買って渡すだけではない「お土産選びのマナー」
出張や休暇で遠出をした時につきものなのが「お土産」です。
お土産をもらって喜ばない人はあまりいないはずですが、
そこにマナーや配慮が欠けていると、特にビジネスシーンにおいては、
思わぬトラブルにもつながりかねません。
今回はビジネスで役立てたいお土産のマナーを紹介します。

事前にお土産のリサーチを行う
 お土産には様々なものがあり、中には、どこかの地方で人気のお土産をそっくりそのまま真似たようなものも…。プライベートでの間柄なら、そのような“微妙な”お土産でも笑って済むかもしれませんが、ビジネスシーンにおいてジョークは必要ありませんし、かえってリスクを伴います。お土産店へ足を運ぶ前には、ガイドブックやインターネットでその土地のものを調べたり、地元の方に相談するなどして、その土地で本当に愛されているお土産をまず把握しましょう。
 日頃お世話になっている社長や上司、取引先に対しては、民芸品などをお土産にしてもよいかもしれません。ただし、受け取る側としては好みもありますし、気持ち的に少々“重たい”と感じる場合もあります。他の社員と差をつけることなく、いわゆる「消えもの」である食べ物を購入しましょう。

食べ物は受け取る側のことを考える
 食べ物をお土産にする際に気をつけなければならないのが賞味期限です。仕事が忙しくて食べる時間のない人もいるでしょうし、出張中だったり、休暇中で顔を合わせる機会のない社員もいます。そんな中で賞味期限が短い食べ物をお土産として配られても相手にとっては迷惑になりかねません。賞味期限のチェックは重要なマナーと心がけであり、お土産を渡す際は期限について一言添えると親切です。最近はアレルギーについて表示されている食品が増えているので、その確認も重要です。また、個包装など小分けになっているものを選ぶとお土産を渡す側も受け取る側にとってもとても便利です。切り分ける必要がある食べ物だと、少々面倒に感じますし、そもそもナイフが職場においていないオフィスもあります。小分けになっていれば手軽に食べられ、デスクや書類、端末なども汚しません。
 お土産の値段は2,000〜3,500円程度で十分です。女性が多い職場の場合なら、メディアで取り上げられた話題性のあるお土産が喜ばれます。ただし夏場にかけては、スイーツや冷たいお菓子などを渡してもオフィスに冷蔵庫がないため美味しく食べられないということも考えられるので、選ぶ前に確認しておきましょう。ニオイのつよいものなども職場の迷惑になりかねません。

謝罪用の手土産はより慎重に
 より気をつけるべきお土産のマナーがあります。それは、謝罪の際の手土産です。私の知人で、謝罪の際に派手な色でポップなデザインの包装紙で包んだ手土産を持参したところ、先方にその点を指摘されて激怒された話や、「切腹最中」というお菓子を持って謝罪に訪れたら「これは笑えませんね」と冷ややかに対応されてしまったなどの経験を持つ人もいます。謝罪の場では洋菓子よりも手土産として格式の高い和菓子を選び、迷った場合はお店の人に「謝罪用」として適切なものは何か相談してみましょう。私は謝罪の場では風呂敷を使うようにしています。受け取る方からは必ず「ご丁寧にありがとうございます。逆に恐縮してしまいます」と言われます。気遣いや配慮を感じてもらえるような工夫が大切です。


 風呂敷を使って渡す場合は、下手(しもて)で広げるようにしてください。紙袋に手土産を入れている場合は、これも下手で紙袋から出して渡し、紙袋は持ち帰るようにします。また手土産を渡すタイミングは、必ず椅子に腰かける前に行います。たかがお土産、されどお土産。ビジネスのコミュニケーションにおいては実に奥深いツールなのです。
●奉行EXPRESS 2016年夏号より