会計ひろば
第2回目は、会社設立から株式公開までを支援し、ベンチャー企業のナレッジパートナーを目指す、青山パートナーズ会計事務所におじゃまして、施行後の「新会社法」を中心にお話しを伺いました。
前回の会計ひろばでは新会社法のメリットをご紹介したのですが、新会社法の施行前後でどのような動きがありましたか?
 従前の手続きで株主総会の開催を行いたいとのご要望も多く、決算数値の確定日が前倒しになりました。弊事務所では、上場準備中の会社も多いため営業報告書や付属明細書を含む計算書類の作成支援サービスを提供しているケースがあります。そこで、取締役会の開催日程等の関係から新会社法施行日前に、決算確定、税務申告書類の作成に加え、商法計算書類の準備作業も集中しました。
施行日後は、やはり定款見直しと法人新設のご相談が急増しています。
施行後の実務で実感されていることは?
 会社設立に関するハードルが下がったことを実感しています。それと、設立に関するご相談の内容が質的に変化してきました。
新会社法施行後、数社の会社設立に関するご相談をお受けし、既に数社の設立のお手伝いを行いました。従来のご相談では、まず資本金相当分の資金確保や保管証明手続きが話題でしたが、現在は堂々と1円の資本金でも株式会社の設立ができるわけで、資本金額の違いによる税負担の違いなどがより重要なテーマになっています。
また、以前は、株式会社設立の際、取締役や監査役を誰に頼むかなど、決まった「枠組みへの対応」に関する相談が多かったのですが、施行後は、取締役会設置の必要があるか、株式の譲渡承認は社長がすべきかなど、「枠組み自体の決定」に関するものが中心になっています。設立時から、お客様自身が会社の組織体制や将来像を考えるということは今まで殆どなかったと思いますので、新会社法施行後にそれぞれの会社に合わせて、ガバナンスを考えるようになったことは本当に大きなとてもいい変化だと思います。
新会社法施行後、お客様に特別にアドバイスされていることはございますか?
 一般的な定款の見直しや関連する平成18年の税制改正への対応(オーナー経営者の給与所得控除相当額の損金不算入規定の導入など)はもちろんですが、商号の商標登録をアドバイスしています。
設立登記の際、従来は、同じ市区町村内で同じ事業目的での類似商号は登記できないという規制がありましたが、施行後には、同じ事業目的でも同じ市区町村内に同一商号の法人登記をされる可能性があります。したがって、自社と混同されるような名称の会社が、近所に突然出現するかもしれません。その場合でも相当の理由がなければ商号使用の制限は難しく、その会社が知名度を増すようなことがあれば影響は避けられないでしょう。そこで、自社商号の商標登録によって別の角度から社名やその信用を保護することが有効になります。
上場を目指すベンチャー企業のお客様も多いと伺いましたが、影響はありますか?
 弊事務所では、成長志向のクライアント、とりわけベンチャー企業に対し、“ナレッジ・パートナー”として、設立から株式公開までの一貫した会計・税務・経営管理の支援サービスを提供することを目指しています。設立段階から将来を考えた組織構成や資本政策のアドバイスは非常に重要なサービスです。
どのような方法で、どれだけの金額を調達し、どのような株主さんを作っていくのかの計画を“資本政策”と呼んでいますが、会社法では、その選択枝が拡充され、多様な形式の種類株式が認められました。実務での本格的な利用はこれからですが、既にご相談も受けています。評価方法など関連する問題もありますが、弊社でも事例の蓄積をすすめたいと考えています。
また、会社の組織構成を選択する自由度が高まりましたので、会社ごとに検討が必要になっています。従来は、多かれ少なかれ一定のパターンを前提に会社の規程類を整備したりすることもできましたが、これからは、個々の状況に合わせた機関設置、それに合わせた規程類の整備を進めることが必要になります。ですから我々も本当に手がかかりますし、力量も問われることになります。
この会社法を“使いこなしてゆく”にはまだまだ我々自身も研鑽を続けていかねばと考えております。
Vol.02
2006年夏号
企業を支援し、活動する職業会計人を迎え、時流にあわせた業務に関する話題についてポイントや詳しく知りたい部分を毎回紹介していきます。
馳 雅樹氏
代表パートナー
公認会計士/税理士

馳 雅樹氏
(はせまさき)
坂巻 靖哲氏
代表パートナー
公認会計士/税理士

坂巻 靖哲氏
(さかまきやすのり)
延平 昌弥氏
パートナー
税理士/米国公認会計士

延平 昌弥氏
(のぶひらまさや)
株式会社青山パートナーズ

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青山パートナーズグループは、公認会計士・税理士であるパートナーの経験とネットワークを活かし、株式公開支援業務を中心に各種コンサルティングサービスを提供する(株)青山パートナーズ、税務・会計に関するプロフェッショナルサービスを提供する青山パートナーズ会計事務所、人事労務サービスを提供する青山パートナーズヒューマンサービス(株)から構成され、起業から株式公開まで成長ステージに応じたサービスでシームレスに経営をサポートしている。
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●奉行EXPRESS 2006年夏号より