会計ひろば2
あらゆる相談に“ワンストップ”で応える体制を構築
 2006年5月1日に施行された新会社法の制定や、2008年4月1日以降に開始される事業年度から適用される金融商品取引法など、経営、会計、税務を取り巻く環境は大きく変化しています。企業経営者は、日々の経営に加え、それらの対応に何かと苦労の多い時代。そういった情勢において、当事務所もより一層の基盤強化と永続性のある事務所運営を目指し、2006年度に税務部門を法人化しました。
昨今の経営環境は、変化のスピードが速い上に複雑多岐にわたる問題が多く、顧客からの要請が事業再生や経営戦略の策定、リスクマネジメント、事業承継・相続対策など、会計・税務という専門外の周辺業務に及ぶ場合が多くあります。そこで、株式会社神戸マスブレーンズを設立し、弁護士や司法書士、社会保険労務士、行政書士をはじめ各種コンサルタントと緊密なネットワークを保持し、あらゆる相談に“ワンストップ”で応えられる体制を構築しています。
会計における支援のポイントは資金計画書に「見える化」すること
 本業の会計・税務分野においては、給与計算などの事務代行から、会計・税務面からの経営コンサルティングまで、顧客のニーズにきめ細かく対応しています。当事務所がある神戸を中心とする阪神地区の企業は、中小企業の占める割合が高く、長く経営を続けている企業の中でも、厳しい資金繰りを強いられているところが多くあります。そこで、財務状況を分析し資金計画や再建計画を策定、経営者とともに金融機関との交渉に臨むという支援も行います。
会計における支援のポイントは、経営者の頭の中にあるイメージを資金計画書に「見える化」して提供すること。例えば、設備投資を決めるに当たり、どれだけの収益性を見込んでいるかを明確にして投資額を算出できている経営者は多くはいません。償却と見合いながら、どれだけのキャッシュインが見込めるかを「見える化」することで、どの程度の設備投資が可能かを明確にすることができます。
予算計画の策定においては、例えば賃金など固定費の変動費化に成功している他社の事例を提供するなど、経営の効率化に関する提案も積極的に行い、「外部の経理課長」として活用してもらえるよう心がけています。
当事務所は「勘定奉行」の開発元であるOBCの会計人パートナー制度「ASOS」に参画しています。「勘定奉行」は、部門別会計やABC分析、損益分岐点の算出など経営分析に必要な資料が簡単に出力できるところが評判です。昔は簿記のルールはパターンが決まっていたので、試算表さえ提供していれば会計士・税理士の仕事は済んでいた面があります。ところが、現在は試算表に隠されている数字をいかに見つけ出して提示するかが問われています。そのためにも、「勘定奉行」の使い勝手の良さは、プロである我々にとっても重宝するものです。
事業承継、起業支援、公益法人支援など、多彩なサービスを展開
 近年増加している、経営者が頭を悩ます問題が事業承継。後継者難や多額の相続税納税のために、会社の売却を余儀なくされる経営者が少なくありません。新会社法の施行により、「取得条項付株式」(会社が一定の事由の発生を条件として取得することができる株式)などの「種類株」が増えましたが、これらの発行や、持株会社の設立による節税対策を織り込んだプランなど、さまざまな事業承継対策を提案しています。また、2009年度の税制改革で、一定条件のもと、相続等により取得した自社株式にかかわる相続税の80%が納税猶予される制度が創設される予定ですが、そういった情報を常にキャッチして顧客に提供することも心がけています。
ほかにも特色のあるサービスを提供しています。まず、起業支援。初回の相談は無料で受け、支援内容を検討したうえで、契約月より2年間、通常の月額顧問料もしくは決算申告料の30%程度を割引して支援するというサービスです。支援内容は、起業前の段階においては事業計画書の策定および必要な起業準備内容のアドバイスなどを行い、起業直後のアーリーステージにおいては、資金繰りの相談など必要に応じたアドバイスを提供しています。
2008年度中に公益法人制度の抜本的改革が始まります。そのプロセスにおいては、財団法人や社団法人の公益性や会計の中味が厳しく吟味されることになりますが、その準備のための一連の作業を積極的にサポートしていく方針を打ち出しています。
ホームページでは、「経営サポートサービス」を実施しています。これは、会員(会費無料)になると、無料で企業経営や医業経営に関するさまざまな最新情報を随時更新してダウンロードできたり、ビジネス文書や法令文書の文例の閲覧ができるというもの。サービスそのものは、創業当時の30年ほど前から月報の配布という形で行っていました。しかし、スピード化の現代にあっては、よりキメ細かく迅速に提供できないと意味がありません。そこで、ホームページを活用する方法に改めました。
原理原則に関する面では決して妥協はしないという姿勢で臨む
 数多くの企業経営者と接する中でわかる健全経営の必須の要点とは、やはり「ヒト」「モノ」「カネ」といった経営資産をうまくマネージすることに尽きます。
「ヒト」は会社がある程度まで成長した後は、社長1人で会社のすべての業務を行うことは不可能です。とはいえ、経営者は組織運営においてあらゆる方向に目を配らなければなりません。そこで、それをサポートしてくれる人材が不可欠となり、いかに育成するかがポイントとなるのはいうまでもありません。
「カネ」においては、例えば経営者が公私混同をするような会社は長続きしないでしょう。資金的に行き詰りやすい面と、そういった経営者のもとからは人材も離反するという面があるからです。健全経営の会社は、どれだけ繁盛しても経営者自らが厳しく自制し、決して冗漫にならないという共通項があるといえます。
当事務所では、さまざまな経営アドバイスを行うに当たり、経営者に対してあえて反対意見を述べたり、苦言を呈することも厭いません。それぞれの業種には固有の経営ノウハウがあるので、その面においては経営者の判断を尊重しますが、原理原則に関する面では、決して妥協はしないという姿勢で臨みます。それが経営者のためになると信じているからです。
とはいえ、「個人保証」という形で自分自身の財産まで事業につぎ込んで、まさに「命懸け」の中小企業のオーナー経営者は、大企業の「サラリーマン経営者」とは違う緊張感や意識の高さを持っています。そういった企業が少しでも発展し、地域の活性化に結びつくよう、これからも支援を続けていきたいと願っています。
Vol.09
2008年春号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
鳩 泰一
代表社員・税理士
鳩 泰一
(はと たいいち)
藤田和久
社員・税理士
藤田 和久
(ふじた かずひさ)
税理士法人 鳩合同会計事務所

●税理士法人 鳩合同会計事務所

兵庫県神戸市中央区北長狭通4-4-18 富士信用組合ビル3階
TEL:078-391-1911 FAX:078-392-1963
ホームページ:http://www.cpa-hato.jp/

1975年6月創業。2006年9月法人化。月次税務顧問業務、月次会計業務、事務処理改善業務、収支計画策定管理業務、事業承継や相続対策などの助言・提案を行う。グループ組織として公認会計士鳩泰一事務所、弁護士や司法書士などの専門家をネットワークする株式会社神戸マスブレーンズを擁し、顧客の要望に迅速に応える体制を組んでいる。

●奉行EXPRESS 2008年春号より