
人的な対策
顧客情報の重要性・取り扱いのリスクなどセキュリティ意識の向上
顧客データの管理・取り扱いに対する注意を徹底する。パスワードの管理やパソコンの紛失・盗難対策など、想定される人的ミスを挙げ、セキュリティの意識を向上させる。
ウイルス感染時の対応
ウイルスに感染したことが判明した際、ネットワークからパソコンやサーバーを遮断するなど対応をマニュアル化する。
セキュリティ保持のための利用契約書の作成
個人情報の取り扱いや業務での顧客データの利用に関するセキュリティ保持契約を結ぶ。
オフィスへの出入り管理・認証システムの導入
第三者の出入りはもちろん、関係者以外の立ち入りを禁止し、オフィスの入出に対するセキュリティシステムを導入する。
顧客情報漏えい時の対処
万が一情報が漏えいしてしまったときを想定し、顧客に対する告知や問い合わせ窓口など緊急時のマニュアルを策定する。
危機管理に対するコンサルティングの依頼
危機管理のコンサルティングを依頼し、危機管理マニュアルを整備する。
24時間365日取引が行われるEC ポイントは堅牢性とサポート内容
 ネットショップを始めるには、ハードウエアの準備も欠かせません。ショッピングモールに出店する場合は、自社にネットショップ用のサーバーを置かなくてもかまいませんが、膨大な商品の写真データや情報を管理するためのサーバーが重宝します。一方、自社で運営管理するネットショップにはサーバーが不可欠です。ショッピングカートシステムや、商品情報の管理はすべてサーバーで行います。
 サーバーのタイプにはいくつかありますが、大きく分けてレンタルサーバーと自社サーバーの2つがあります。レンタルサーバーとは、その名の通り、自社で持たないサーバーを言い、利用料を払って使用します。レンタルサーバーには複数企業で共有するホスティングサーバー、1社のみが使用するハウジングサーバーがあります。前者は小規模ネットショップ運営に、後者は自社のネットショップ運営適しています。ネットショップ開業機能のサービスがあるレンタルサーバーを使えば、ショッピングカート機能のほか、ブログやホームページ開設のオプションサービスをつけることができます。また、付加機能としてメルマガや統計分析機能のあるレンタルサーバーもあるので、よく吟味しながら自社にあったサーバーを選びましょう。一方、自社サーバーの場合は、レンタルサーバーよりも自社の特性に合ったサーバーを選ぶことができ、自社にあるという安心感もあります。それに、将来的には固定資産として企業の財産になります。
 では、自社サーバーを検討する場合のポイントは何でしょうか。ECには取引の時間帯に制約がありません。しかも世界に公開されているのがネットショップです。つまり、24時間365日営業中というわけです。そのため、パソコンやサーバーといったECに必要なハードウエアは24時間365日フル稼働します。また、ネットショップの場合は大切な個人情報を預かります。セキュリティホールなど脆弱性のシステムは論外。そのため、安定したECをバックアップするハードウエアは、堅牢性や耐久性に優れたものを選びましょう。また、運営をストップさせないためにも、トラブルが発生したときの充実したサポートサービスもサーバー選びのポイントです。
富士通広告  信頼性にこだわったサーバーを提供する富士通は、奉行ユーザーのサーバー導入実績が4年連続でNo.1(OBC調査)。特に中小企業向けに発売されている「PRIMERGY TX100 S1」は、確かな性能と信頼性に加え、導入・運用の両面で低コスト化を実現しています。常に稼働状況を確認できるサーバーの監視ソフト「ServerView Operations Manager」を搭載しているので、動作の不具合を未然に防ぎ安定性を確保できます。また、従来と比べ消費電力も低減している(最大178ワット)ので稼働率の高まったサーバーでも運用コストを気にすることなく最大限にマシンを活用できます。さらに稼働音の静けさは、木葉のふれあう音と同じ音量レベルを達成。また、省スペースのためオフィス設置に最適です。
富士通1WAYエントリーサーバー PRIMERGY TX100 S1
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 今後ますます重要度が増すECは、企業規模の大小にかかわらず、商品力で勝負ができる販売チャネルです。そのため、商品力のある中小企業にとっては、大きなチャンスを秘めた販路でもあります。今後は、パソコンからの取引だけでなく、携帯電話を使った取引(モバイルEC)も増えるでしょう。「まだ先の話」というのは禁物です。将来性のあるECだからこそ、今から実績やノウハウを蓄積することが大切なのです。IT投資や知識を少しずつでも増やせば、それは将来の成長を支える投資につながるはずです。
●奉行EXPRESS 2010年春号より [→目次へ戻る]