出会いの季節に役立つ「自己アピール術」
人は誰でもいくつかの長所や特長を持っています。
それは他人に自分を知ってもらうための自己アピールポイントであり、
ビジネスシーンでは欠かせない技術でもあります。
出会いが増えるこの季節に役立つ、自分を上手に“魅せる”ための効果的なテクニックを
CA時代のエピソードを交えてご紹介します。

 春は出会いの季節です。新入社員が入ってきたり、他部署のスタッフが異動してきたり、取引先の担当者が変更になったり、皆様の会社でも何かと新しい出会いが増えているのではないでしょうか。そこで知っておきたいのが、上手な自己アピール方法です。相手に「自分はこういう人間です」「私はこういうことができます」と知ってもらうことは、相手との距離を縮め、ビジネスを円滑に進める材料となります。
 プライベートな友人関係であれば、自分から積極的に主張しなくても周囲があなたの素晴らしさを自然と感じ取ってくれるかもしれませんが、ビジネスでは短時間で積極的に自分をアピールしていく必要があります。ただしアピールと言っても、単に自慢話で終わっては相手の印象を悪くし、過剰すぎるアピールは逆効果になってしまいます。「自己満足型アピール」や「上から目線型アピール」にならないよう、私の実体験から学んだ上手なアピール方法の3つの心得を紹介しましょう。

アイコンタクト
 上手な自己アピールに欠かせないのがアイコンタクトです。CAは必ずお客様の目を見て接客をします。これは「お客様のことをしっかりと見ています。だから何でもおっしゃってください」という、CAからお客様への一種の自己アピールでもあります。相手の目を見ないで自分をアピールしようとしても、相手だって自分を見てくれるはずがありません。自分を見てほしいなら、まず相手を見ることです。

誰にアピールするのか
 「アピールは早めに」が吉です。出会ってから初期のタイミングでアピールすると、場の主導権を握ることができ、相手が聞き入れてくれる確率が上がります。つまり、アピールしたいこと=結論を冒頭に伝えるということです。飛行機の中でお客様がCAを呼ぶのは、何かしらの要望がある時ですが、その要望が何なのかを伝えるまでの前置きがやたらと長いお客様が度々いらっしゃいました。こうなると、「何がお望みなのか」を探すことに必死になってしまい、他の業務がはかどらなくなってしまいます。結論を後にすると、話を聞いている相手に「何が言いたいのかを探す作業」を強いることになり、負担を与えます。よほど効果的で上手な演出を用意していない限り、自己アピールに長すぎる前置きは不要です。アピールしたいことは早めに伝え、その補足説明などは後回しにするが鉄則です。

結論は冒頭に
 アピールする相手のことをよく知ること、相手に合わせてアピールすること、つまり「アピールされる側の立場で考えること」は上手な自己アピールの重要な要素です。CAは機内のお客様をおもてなしすることがミッションですが、お客様の中には必要以上の接客を望まない方もいらっしゃいます。そこに「CAアピール」とばかりに、しつこくお世話をされても迷惑になってしまいます。


 あなたにもアピールできる長所がたくさんあるはずです。それを相手に効率よくわかりやすく伝えるためには、ある程度の技術や戦略が必要で、相手によっては伝え方を変えることもポイントになります。剣が効果的な相手もいれば、盾が大きな武器になる相手もいるからです。  初対面の場合は相手に関する情報も皆無に等しく、瞬時に相手を知ることができないかもしれません。その場合は無難な世間話などで様子を探り、使えそうな自己アピールを適宜繰り出します。普段から自分を客観的に捉え、自分のアピールポイントや話し相手を想定した長所・特長をリストにまとめるのもよいでしょう。
●奉行EXPRESS 2014年春号より