第5回目は、2006年9月に26歳の若さで石井宏明税理士事務所を開業した所長石井宏明氏に、平成19年度税制改正を交え、「これから」の税理士像についてお聞きしました。
平成19年度税制改正について
「減価償却制度の抜本的見直し」「同族会社の留保金課税制度の廃止」などが平成19年度の大きな改正点ですが、これらは活用方法によっては大きな減税効果をあげられる改正であるといえます。減価償却については1円(備忘価額)までの償却が認められるため、減価償却資産を持っている会社にとっては大きなメリットになるでしょうし、留保金課税の廃止にしても資本金1億円以下の会社にはキャッシュの確保という意味で効果が大きいと考えられます。今現在(取材時:2007年2月中旬)、平成19年度税制改正がどうなるか、正確には決定していませんが、ある程度私の意見も踏まえてお客様にご提供するようにしています。
中小企業にとっては「どうやって運転資金を確保するか」というのは切実な問題です(私も独立してみて、この問題は骨身に染みてわかっているつもりです)から、コンセンサスを持って税務相談をさせていただけるのではないかと思っています。
あらゆる経験が財産になる
私は大学1年生のときに税理士を目指して専門学校に通い、学生時代から相続税法の講師として専門学校で教壇に立つ機会を得ることができました。この経験は、現在もお客様とお話させていただく中で活かされています。
卒業後に東京都内の会計事務所に3年間勤務した後に独立したのですが、専門学校の講師当時の仲間とは今でも交流が続いています。私と同世代の税理士・会計士10人くらいのメンバーで始めた懇親を目的とした集まりが、いつの間にか月に一度くらいのペースの勉強会に姿を変えました。ここでは多くの科目がある税法について、同世代の各ジャンルの専門家と意見交換ができます。そして、各自が経験したことや解釈の分かれる事例などを、業務知識や経験が豊富な年長者の意見を聞くのではなく、皆で考えて結論を出すようにしています。そのように切磋琢磨する中で得られる多様で最新の知識は、私の日々の業務でも大きな財産になっています。
今は具体的な計画ではありませんが、将来的に勉強会のメンバーである各ジャンルの専門家集団で税理士法人を立ち上げて、お客様に、より最適なソリューションを提供することも考えています。
お客様の立場に立ったサービス
現在は、昨年の新会社法改正に伴って法人化した企業様とのお付き合いが多く、立ち上げ当初のご相談から経営コンサルティングまで、お客様と一体となって進めさせていただいています。
一般的な傾向として、立ち上げ間もない会社は財務・会計部門が弱くなりがちです。最初は会計業務の基礎から、そして奉行シリーズに代表されるような会計の電子化、経営コンサルティングなど、段階を踏んでその会社に応じたご提案をしていきたいと考えています。
会計システムは、私の事務所でも導入している「勘定奉行」をお勧めしています。ネットで繋いでいれば、リアルタイムで会計データを確認することができますので、不明な点だけを確認したり、早めにアドバイスすることが可能です。もちろん定期的な訪問でお客様の現状をしっかりと把握し、最適な方法をご提案することを基本にしていますが、記帳の自計化は進む傾向ですから、今後はこのような手法が主流になるのではないでしょうか。
今は独立したばかりですので、諸先輩の会計事務所のように多くのお客様とのお付き合いはありませんが、だからこそきめの細かいサービスを心がけています。お客様が経営方針を的確にご判断いただけるように、常に新しい情報を適切に発信していくことが大切だと考えています。
新規のお客様に対しては「最初の数ヶ月は試用期間と考えてください」とお話しして、領収書の整理のしかたや仕訳の方法などをアドバイスすることから始めています。そして業務契約を結ぶ前にも「他の税理士さんともお話ししてから決めてください」とお願いしています。
一度契約を結ぶと、企業と税理士は長いお付き合いになりますから、お互いに納得した上で共に成長して行きたいというのが私の考えです。
これからも私の最大の武器である、若さとフットワークを活かし、「何でも相談できる税理士」として皆様のお役に立てればと考えておりますので、気軽にご相談ください。 |