社内で相談事を持ちかける時の「相談のマナー」
人は誰しも何らかの悩み事を抱えているものです。
特に生活の大半を会社で過ごす社会人にとっては、
必然的に会社の同僚や上司が悩み事の相談相手になることが多いでしょう。
家族や友人であれば気兼ねなくできる相談事を、
オフィス内ではどのように持ちかけたらよいのでしょうか。

配慮なしの相談はマナー違反
 ビジネスにおいて大切なものは、報告・連絡・相談、いわゆる「ホウレンソウ」です。これは、社会人になって最初に身につけるべきマナーです。「ホウレンソウ」には「相談」も含まれているので、当然ながら仕事関係の相談をオフィスで持ちかけること自体に何ら問題はありません。しかし、ここで相談のマナーに気を配らないと、社内での人間関係がギクシャクしたり、あなた自身の評価を下げることにつながるため注意が必要です。

相談する相手を確認する
 あなたは仕事をしていて誰かに相談事を持ちかけたいと思った時、聞きやすい人に相談していませんか。実はこの行動、ビジネスではNGです。
 仕事をしていて悩んだり、迷ったりした時には、その仕事を指示・依頼した人に優先的に相談しなくてはなりません。もちろん、他の先輩社員や上司でも相談に乗れる可能性はありますが、その相談に対する回答に彼らは責任を持てません。責任を持てるのは仕事を指示・依頼した当事者だけです。もしも自分が指示・依頼した仕事なのに、受けた相手が他の社員に相談している様子を見かけたら、気分はあまり良くないはずです。相談したいと思ったら、まずは仕事を指示・依頼した人に話を持ちかけるようにしましょう。また、自分なりに悩み事を解決する努力や姿勢も大切です。そうすることで自分自身の成長につながるからです。
 相談する際は、あなたに仕事を指示・依頼した人の忙しさにも配慮する必要があります。余裕があれば雑談を交えてじっくり相談を持ちかけることもできますが、ビジネスシーンではそうもいきません。相談を持ちかける前に相談内容をしっかり整理し、要点をまとめ、わかりやすく簡潔に伝えられるよう準備しておきましょう。

相談されたら的確に対処
 同僚や後輩があなたに相談事を持ちかけてきたら、まずは指示・依頼した人に相談するよう促します。明らかに人任せの相談や何を相談したいのか要点が見えない場合は、相手の頭の中がモヤモヤしている状況です。紙などにきちんと相談内容をまとめるようアドバイスしてあげましょう。
 一方、場合によっては遠慮して相談せず、自分だけで悩みや疑問を抱えたまま仕事を進めてしまう人もいます。悩みを解決せずに自己判断で仕事を進めてしまうと、効率が悪くなり、成果が出にくくなるばかりか、取り返しがつかない重大ミスすら起こしかねません。相談しやすいオフィスの雰囲気作りや人間関係の構築に、日頃から社内全体で取り組むよう心がけることも重要です。
 オフィスでは、仕事上の悩みだけでなく、プライベートな相談事をする場合・される場合もあるでしょう。仕事に私情を持ち込むことは禁物かもしれませんが、1日の大半をオフィスで過ごす社会人にとっては、“プライベートな相談事厳禁”というのもつらいものです。プライベートな相談事は勤務時間外・社外でするようにし、仕事とプライベートをきちんと区別しましょう。


 相談事が機密事項やトップシークレットであればあるほど、相談した相手と相談を受けた相手の距離感は縮まるものです。「仕事上ちょっと近づきづらい人だな」と思う人に、あえて「このことは口外しないでください」「○○さんだけにお話しするのですが」と一言付け加えることで、距離が近くなるのを感じるでしょう。
●奉行EXPRESS 2016年冬号より