頭のスパイス 心のビタミン BOOKS

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ビジネスに役立つ選りすぐりの一冊
ピコラエヴィッチ紙幣 日本人が発行したルーブル札の謎
 この紙幣らしき印刷物は何か――。
 物語は、ロシアの小都市ニコラエフスク・ナ・アムーレで大正7年と8年に流通した島田商会発行のルーブル札、通称「ピコラエヴィッチ」が発行された背景について、社会背景や政治情勢を交えながら経済的視点で描かれています。
 島田商会は鮭鱒漁をはじめ、食料や衣料品などあらゆる生活物資を買い付けて輸出・販売する日本の民間貿易会社でした。戦争特需で財を成し、極寒の地ロシアの尼港でさらなる事業拡大を目指していた当時、ロシアの物価は日に日に上昇しルーブル札の価値は下落。市民はルーブル札を持っていても食料も衣服も買えない状態になっていきました。そうした中で「将来必ず島田商会の商品と換えられる保証書」が出回り始めたのです。それが「ピコラエヴィッチ」でした。
 通貨下落と経済不安に比例して増すピコラエヴィッチの価値、ピコラエヴィッチの価値が上がるにつれ高まる日本人への憎悪、資本主義は悪だと唱えるロシア革命。混乱する社会情勢を背景に、人々の心理と経済の関わりや通貨が持つ意味について考えさせられる一冊です。
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疲れた心を満たす良質の一冊
リライブ
 「思い出をいただくために参上しました」。命の灯火が消えそうになったとき、そう語りかけてくる目に見えない「獏」。その「獏」は思い出をもらうかわりに取り戻したい何かを手に入れられるよう、選ばなかった人生を選べるよう、もう一度生きるチャンスをくれると言います。
 物語の中で「獏」は7人にチャンスを与えます。ある人は大切な友だちを失わないように、ある人は好きな人に幸せになってほしいために、そしてある人は自分を救ってくれた人に感謝するために――。
 選ばなかった2度目の人生を終えるとき、もう一度「獏」が語りかけます。「いかがでしたか」と。皆は「よかった」と言って「獏」と別れます。しかし本当のところ、この「獏」は本物ではありません。実はこの「獏」、人生をやり直した人たちと深く関わった人物。つまり、「あの人の人生をもう一度やり直させて欲しい」と本物の「獏」にお願いした結果だったのです。
 今生きているのは、誰かが生きて欲しいと願った人生なのかもしれない、そう思わせてくれる一冊です。
ベストセラー 2010年3月2日 トーハン調べ
    ■単行本・文芸
  • 教室の亡霊[内田康夫/中央公論新社]
  • カッコウの卵は誰のもの[東野圭吾/光文社]
  • ファントム・ペイン 天命探偵真田省吾(3)[神永 学/新潮社]
  • 親鸞(上・下)[五木寛之/講談社]
  • 廃墟に乞う[佐々木譲/文藝春秋]
    ■単行本・ビジネス
  • 誰とでも 15分以上 会話がとぎれない! 話し方 66のルール[野口 敏/すばる舎]
  • 平林都の接遇道 人を喜ばせる応対のかたちと心[平林 都/大和書房]
  • 本当に頭がよくなる1分間勉強法[石井貴士/中経出版]
  • もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら[岩崎夏海/ダイヤモンド社]
  • 生き方 人間として一番大切なこと[稲盛和夫/サンマーク出版]
●奉行EXPRESS 2010年春号より [→目次へ戻る]