企業診断所
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●第三回
 奉行シリーズをお使いいただいている企業様へ、業務効率と業績の向上へのヒントとして、今からできる「明日への一歩」をご提供している企業診断所。第三回は、多くの中堅・中小企業のコンサルティングに携わる山田ビジネスコンサルティング株式会社の金子竜平さんに、製造業の経営や運営にかかわる問題解決についてお話していただきました。
 グローバル化が進み、競合が海外にも広がる製造業。競争力を身につける秘策はあるのでしょうか?
金子竜平 TFPコンサルティンググループ 山田ビジネスコンサルティング株式会社 コンサルティング事業本部第七部 マネージャー
金子竜平(かねこりょうへい)
京都大学修士課程工学研究科卒。前職は非鉄金属メーカーのエンジニア。YBCでは主に中堅企業を対象に財務・事業両面の現状分析に基づいて、事業戦略から各業務プロセスまでの一貫した改善施策立案や実行支援に従事。現在、コンサルティング事業本部第七部マネージャーとして、主に製造業の事業分析やBPRに関するプロジェクトをメインに担当。
TFPコンサルティンググループ
山田ビジネスコンサルティング株式会社
業種を問わず中堅企業を対象とした経営コンサルティング業務を東京・名古屋・大阪・上海を拠点に展開。役務領域は企業再生・成長戦略構築・実行、BPR、M&A組織再編、財務・法務・事業DD、内部統制構築支援、事業承継対策等多岐にわたる。
URL http://www.y-bc.co.jp/
Q1 現在、多くの企業が抱えている問題は
どのような点ですか?
 企業の業績を上げる要因として、市場・競合といった「外部要因」と組織・体制といった「内部要因」があります。競合が少ないなど外部要因に恵まれて内部要因が隠れてしまうケースや、管理能力は高いのに経営理念・戦略が社員に伝わらず、モチベーションが低く内部要因により売上げが伸び悩むケースもあります。どの企業も実際に業績が目に見える形で悪くなってから相談に来られるケースが多いです。事業には必ずライフサイクルがあるので、業績がよく競争が激化する前に次の一手を打つことが競争力を上げる秘訣です。
Q2 企業が競争力を上げるには
どのようなプロセスが考えられますか?
 製造業が競争力を高める必須要素として「Q(Quality)=品質」「C(Cost)=コスト」「D(Delivery)=納期」は周知の概念です。しかし、問題点が抽出できたからといって、必ずしも改善が成功しているとは限りません。「企業の問題点が担当者レベルで止まっている」「システム導入や組織改変しても一過性がない」等の障壁により、失敗してしまう例も多いようです。
 私どもは、Q・C・Dの3要素の管理レベルに加えて企業変革を推進していくための企業風土・文化(Culture)が必要不可欠だと考えています。具体的には、経営層をはじめ、営業・技術・生産現場・経理・総務といった企業を構成する各部署の仕事について、仕組みや体制があるのか「管理レベル」をチェックします。さらに、各仕事について仕組みはあるのですが、遂行・持続できる社員の意識向上や教育、評価や処遇の体制といった「企業風土」があるかも合わせてチェックします。
Q3 業務さらには組織の問題解決のために
具体的なアクションを教えてください。
 Culture(企業風土・文化)を改善するためのポイントは、まず、各部署のQ・C・Dの管理レベルとC(持続する風土)の現状が把握できたら、改善の優先順位をつけることです。管理レベルが低い場合は、ITツールの導入やシステム再構築で対処できることが多いと言えます。例えば、納期遅れが多く、社内さらには顧客に進捗を返答できない企業では、製造工程が複雑すぎ、属人的管理となっていました。これを打破するため、ITツールを導入して人に依存しないスケジューリングの標準化を実現しました。
 また、企業風土の改善ポイントとしては二点あります。一点目は過去の成功にとらわれない事です。過去の成功体験にとらわれ、改善策自体も成功例を焼き直して施策してしまう事がよくあります。必ずしも現在の市場にその方策が通じるとは限りませんので、客観的に自社の診断を行い、現在の市場の中での自社のポジショニングを把握し、改善策を策定する癖をつける事が大切です。二点目は変化を嫌う体質を改善する事です。自社の市場でのポジショニングも知らずに、現在のプロセスがベストの状態だと思っている現場では、ある種の慣性の力が働いてしまい、それを取り壊して新しいものを構築することに抵抗してしまう傾向があります。特に経理・総務は現場から遠く刺激・変化が弱くなりがち。しかし経営の判断材料を提供できる重要な立場として、部門横断的に改善に取り組むことで「慣性の法則」が最も効果的に働くのです。
Q4 診断後の改善施策のポイントとは何でしょうか?
 診断で自社の問題が把握できた後、ポイントとなってくるのは、プライオリティをどこに置くかという点です。全ての改善を同時並行的に行う事がベストですが、資金や人的資源には限りがあります。先ずはどの部分にフォーカスして行動を起こしていくかを見極めることが大事になってくるのではないでしょうか。
 診断結果や自社の現況を踏まえ、より効果の上がる部分にフォーカスして行く事が必要です。
今回の処方箋
奉行フォーラムで自社の「Q・C・D by C診断」をチェック!
本セミナーでは、中堅・中小企業に対して多数の実績をもつ経営コンサルティングファームのノウハウをベースとした各部署に対する網羅的なアンケートを実施し、〔Q・C・D by C〕のバランスと中堅・中小企業における相対的なポジションを定量化することで明確にした個別診断を行い、業績改善の方向性を御示し致します!

Q・C・D by C診断
 診断ではまず、各部門20問程度のアンケートを行います。平均的に10部門約200問のアンケートとなりますが、そこからQ・C・D及びCの採点をレーダーチャート式の表で視覚化をします。また、C(Culture)について、管理レベル(問題把握力)が優位であるか、遂行レベル(持続継続力)が優位であるかの診断も同時に行っています。
 次に、上記の指標から「QCD−Cポジショニングマップ」という同業種・業態企業の標準値と比べ、どの点に問題があるかを把握する表を作成し、改善提案を行っています。
 今回のOBC主催の「Q・C・D by C診断セミナー」では、簡易版ではありますが、この診断を事前アンケートにより無料で提供しています。

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解決のヒント

●奉行EXPRESSより