会計ひろば2
税法は生きた経済法。経営を見据えた視点で先を読む
 平成19年度税制改正は、減価償却制度の見直しが大きかったと思います。平成20年度には、機械装置の減価償却区分を大幅に簡素化する改正案も出されています。企業の国際競争力を維持するためにも、減価償却制度の国際標準化が必要です。次いで、平成19年度の改正を実務的に考察すると、新旧の制度が入れ替わった訳ではなく、旧制度も存続するという点に注意を要します。特に耐用年数の長い固定資産は残存期間も長いため、この先も旧制度を適用し続けることになり、二制度併用時代になったといえるでしょう。更に、旧制度適用資産に対する資本的支出について、新制度を適用するのか旧制度を適用するのかといった計算も必要になります。減価償却の実務は今より複雑化したと見るべきでしょう。
平成20年度の税制改正の注目点は、中小企業の事業承継税制です。日本は05年から少子高齢・少産多死の人口減少時代に入りました。団塊の世代の大量退職を経て、やがて企業は人材難の時代を迎えます。06年の中小企業白書では、中小企業は後継者不足で毎年7万社が廃業に追い込まれ、30万人の雇用が喪失すると指摘しています。中小企業の事業継続のための税制が不可欠です。改正案では、一定要件を満たす同族会社株式の評価額を80%減額するもので、これが成立すると中小企業の事業承継対策は新次元に入るものと予想しております。
四つの経営支援業務と「三点セットサービス」で安心をご提供する
 中小企業経営者のメンターを果たすべく、四つの経営支援業務を展開しています。この四つの支援業務にはそれぞれ「三点セット」と称するサービスメニューを組込んでいます。
一番目の経営支援業務がIT支援です。これには「自計化支援」「電子申告」「イントラネット構築支援」の三点セットを柱に展開しています。
二番目が、「ユニバーサルサービス」です。この業務の命名の狙いは、どのクライアントにも、どの担当者が関わっても、均質の効果をご提供できるサービスの実現にあります。具体的には、「企業保険」・「共済制度」・「長期投資」といった税制上有利で、資産形成・資産保全に役立つ確実な商品のご提案・媒介をする業務です。独自企画の年金セミナーも開催しました。07年12月にはNHK「日本のこれから」の番組出演も依頼され、「年金」のテーマで意見表明できる機会を得ました。
三番目が「法務サービス」です。コンプライアンスは、重要な経営テーマです。会社法を下敷きにした「定款整備・議事録等の指導」「種類株式活用と企業統治コンサル」「電子決算公告による経営公開」等の支援態勢を整えています。
四番目が「個別経営相談業務」です。これはクライアントの個別具体的な相談に応える業務で、協力企業や他士業との連携のもと、「一日公庫」「無料法律相談」「M&Aセンター開設」を通じて個別具体的な相談を承っています。
目の前のお客様を喜ばせる。これが企業理念です
 鳥取県の人口が07年10月、60万人を下回りました。これは足立区の人口とほぼ同程度だそうです。07年の地方における「限界集落」が7,878ヵ所に達し、その4割弱が「消滅集落」となってしまいます。地方の少子高齢と都市部への人口流出は、地域経済に大きなダメージを与え、地元密着企業の命運すら左右する時代になりました。日本の人口は2055年には約9,000万人になるとの予測もあります。一方、地球規模では、今後50年間に世界の人口は64億人から90億人台に増加すると予測されています。21世紀は、国内では人口減少時代を迎え、世界は人口増加時代を迎えます。その中でも、トヨタ、ソニー、任天堂といったグローバル部門の大企業は、細り行く国内市場を尻目に、国外に活路を見出すことができます。しかしながら、国内市場にのみ依存するドメスティック部門に属する企業(大部分の中小企業)は、縮小する市場で、厳しい競争を強いられる運命にあります。今後このような世界観を強烈に意識しなければならない時代だと思います。
これからの時代の企業経営にとって何が重要なのか? このことに気づき、長期の経営戦略と基軸商品を準備することが、経営者の大事な仕事になると思います。そのためにも、時代を読み、時代を先取りし、真に目の前のお客様を喜ばせることができる、頼りがいのあるメンターになりたいと思っています。
Vol.08
2008年冬号
このコーナーでは、OBCのASOS会員である会計士・税理士といった、企業と必ず接点のある職業会計人の方を、現在のトピックを交えながら紹介していきます。
隅内 道三
株式会社合同会計 取締役社長
隅内 道三
(すみうちみちぞう)
株式会社合同会計

●株式会社合同会計

住所:埼玉県川口市青木2-2-7
TEL:048-256-3414(代表) FAX:048-256-3418
ホームページ:http://www.godoh.co.jp/

1970年8月設立。事業内容は財務計算サービスを主体に、監査決算をはじめ、企業のIT指南、リスクマネジメント、法務サービス、各種経営セミナーなど広く展開。
目の前のお客様の喜ぶ顔が見たいとの理念で、実務に徹した各種サービスメニューを用意し、真面目・愚直な仕事ぶりにお客様から厚い信頼を得ている。

●奉行EXPRESS 2008年冬号より