会計ひろば2
成長志向の強い顧客を支援
段階に応じたサービスを提供
 青山パートナーズ会計事務所では、支援するクライアント像を明確に打ち出しています。それは「成長志向の強いクライアント」です。ある業態だけに特化したり、会社規模を限定したりする事務所もありますが、私たちは業態や規模は問いません。そのため、クライアントは、ソフトウェア、携帯コンテンツ、ASPサービス、衛星放送、映画製作、コンテンツ、アウトソーシング、人材派遣、警備会社、福利厚生会社など多岐にわたります。
 会社の規模もさまざまです。成長支援を目的に開設した事務所なので、新規創業の方やベンチャー企業、戦略子会社なども多いのですが、蓄積したノウハウを活かし、複数の大手上場企業や事業承継を前提とした老舗企業への支援にも力を入れ、100年を超える業歴の会社も何社かお手伝いしています。「成長志向」というキーワードに合致する企業や経営者の方であれば、支援させて頂くという方針を貫いています。その理由は、私たち自身がナレッジパートナーとして、ともに成長していきたいと思っているからです。
 さらに特徴的なのが、成長段階に応じてシームレスにサービスを支援する体制を整えていることです。個人事業やベンチャー企業の創業時には、記帳代行サービスを提供し、会社のサイズが大きくなるにしたがって、チェックやアドバイスを中心にサポートし、経理部門を作る段階となれば、経理担当者の面接など採用支援をすることもあります。
 人事制度や関連規程の整備、給与、社会保険関連などの人事・労務関連サービスも、グループ会社の青山パートナーズヒューマンサービスを通じて支援します。企業の成長に従って、事業計画立案、組織構築、銀行取引、資金調達、資本政策などをフルサポートします。そして、株式公開を目指すことになった場合も、監査法人の紹介から監査準備、審査対応、上場後支援まで豊富な実績とノウハウをベースに支援します。このように、どのステージからでもクライアントと同じ船に乗り、経営管理支援を通じて、望む限りシームレスに成長をお手伝いできることが、私たちの強みです。
最も大切な価値は「組織資産」
共感が人を呼び、顧客を呼ぶ
 こういった強みを発揮できるのは、私たちが、会計事務所にとって最も大切だと考える「組織資産」を持ち、それを日々高めようと努力しているからです。組織資産とは概念的な資産ですが、具体的には、組織としてのフィロソフィーや風土、考え方、それを反映させた仕組み、仕事の進め方、やり方を反映させたマニュアルなどを指します。例えば、考え方については、私たちがスキルを提供することで、顧客の成長を促すとともに、自分たち自身も成長していくというもの。またマニュアルでは、書類の作成・記述のルール、勘定科目別のファイリングやクロスリファレンス(各勘定項目を決算書や申告書などに紐付ける作業)などの方法を詳細に標準化しています。
 そうした貸借対照表には載らない資産を、最も価値のあるものだと考え、共感する人材を採用し、考え方やマニュアルを完全に共有できるまで、徹底的にトレーニングします。この人材育成の部分は業界でもトップクラスだと自負しており、それによって同じ価値観や仕事のやり方を身に付けたスタッフが、どの顧客に対しても、常に質の高いサービスを提供できるようになるのです。
 顧客も「安いから」とか「規模が大きいから」、「有名だから」といった視点ではなく、組織資産という「概念」に共感して仕事を依頼していただけます。そして、その顧客が私たちの仕事の質や概念を他の顧客に広い意味での口コミで伝えて頂くことで、顧客数はさらに増えていきます。事実、私たちの新規顧客獲得のほとんどが何らかの紹介や“つながり”によるものです。そうして概念に基づき人的資産も顧客資産も増加し、顧客からもたらされる顧問料により金融資産や物的資産も増え、投資によりまた人的資産が育つという好循環を実現して参りました。
ビジョンを基にした計画経営
ITは会社の“組織化”を促す
 ところで、今の時代に中小企業が成長するために必要なことは何でしょうか。1つは、どんな会社にしたいのか、どんな仕事をしたいのか、具体的な「ビジョン」を持つことです。ビジョンは目標でも理想像でも、サービスや製品に関することでもいいのですが、それが定まって、初めて理想と現実のギャップが明らかになります。そのギャップを埋めるためにどんな手を打っていけばいいか、どんな方向で商売をしていけばいいか、戦略や計画を考えるきっかけにもなります。厳しい経済環境だからこそ、ビジョンを基にした計画経営は不可欠であり、最近は私たちの事務所でも同様のアドバイスをする機会が多くなっています。
 そしてもう1つが、ITの活用です。ITを活用するメリットは、効率化やコスト削減などが挙げられますが、実はもっと本質的なメリットがあります。それは、中小企業の業務を「標準化」、「組織化」できるという点です。例えば、ERPパッケージなどはある程度デファクト化された手続き、無駄を省いた標準的な手順を前提としており、それらがベストソリューションとして構成されています。
 中小企業では独自のやり方があると思いますが、その良い部分は残した上で、この標準的な手順に業務を乗せることで、例外的な処理が整理され、会社が自然と組織化されていくのです。成長を模索している中小企業は、ITを組織化のためのツールとして捉えることで、活路が見出せるのではないでしょうか。
成長支援に最適な奉行シリーズ
事業計画へのリンクが重要
 IT化を考える場合、私たちが、最も有効なツールの一つと考えるのが奉行シリーズです。それには明確な理由があります。会計ソフトでは、会社が小規模なときは価格ありきで安価なソフトを選択し、成長して大きくなったときは機能アップした別のメーカーのソフトと、分けて考えがちです。しかし、インターフェースや仕組みが変わると再度覚えたり、慣れたりする必要が生じ、生産的ではありません。通常、データの互換も困難です。
 それに対し、奉行シリーズは、創業当初には比較的廉価なパッケージで始められ、ある程度成長した際には、機能を追加したな通常パッケージに移行し、会社の規模が大きくなったときは、さらに上位モデルに移行できます。つまり、会社の成長に合わせて同じパッケージのシリーズでアップグレードすることができるという大きな利点があります。
 会社の成長に応じて奉行シリーズも上位展開できるというコンセプトは、青山パートナーズ会計事務所の「成長支援」と非常に良くマッチします。ですから、私たちはクライアントがIT化を図るときに奉行シリーズを薦めますし、実際にクライアントの9割以上が導入しています。予算と実績の管理や能力に合わせた部門管理にも適しています。
 また、会計の勘定奉行を最初に導入し、必要に応じて人事奉行や給与奉行を組み入れ、販売に関しても請求書作成や売掛金の管理をしたいならば商奉行、在庫管理なら蔵奉行と、パッケージを連鎖させることができることも成長企業にとって魅力です。状況によってはカスタマイズも可能です。
 今後は、成長意欲のある企業を支援するための仕組みを、さらに研ぎ澄ましていきます。最近は業界で生き残るために、数字で具体性を高めた計画経営がより重要視されるようになっており、事業計画作成の支援や、会計システムを事業計画にリンクさせるノウハウの提供などにも力を入れます。
 一方で、私たちのように奉行シリーズのパワーユーザーであり、クライアントへの販売やサポートも業務としている会計事務所とのネットワークも必要だと思います。例えば有志が集まる研究会などを通じて、意見交換などができればとても有難いです。
Vol.21
2011年春号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
北岡 修一氏
代表パートナー・公認会計士・税理士・ITコーディネーター
馳 雅樹氏
(はせ まさき)
1963年生まれ。87年3月に中央大学商学部会計学科卒業後、同年10月からアーサーアンダーセン(現あずさ監査法人)に勤務し、株式公開や業務改善コンサルティングに従事。94年には都内大手会計事務所に転じ、税務申告業務、エンターテインメントビジネス支援、IPOコンサルティングなどに従事した後、99年に青山パートナーズ会計事務所を設立。
青山パートナーズ会計事務所

●青山パートナーズ会計事務所

住所:東京都港区南青山6-12-1 TTS南青山ビル4F
TEL:03-5464-1144
ホームページ:http://www.aoyamapartners.com/

アーサーアンダーセンでコンサルティングに従事し、その後大手会計事務所に勤務した馳雅樹氏と坂巻靖哲氏を共同代表に設立。経営的視点を重視しながら、会計・税務業務から経営管理支援サービスまで、幅広い業務をワンストップで提供する青山パートナーズ会計事務所。各種コンサルティングサービスを提供する「(株)青山パートナーズ」、人事・労務サービスを提供する「青山パートナーズヒューマンサービス(株)」とともに、青山パートナーズグループを形成。グループで、成長志向の高いベンチャー企業などに対し、事業の立ち上げから公開支援(上場、IPO)まで成長ステージに応じたサービスでシームレスに経営をサポートする。現在は、事業承継を前提とした成長支援にも力を注ぐ。

●奉行EXPRESS 2011年春号より