会計ひろば2
顧問先ごとに徹底的に深堀・関与
真のワンストップサービスを提供
 総合会計事務所は、「個々のクライアントの問題に従って深堀して徹底的に関与していく」会計事務所です。パッケージ化されたさまざまな経営分析サービスを提供している会計事務所もありますが、私たちはそうした画一的な提案の仕方はしません。あくまで個々の企業が抱える問題や内容に着目し、それを解決することに全精力を注ぎます。そのため、財務会計だけでなく、管理会計的な要素を使って経営内容をつぶさに把握して、経営者とともに今後どのように事業を展開していくか、もしくはどのように業務を改善していくかといったことを決めていきます。いわば、経営コンサルティング的な関わり方に注力することです。
 もちろん自分たちだけでは全ての問題を解決することは困難です。そこで、本当に信頼できる弁護士、司法書士、行政書士などの外部の士業の方々と連携し、ワンストップでサービスを展開できるような体制を整えています。また、銀行や損保・生保などの金融機関、不動産会社などにも幅広いネットワークを持ち、どんな事案に対しても最高の提案で対応できるような本物のワンストップサービスを提供しています。
個々の担当者のレベルアップに尽力
不況でも顧問先の倒産・廃業は極少
 では、こうして個々のクライアントの内容に応じて臨機応変に対応するためには何が最も大切だと思いますか。それは、一にも二にも人材です。私たちの会計事務所に所属するスタッフのレベルが非常に重要になります。それがなければ、私たちが目指す個別対応サービスは実現しません。そのために財務会計、管理会計の知識、問題解決力、ITの知識やスキルを向上させる社内研修に力を入れています。新人や若手社員とベテランの税理士が複数で1つの顧問先を担当し、それをOJTの機会とすることで、現場でも鍛え上げます。
 さらに、社員から顧問先の月次報告を受ける際には、必ず今後その企業の経営や事業をどのように展開していくのか、あるいは問題をどのように改善していくのかを、報告させます。少しでも甘い見通しがあったり、対策が不十分だったりする場合は、厳しく指摘し、新たな対策を考えさせます。この過程を毎月繰り返すことで、顧問先で問題解決の実績を作り、信頼を獲得していきます。
 こうして「個々の担当者のレベルアップを図って、顧客満足度を高める」という戦略を徹底しているため、顧問契約を打ち切られることはほとんどありません。現在の不況の中でも、顧問先が倒産・廃業するケースは極めて少ない状況です。税理士にとっては節税対策のアドバイスも大切ですが、それだけでなく、管理会計を積極的に使ってクライアントの経営に早めの警鐘を鳴らし、改善につなげることこそ、非常に重要な役割です。その役割を果たしていることが、結果的に倒産・廃業に至らない一助になっていると、私たちは自負しています。
勘定奉行の導入などIT支援に注力
自計化の実現が経営改善の突破口に
 個々の担当者のレベルの高さとともに、総合会計事務所が強みとしているのが、IT支援です。ITは経営改善や業務効率化といった中小企業の課題に対処するために、もはや不可欠なツールです。私たちは、経営的また会計的なコンサルティングの中で必要に応じて、顧問先への会計ソフトの導入などを通じたIT支援を積極的に推進しています。
 基本的にはあらゆる会計ソフトに関する知識やスキルがあり、どのソフトでも対応可能ですが、顧問先で制約がない場合は、勘定奉行の導入を薦めています。理由は2つ。1つは、勘定奉行がマルチユーザー・マルチタスクであること。つまり、サーバーを介して複数のユーザーが同時に使うことができるというメリットがあるからです。導入先で複数の社員が使用できますし、私たちの会計事務所もネットワークを通じて操作ができ、非常に実践的かつ機能的です。もう1つが、会社の規模が大きくなった場合でも、問題なく使えるソフトであるためです。他のソフトでは規模の拡大に対応できないものもあるのですが、勘定奉行はLAN環境を構築すれば、拠点が全国に点在することになっても、各拠点のパソコンからの操作が可能になります。実際に沖縄、九州、埼玉、東京の各拠点に事業所を持つことになった顧問先が、勘定奉行を20クライアント導入し、拠点間をVPN(Virtual Private Network)で結び、非常にスムーズに運用しています。従って、将来の成長を見越して、勘定奉行を薦めています。
 このように会計ソフトを導入することは、実は経営改善の第一歩となるのです。領収書や請求書などの伝票の整理から帳簿記帳、仕訳入力といった経理事務を会計事務所などに任せずに自社で処理する、いわゆる「自計化」が実現し、今までブラックボックスだった経理が徐々に理解できるようになります。すると、管理会計に必要な要素が把握できるようになり、それらのデータを分析することで、経営の問題点や改善策が見えやすくなってくるというわけです。
 IT支援の際も、「徹底的に関与していく」という私たちのポリシーは貫かれます。単に会計ソフトを薦めたり、アドバイスしたりして終わるのではなく、業者との折衝、導入後のオペレーション、操作方法の指導などを通じて手厚くサポートします。中小企業はIT関連の人材やスキルに乏しいケースが多く見られます。そうした場合に私たちが顧問先の社員や役員のような位置づけで、導入コンサルティングサービスを提供するわけです。正直儲けにはなりません。しかし、ここでの深堀した関与が信頼を生み、その後10年、20年といった長い期間の顧問契約につながるのです。
CREのコンサルティングも強み
今後は支店を増やし規模の拡大へ
 その他、CRE(Corporate Real Estate企業が事業のために所有する不動産)の有効活用のコンサルティングも私たちが得意とする分野です。中小企業の資産では、最終的に不動産で残っていくことが多く、経営コンサルティングの一環として、必然的に不動産の知識や関連業者のネットワークが必要となってきます。極端な話、不動産を知らないで中小企業のコンサルティングは務まりません。
 中小企業では、所有している不動産が有効に活用されていないケースが多く、工業団地だった土地を購入した企業が、20年間更地のまま放置しているという事例もあります。この土地は、誰かが活用の提案をしないとその先も動きません。そこで、私たちが資産税、法人税、利益を考慮したトータルな提案をし、業者を通じてビルを建てた後のテナントまである程度決め、賃貸条件の折衝も代行します。また、必要であれば売却という方法を取るケースや、逆に財産のポートフォリオを変えるために不動産の購入を薦めることもあります。
 さて、総合会計事務所の今後については、社員も育ってきているので、いくつか支店を増やして、規模を拡大していく計画を立てています。ただし急な拡大路線はとりません。急拡大は質の低下につながるためです。あくまで身の丈にあった成長を目指し、これからもITを駆使し、人材やスキル、協業ネットワークなどの強みを活かした「ワンストップ」のサービスを提供し続けていければと考えています。
Vol.17
2010年春号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
沖山 伸広
代表社員
税理士
沖山 伸広
(おきやまのぶひろ)
石澤 英男
代表社員
税理士・社会保険労務士
石澤 英男
(こくざわひでお)
税理士法人 総合会計事務所

●税理士法人 総合会計事務所

住所:埼玉県さいたま市南区南浦和2-42-12
TEL:048-883-5088
ホームページ:http://www.sogo.or.jp/

1994年1月に沖山伸広氏と石澤英男氏が当時勤めていた会計事務所から独立し、98年に税理士法人総合会計事務所を設立。現在の社員数は21名で、顧問先は零細・中小・中堅企業を問わず、業種も地場の製造業や小売・サービス業、不動産業、建設業などさまざま。個々の顧問先に対し、管理会計をベースに問題点を洗い出し、改善していくコンサルティング業務を得意とする。また、企業再生や事業承継、不動産の有効活用など中小企業を取り巻く問題に対する解決でも数々の実績を上げる。今後は、会計事務所としての高い質を維持しつつ、支店の新設などにより規模拡大を目指す。

●奉行EXPRESS 2010年春号より