何気ない作業に細心の注意を「郵送・配送のマナー」
お礼状やお詫び状などの郵送、そして資料や物品の配送。
ビジネスには「何かを送る」シーンがたくさんあり、
その送り方にも様々なマナーが存在します。
郵便物の基本的な出し方から、手紙や封筒の選び方、手書きか印刷かの判断など、
知っておくと便利なマナーがあります。

手書きの重要性を確認
 電子メールが一般的となり、SNSなども老若男女が扱う時代となりました。普段の連絡手段としては自分にとって便利で楽な方法を選べばそれでよいでしょう。しかし、あらたまった内容、例えば何かのお礼やお詫びを伝えるならば、簡単な方法で済ませずに一筆書いて郵送するのがマナーです。
 この時、カジュアルなデザインのものは避けます。紙質もできるだけ質の高いもので、デザインは品位を感じられるものを選びます。あらたまった手紙の場合は、横書きは厳禁です。白無地の便箋を選び、縦書きで書くようにします。文章をバランスよく真っすぐに書けるか心配な場合は、罫線の入ったものを選ぶとよいでしょう。
 手書き文字に自信がない方も、あらたまった内容の場合、手書きで書くべきです。美しい文字である必要はないので、心を込めて丁寧に書きましょう。文章を打ち込み印刷したものを送るのは、定期的に配送している刊行物に同封する挨拶文や、事務所の移転の案内、パーティーの案内など、「心情を伝える」というよりは「情報を伝える」場合となります。情報と共に心情を伝えることも必要であるなら一行ほど手書きにするなどでもよいでしょう。また、紙のデザインも、伝える内容に合わせて少しカジュアルなものにしてもOKです。
 ただし、手書きにせよ、印刷にせよ、便箋一枚だけではそっけなく感じられるものです。一筆箋でない限りは、便箋は二枚以上にするのがマナーです。

封筒にも気を配る
 手紙の書き方やデザインなどに気を配ることはあっても、見落としがちなのが封筒のマナーです。手紙の中身も重要ですが、郵便物を受け取ってまず目にするのが封筒で、第一印象を決定づけます。だからこそ、封筒にも気を配るべきなのです。
 封筒に記すものといえば、住所と宛名です。まずは住所ですが、文字数とスペースを考えながら均等に書きたいと思うでしょう。しかし、もっと重要なことは、「住所を略さないこと」です。特に縦書き封筒の場合は、「○○番△△号」まで、漢数字を用いて書きましょう。
 宛名は封筒の真ん中に書きますが、住所よりも一段下げて書き始めることがポイントになります。また、会社名を記す場合は(株)(有)のように略すのではなく、「株式会社」「有限会社」と正式な形で書きましょう。所属部署も同じです。つまり、「勝手に省略して記すのは相手に失礼」なのです。

忘れがちな「日付」を記載
 封筒マナーとして意外と知られていないのが、「日付を記すこと」です。住所や宛名は書いてあっても、日付のある封筒はあまり見かけません。縦書き封筒の場合は裏面の封の継ぎ目の右側に、横書き封筒の場合は裏面の左上に、小さくて構いませんので書いておきましょう。
 ちなみに、封筒には「親展」と書かれているものがあります。これは、「親しみを込めて」という意味ではありません。「ご本人が開封してください」という意味です。重要な書類や履歴書など、本人以外に開封してほしくないものは「親展」と記すのがマナーです。
 最後に、郵送・配送をし終えたら、後は何もしない方も多いのですが、これはマナー違反です。連絡なしで送ることで、受け取った相手が驚いたり、恐縮したり、時に失礼に感じられる可能性もあるからです。また、何らかの事情で受け取れないことも考えられます。発送したら、その旨を必ず相手に伝えましょう。


 先日、仕事関係の方に小包を送りました。その後、なぜか話が噛み合わなくなってしまったのです。その理由は、私が発送した小包をご本人以外の方が代理で受け取ってくださり、ずっと保管されたままだったのです。私が発送連絡をしていたらこのようなことはなかったはず。これには猛省しました。また、受け取った側も、速やかに受け取った事実を電話やメールなどで送り主に伝えるのもマナーです。
●奉行EXPRESS 2016年秋号より