基本を極めるビジネスの心得
職場の人間関係をよくする褒め方・叱り方のマナー
褒められると嬉しい。叱られると悲しい。これは誰にでも当てはまることですが、
職場では、褒めることも叱ることも非常に大切です。
なぜなら、褒め方ひとつ、叱り方ひとつで、職場での人間関係や若手社員の成長度が大きく変わっていくからです。
ビジネスパーソンに求められる、褒め方・叱り方のマナーをご紹介します。
 仕事にミスはつきものです。ミスを恐れていてはよい仕事はできません。しかし、ミスばかりでは仕事にならないのもまた事実です。だからこそ、仕事には適度な緊張感と責任感を持って臨む必要があります。これらを部下や後輩に持ってもらうためには、上司や先輩として時に厳しく叱責することも求められます。
 ところが最近は、子供の頃からあまり叱られ慣れていないビジネスパーソンも多く、職場で少し叱られただけで、めげてしまったり、ふてくされてしまったり、中にはそれをきっかけに会社を辞めてしまう社員もいます。叱り方、それに褒め方ひとつで、職場の人間関係は大きく変わります。部下や後輩と良好な人間関係を築くためにも、効果的な叱り方・褒め方を知っておきたいですね。部下や後輩、新入社員にとっても、上司や先輩がなぜ叱り、なぜ褒めるのか、その真意を理解すれば、いちいちめげたり、ふてくされたり、会社を辞めようなどという気にはならずに済みます。
 最近のビジネスパーソンは叱られることが苦手といわれますが、人間誰しも叱られるのは嫌ですし、褒められることの方が嬉しいに決まっています。まずは、職場でよい人間関係を築くための褒め方からご紹介します。
 褒められると嬉しい、悪い気はしない、というのは至極当然なことではありますが、反面、褒め方次第では嫌味に取られたり、嘘っぽく感じられたりと、逆効果にもなりかねません。そこで重視していただきたいのが、「具体的に褒める」ことです。
 「あなたはすごい人だ!」「とてつもなく素晴らしい社員だ!」などと褒められたところで、何がどうすごくて、どんな点が素晴らしいのか、まったく伝わってきませんよね。これを「あなたの○○なところを見習いたいと思って、私も心がけているけれどうまくできない」とか、「キミの△△が、会社に□□なメリットをもたらしているんだ」といったように具体的に褒めると、褒められた側の実感が強まり、褒めてくれた上司や先輩に対して信頼感を覚えるようになります。
 また、面と向かって褒めることも重要です。最近の職場では、メールや携帯電話、SNSなどを利用したコミュニケーションの方が主流ですが、それらからは相手の笑顔や雰囲気までは伝わってきません。上司や先輩、それに若手社員としても、お互いに少々照れくさいかもしれませんが、面と向かって褒める、褒められることで、よりよい人間関係を構築できます。
 しっかりと褒めることができたら、次は叱り方です。昔から、子育て論として「3つ叱って、7つ褒める」ことが重要といわれます。叱ってばかりでもいけませんが、褒めてばかりでも人は育たない、という意味です。“慣れ”というのは怖いもので、褒められることに慣れてしまうと、厳しさのない、甘い社員になってしまいかねません。
 では、どのように叱ればよいのでしょうか。闇雲に怒鳴り散らす、ましてや暴力を振るうような上司や先輩についていきたいと思う人は皆無と心得てください。叱り方として重要なのは、「叱る」と「怒る」を区別することです。感情のままに「怒る」だけでは、叱られる方も納得がいきません。彼らにも理由や言い分があるものです。
 相手の目を見て、言い分に耳を傾けた上で愛情を持って叱る。これによって職場での良好な関係が築かれていきます。
●奉行EXPRESS 2012年夏号より