会計ひろば2
経営コンサルティングに注力
“KAIZEN”提案で中小企業を支援
 森公認会計士事務所は、私が大手コンサルティング会社で培った、経営情報システムや経営管理システムの開発、経営戦略策定のノウハウに基づく、実践的な経営コンサルティングを得意としています。また、当所が中核となって設立した中小企業向けシンクタンク・株式会社経法財研究所では、多分野の専門家がチームを組んでワンストップで経営支援サービスを提供しています。
 当所は、経営者のニーズに基づき、経営サイクル(PDCA)の検討を行い、経営上の問題点を発見し、業績向上に結び付く実践的な改善(KAIZEN)の提案を行います。プロセスとしては、まず、経営者へのインタビューや財務分析によって現状調査と経営ニーズ分析を行います。その結果に基づいて、現状分析、問題点分析、仮説の設定、仮説の実証と検証、計画へのフィードバックを行い、これらのモニタリングに有効な会計システムを再構築していきます。改善すべき点は無限にあるので、経営目標を達成するためのキーとなる要因=CSF(クリティカル・サクセス・ファクター)を正しく見出すことが重要です。そしてそのCSFを組み込んだ仮説を具体的に設定し、実証と検証を行い、経営計画に反映します。このような「KAIZEN」を会社内に定着させていくために、経営者とともに地道に取り組んでいる点が当所の最大の特長です。
経営戦略策定に「帳票」をフル活用
勘定奉行を推奨する3つの理由
 勘定奉行の「会計帳票」や「分析帳票」は「KAIZEN」にフル活用できます。当所が会計システム導入の相談を受けた場合、勘定奉行を推奨していますが、その理由は3つあります。
 一つ目は、現状の調査や分析に必要となる財務資料(期間対比表、部門別推移表、部門別対比表、ABC分析、補助科目内訳表など)が常時、瞬時に作成でき、これらのデータをExcelなどの表計算ソフトに簡単に取り込める点です。当所では必要に応じ、勘定奉行のデータをさらに加工して売上・利益予測や決算予測、問題点分析のためのオリジナル資料を作成し、クライアントの経営判断に寄与しています。一例として、当所が受任するクライアントは、以前「税務顧問」を他の会計事務所に依頼していました。経営者によれば、その会計事務所は年数回、一括して経理処理(記帳代行)を行うのみで、税務申告書の作成を目的とした財務諸表しか作成していないため、経営判断に役立つ経営情報が提供されず、金融機関への決算説明も十分できず不安を感じていました。そこで、まず勘定奉行を導入して部門別に損益を把握できるように経理システムを改善した後、勘定奉行から出力される帳表を毎月15表のオリジナル月次決算資料に展開し、その数値に基づいて経営者とともに経営改善に取り組みました。その結果、経営者の目が全部門に行き届くようになり、「KAIZEN」を全社レベルで行うことが可能になりました。経営者が陣頭に立って経営改善に注力すると、各部門のマネジャーがその業績について責任を持つようになり、業績が一気に向上しました。また、金融機関に当所が作成する月次決算資料を提示し、詳細な決算説明を行うことで高い評価を受け、信用度も上がりました。このように勘定奉行を単に会計業務だけではなく、経営情報のデータベースとして活用することで業績と経営の品質を向上させることができます。
 二つ目は、勘定奉行は定型仕訳(テンプレート)など入力サポート機能が充実しているため、経理担当者の簿記の知識が乏しくても、導入時から仕訳作業が容易にできる点です。当所では勘定奉行の導入支援の一環として、スタッフが毎月クライアントを訪問し、経営相談や入力データのチェックだけではなく、入力方法や会計・分析帳票の作成方法もレクチャーしています。当所の実績によれば、簿記や経理の知識がない担当者の方でも、やる気さえあればほぼ1年でほとんどの入力業務はこなせるようになります。経理部門のスキルアップは企業の経営管理機能の強化に直結するため、クライアントのメリットは大きいと思います。
 三つ目は、会計ソフトとして完成度が高く、非常に安定している点です。セキュリティも堅牢で、入力権限者の設定や管理、変更履歴の保持などの機能が充実しているため、システムの設定と運用次第で、いわゆる「内部統制」の整備に活用することができます。中小企業が着実に成長していくためには、内部統制の整備と運用は重要な経営課題ですが、ゼロから独自で行うには相当な時間とコストがかかります。その点、パッケージされた勘定奉行を活用すれば相当の経営資源を節約できます。
弁護士、国税局OB所属のプロ集団
難易度の高い税務・財務問題に対応
 当所では経法財研究所に所属する専門家がチームを組んで、中小企業の様々な経営問題や課題をワンストップで解決する体制を整えています。チームは、会計、経営、一般税務のほか、企業法務を専門とする弁護士、特殊税務を専門とする国税局OB、マーケティングを専門とするMBAで構成されています。ちなみに、国税局OBのうち1人は国内税務、もう1人は国際税務のスペシャリストで、難易度の高い案件への対応やセカンドオピニオンサービスを担当しています。当所はプロフェッショナル集団の中核を担い、事業再生、組織再編、M&A、株式公開支援、金融機関交渉、海外租税対応、特殊調査対応など多岐にわたる業務に関与し、成果を上げています。今後、当社の成果に基づくノウハウを、税理士、公認会計士、弁護士等専門家向けに提供し、実地に支援するサービスを開始する予定です。
税制改正のトレンドを押さえる
キャッシュ・フロー経営も重要に
 2014年度以降に行われた大きな税制改正の中には、中小企業にとって影響が大きいものとして、グループ法人税制、投資等優遇税制、消費税等税制、事業承継税制、相続税制など多岐にわたるものがあり、場合によっては知らないと損、知っていれば得をすることもあろうかと思われますので、詳細については顧問税理士にお尋ねください。特に、消費税等については資金繰りの見地からも検討する必要があります。消費税率の5%から8%へのアップは一見、たった3%の増税に見えますが、実際にエンドユーザーとして負担する税額は単純計算で60%増になります。財政基盤の弱い企業は、お客様から預かった消費税等を事業の運転資金に流用せざるをえない場合もあろうかと思われますので、納税時に資金繰りに窮しないために、損益だけではなく手元現預金を重視するキャッシュ・フロー経営の視座が必要です。
 また、最近、海外に現地法人や拠点を設けて販路を開拓する中小企業も増えてきましたが、進出先の国や地域の法律や税務について十分な知識がないまま、勢いに任せて進出してしまうケースが見受けられます。日本と制度の異なる異境において成功を収めるためには、現地の法務はもちろん、会計制度や税制に精通した専門家のバックアップが不可欠であることを知っていただきたいと思います。
Vol.35
2014年秋号
「ASOSの会計ひろば」では、OBCが運営・管理する会計人パートナー制度に加入する会計人が登場!
自慢のサービスを紹介しながら、会計・税務&奉行シリーズに関するトピックを語っていただきます。

>森好伸氏
公認会計士・税理士
森 好伸
(もり よしのぶ)
1958年生まれ。国内大手監査法人、外資系大手経営コンサルティング会社を経て、91年に独立し、森公認会計士事務所を開設。翌年に森好伸税理士事務所を開所。開所時から一貫して付加価値の高いサービスを指向し、税務や記帳代行に偏らない経営、会計、財務のアドバイザリーサービスや、多分野の専門家と連携した実践的な経営コンサルティングサービスの提供により徐々にクライアントが増え、現在は大企業から個人事業まで幅広い顧問先を有する。必要に応じ自ら、クライアントの経営会議、財務会議、経理会議などの重要会議に参加し、経営者とともに経営計画や戦略の策定、経営改善、財務改善・経理業務効率化に力を注ぐ。現在、中小企業向けシンクタンクの株式会社経法財研究所の顧問を兼任。

株式会社経法財研究所(長谷法律事務所内)

●株式会社経法財研究所(長谷法律事務所内)

住所:東京都千代田区麹町5-1 NK真和ビル9F
TEL:03-5226-6288

2005年7月設立。経営、法務、財務、会計、税務の専門家が所属し、中小企業に対する経営コンサルティング、M&A、事業再生などの経営サポート事業を展開。勘定奉行を活用した財務基盤の整備や経理部門の人材育成、経営管理システムの構築を得意分野とし、補助金や助成金の申請、中小企業経営革新等支援にも柔軟に対応する。一般企業だけではなく会計事務所等にも自社のノウハウやメソドロジーを公開して、経営者、事業承継者(二代目)、経営幹部、経営コンサルタントの啓発、人材育成を目的とする研修事業も行う。

●奉行EXPRESS 2014年秋号より