基本を極めるビジネスの心得
お礼を受けた時の“お礼のお礼”も大切なマナー
何かをしてもらったり、贈り物をいただいたりした時などに、感謝を込めて相手に伝える「お礼」。
ビジネスでも、プライベートでも、良好な人間関係を築くための大切なマナーといえます。
これに加えて、お礼を受けたときのマナーも、実はとても大切なこと。
今回は、“お礼に対するお礼のマナー”についてご紹介します。
 「ありがとうございます」という言葉の響きは、なんとも美しいものですよね。ビジネスシーンにおいても、「ありがとうございます」を相手に伝える出番はたくさんあります。
 「ありがとうございます」と言われた時に返す言葉として、「どういたしまして」があります。実は、この「どういたしまして」の伝え方ひとつで、より良い人間関係を築くことができるか、薄い関係にとどまるかが決まります。つまり「どういたしまして」=お礼に対するお礼のマナーが重要になるのです。
 後輩や友人などに食事をごちそうした時、「ありがとうございます」とお礼を言われたら、「どういたしまして」の一言で“お礼のお礼マナー”としては十分です。しかし、その後輩や友人から食事のお礼として何かプレゼントを贈られたとしたらどうでしょう。こういった場合は、口頭でお礼を伝えることに加えて、たとえば言葉だけでは伝え切れなかった感謝の気持ちを記したメールを送ったり、食事とまではいかなくても今度はお茶など軽めのものをごちそうしたりして、お礼に対するお礼をキチンとするのが良いでしょう。
 後輩や友人ではなく、先輩や上司、年上の方などから、何らかのお礼の品をいただいた場合は、まず口頭や電話で直接お礼を述べた後、メールではなく手書きの手紙でお礼をするのがマナーです。メールはあくまでも簡易的なツールにすぎません。後輩や友人に対してはメールでもかまいませんが、目上の人に対してはマナー違反に当たります。 私の場合は、礼状を書いて投函するタイミングを迅速にするために切手を貼ったポストカードを常にバッグに入れています。一筆書いて投函でき、感謝の気持ちが早く相手に届きます。
 目上の人からのお礼の品には、時として高級すぎる物など、お礼としては釣り合わないほどのものが贈られてくることもあります。「これでは、逆に申し訳ない」と思うような品だった場合は、先方にお返しすることも考えましょう。ただし、お返しするとしても、先方の気分を害さないよう、丁重にお断りする必要があります。
 お返しするのが難しいようであれば、その品と同額か、それ以上の金額の品をこちらから贈るのもひとつの手です。
 ビジネスシーンにおいても、お礼のやりとりは日常茶飯事です。そんな中、会社宛ではなく、社員個人宛にお礼を贈られることも少なくありません。この場合は、まず上司に報告をしましょう。もしかしたら、会社として個人宛のものは受け取らないという規則があるかもしれません。個人宛にもらって嬉しいと喜ぶ前に、会社としての対応を確認してください。
 ビジネスにおけるお礼には「接待」もありますが、お礼として接待を受けるからといって、横柄な態度や“上から目線”などはマナーとして絶対にNG。早すぎず、遅すぎず、定刻を目安に会場へと出向き、先方に会ったら丁寧にお礼を述べましょう。そして、接待を受けている間も、飲みすぎや食べすぎには注意です。接待を礼儀正しく気持ち良く受けることこそが、このお礼に対するお礼のマナーなのです。接待の別れ際には、再度こちらからお礼を述べます。そして、翌日のなるべく早い段階にお礼の電話をかければ、接待という名のお礼に対するお礼のマナーは完了です。
 お礼のお礼という仰々しさはどこまでいっても付きまといます。さりげなく自然な形で行うことも重要なポイントですね。
●奉行EXPRESS 2012年秋号より