会計ひろば2
数字重視の「会計理念経営」を追求
過去の数字を将来の活動に活かす
 東京メトロポリタン税理士法人は、東京メトロポリタン・コンサルティング・グループが母体となって設立された法人です。現在、顧問先は約200社で、主にアミューズメント会社、ソフトウェア会社、介護サービス会社、不動産会社、建設会社などと契約しています。
 当初コンサルティング会社だったこともあり、税理士法人となった現在も、通常の税務会計業務に加え、経営コンサルティングの要素を用いたサービスを提供できることが強みとなっています。具体的には新規に関与する企業等に対し、経営資料の分析やヒアリングを行いながら、経営診断レポートを作成しています。これを行ってから関与することにより、会社の課題、解決の道筋、関与方法が明確になってきます。
 中小・中堅企業の課題は、言うまでもなく、業績の向上です。しかし、「業績が上がらない」という問題以前に、「業績が分からない」、つまり、タイムリーに会社の現状を把握できていない経営者が少なくないのではないでしょうか。
 東京メトロポリタン税理士法人では、「会計理念経営」を追求することにより、中小企業の成長・発展に貢献することを、ミッションとしています。会計理念経営とは、会計を経営の中枢に据えた経営のこと。正しい会計を行うことによって、企業の実態を「唯一の真実」といえる「数字」で把握し、これを経営の指針にしていくというものです。
 経営者の方は、会計のことをどちらかというと、後回しにしがちではないでしょうか。月次決算に関しても、既に終わったことに対する数字であり、それよりもこれからのことの方が大切だと考える傾向があるように思います。さらには、数字は後で調整して変更できるものだと思われている方もいるでしょう。しかし、過去の数字を正しく集計し、正しい数字を認識して、それを将来の活動に活かしていくことなくして、企業の未来は拓かれないといっても過言ではありません。
月次決算の仕組みを作り計画を策定
毎月の業績会議で計画と実績を対比
 会計を良くすると、会社は良くなります。このことに、中小・中堅企業の経営者の方に気づいていただき、財務・会計を中心に全面的に支援することが、私たちの使命です。実際に様々な事例を見てきた中で、会計を重視している会社は、伸びています。逆に数字を真剣に見ない会社は業績が上がっていません。
 具体的には、まず、月次決算が翌月5日までに出せるような仕組みを作ります。経理部門を支援しながら、売上、原価、経費、利益など必要なデータが効率的に収集され、集計されるようなシステムを構築していきます。仕組みが構築され、月次決算がスピーディーに出るようになれば、次は事業計画を作るサポートをします。集計された数字をもとに、毎月の売上や利益の計画を予め策定していきます。複数の部門に分かれている組織であれば、部門別の計画を作成します。
 そして、翌月からは月次業績会議を開き、私たちからの報告をもとに、計画の達成度を、部門ごとに確認していきます。達成していなければ、原因を究明し対策を立てます。これらのプロセスをまとめると、(1)月次決算の仕組み作り、(2)利益計画の策定、(3)業績会議となります。このプロセスを通じ、上がってくるタイムリーな数字を、計画と実績を対比することで経営に活用していくことが、最も重要なのです。
連携性に優れた奉行シリーズを導入
数字を重視した経営で業績好調に
 月次決算の仕組み作りには、「IT」が不可欠です。会計ソフトをベースとしたシステムを構築する必要があります。しかし、各企業の既存のシステム環境は様々です。それらの既存のソフトと連動しながら、システム全体の仕組みを考えていくことが重要です。したがって、会計ソフトは、他のシステムやソフトとの連動をスムーズに実現できることが、欠かせない条件となります。その点、奉行シリーズは、他のソフトとの連携性に優れ、データの一元管理が容易に実現できるというメリットがあります。会計ソフトは、今や企業の様々な数値を管理するデータベースとしての役割を求められており、一元管理できることは大きな利点です。
 私たちは、グループ会社のクイック経理などを通じて、奉行シリーズを多くの顧問先に導入し、実績も挙げています。例えば、社員数100人のあるゲームソフト開発会社では、月次決算の集計が遅く、集計された売上も開発案件ごとの原価と照らし合わすことができず、損益が把握できていない状態でした。経理を担当する社員は2人で、マンパワーで対応するには、限界がありました。
 そこで、集計に時間がかかる原因を一つひとつ解消し、さらに、勘定奉行[個別原価管理編]を導入。各開発案件の個別原価データを他システムから取り込み、売上と対応させて損益を計上できるシステムを構築しました。それによって、月次決算は翌月5日を達成できるようになり、さらに毎月の損益の把握も可能になりました。また、従来、別々のシステムやソフトで管理していた財務・会計データを、勘定奉行で一元管理できる仕組みも整いました。現在、同社は業績アップが続く優良企業となっています。
 他の事例も紹介します。あるカラオケチェーンでは、経理の担当が基本的に1人で、体制の構築から考える必要がありました。まず、経理担当者を3人に増員。月次決算を翌月5日に出すには、経理の努力だけでは難しいので、他の部門の協力体制も整備しました。例えば、各店が支払う家賃は他部門が毎月集計していたので、そのデータが会計システムに取り込まれるような仕組みを構築。経理担当者から、部門別に予算計画を作成するように指示し、実績との対比を毎月の取締役会で行うようにもしました。東京メトロポリタン税理士法人の税理士が会議に会計参与として出席し、報告やアドバイスもしています。その会社も売上、利益ともに大きく伸びています。
異業種交流会を運営し側面から支援
数字とともに「強い思い」も大切
 税理士業務とは別に、LLC(合同会社)形式で、異業種交流会「東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部」を5年前に立ち上げています。顧問先をはじめ、様々な企業の方々が参加し、ビジネスマッチングや自社PR、交流などを通じ、個々のビジネスをより成長・発展させる場となっています。私たちにとっても、ビジネス案件の拡大や顧問先の開拓につながるという副次的効果があります。
 今後も、税理士業務や交流会などを通じて、多くの中小・中堅企業をサポートしていきたいと考えています。会社を良くするためには、数字とともに、「業績を何が何でもアップさせたい」という強い思いも、当然のことながら必要でしょう。月次の数字を見て、強い思いを持って徹底的に深掘りして考えれば、何か方策は見つかるはずです。
 これからも、より多くの中小・中堅企業が、強い会社、儲かる会社、継続する会社になれるように、深く考え、決断する経営者を支援していきたいと考えています。
Vol.26
2012年夏号
「ASOSの会計ひろば」では、OBCが運営・管理する会計人パートナー制度に加入する会計人が登場!
自慢のサービスを紹介しながら、会計・税務&奉行シリーズに関するトピックを語っていただきます。
>北岡 修一氏
統括代表
税理士

北岡 修一氏
(きたおか しゅういち)
1980年、有賀会計事務所入社。1983年に北岡修一税理士事務所を開業し、独立。同年には日本経営計画株式会社の設立に参画し、税理士業務とともに、経営コンサルティング業務に携わる。1990年、東京メトロポリタン・コンサルティング・グループ株式会社を設立し、取締役副社長に就任し、1994年には同社代表取締役に。2002年、東京メトロポリタン税理士法人を設立し、代表社員就任(2009年に統括代表に就任)。2007年には、経営者の異業種交流の場として、東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部を設立し、代表に就任。
>榎本 孝史氏
税務部第2課 課長/システムコンサルタント
株式会社クイック経理 代表取締役

榎本 孝史氏
(えのもと たかし)
2004年の入社以来、法人顧問業務を担当。現在は、奉行シリーズの販売・導入支援を行う株式会社クイック経理(1999年設立)の代表取締役を務め、ITを活用した経理の仕組みづくりを通じ、顧問先の経理部門の建て直しなどをサポートする。
オフィス

東京メトロポリタン税理士法人

住所:東京都新宿区西新宿6-5-1新宿アイランドタワー4F
TEL:03-3345-8991

2002年9月、税理士法人制度の法制化に伴い設立し、個人事務所を移管。中小・中堅企業に対する「税務会計業務」を中心に、不動産、相続税関連の「資産税業務」、就業規則作成及び見直しなどの「労務・法務業務」、経営診断などの「経営コンサルティング業務」を提供する。グループ会社に、ティーエム・コンサルティング株式会社(旧東京メトロポリタン・コンサルティング・グループ株式会社)、株式会社クイック経理、東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部がある。

●奉行EXPRESS 2012年夏号より