「社長の嘆き−どうやったら成功するんだろうITって」(3)

会社名
株式会社キートゥサクセス
投稿者名:代表取締役 金高 誠司
株式会社キートゥサクセス  代表取締役 金高 誠司
 
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だれがこんな会社にしたのか!?


1.企業としての成熟度

前回のコラムで、企業としての成熟度(大人度合い)が低ければ、情報システム導入は成功しないと提言させていただいた。企業としての成熟度とはどのようなものか。各方面から問い合わせがあったことも踏まえ、前回の内容を下図にまとめてみた。

理想像と思われる方も多いかも知れない。しかし、筆者が見てきた多くの情報システム導入で失敗する企業の特徴をまとめたものである。  

企業の成熟度とは、経営者の役割と従業員の役割が分けられている中で、権限と責任をそれぞれの階層で明確に定義されており、システムにかかわらず全てにおける意思決定のスピードが速く、活発な意見交換ができる度合いである。当然、それらを完璧にできている企業など存在しない。しかし、その度合いを高めていくことが、企業成長に繋がり、情報システムの導入も成功するのである。情報システム投資の側面から考えると、企業としての成熟度を高めておかなければ、システムベンダーを儲けさせるだけの情報システム投資に陥ってしまう。なにもわざわざ、システムベンダーを儲けさせる必要は筆者にはないように思う。そんなもったいないことをしていながら、「コスト削減」と社内で叫んでいるのは本末転倒ではないだろうか。

2.「うちはね、金高さん」

大阪でおつきあいしているA社という製造業がある。その企業の社長は、従業員を全く信用していない。「金高さん、うちの子らはね」から必ず会話は始まる。従業員を「子ら」と言っている以上、この経営者はダメだなと思ってしまう。「うちの子らはね、何も考えていないんですよ」にしたのは、あなた自身ではないのかと言いたくなる。その社長に、「もっと従業員を信用したらどうでしょうか」と投げかけたことがある。その返事は、「金高さんは理想家ですね」だ。これでは、従業員が真剣に物事を考えないし、ましてや情報システムの導入などを担当しても、前回申し上げた企業の従業員のようになるのが落ちである。  

東京で知り合ったある社長の話である。金属加工卸を経営している60歳前後の社長である。その社長はA社の社長と違い、従業員を信用していない訳ではない。その社長の口癖は、「うちの業務は複雑ですからね。なかなかシステムを構築するのは簡単ではないんですよ」である。その企業の業務調査を行ったとき、その社長の認識に間違いがあることに気づいた。確かに加工を伴う卸売業であるため、業務は複雑そうに見える。また、従業員にヒアリングしても「うちの業務は特殊なので」「他社と一緒のようにはできないんですよ」と社長と同じ認識で業務を見ている。しかし、受注から加工指図に至る業務は明らかに単純化することができる。また、債権管理から会計への流れなど、ある意味他の企業より簡単であった。  

すべての企業が上記のような企業ばかりではない。当然、筆者が言う成熟度が高い企業も多く存在している。しかし、成熟度の低い企業の特徴は、あきらかに社長にある。筆者は言いたい。「だれがこんな会社にしたのか」それは、「社長、あなた自身ですよ」と。

3.「社長の意識が変わること」それがスタート

株式会社キートゥサクセス  代表取締役 金高 誠司 本コラムも今回を含め残り2回で終了である。そろそろ結論に入っていきたいと思う。中堅・中小企業が情報システムの導入を成功させるためには、単に業務機能とシステム機能をマッチングさせるだけではダメなのである。社長自身が、まず自社の組織文化を真摯に見つめ、企業の成熟度の高低を把握し、低い状況であればそれは社長自身に問題があることを認識しなければならない。そして、社長自身が、自社の成熟度を高めるための意識改革を行う必要がある。必要があると言うより、絶対にやらなければならない。それがスタートである。そのスタートを切ることで、はじめて業務はどうだ、システム機能はどうだ、人材はどうだ、と考えていくべきであろう。また、図にもあるように、中堅・中小企業にとって社長はCIOそのものである。社長がCIOとして情報システムの導入を成功させるためには、社長が本当の意味でのCIOにならなければならないのである。  

次回は、社長の意識変革が進み、本当の意味でのCIOの役割を担っていることを前提に、業務改革と情報システムのあり方について具体的手法をご提案したい。


(次回は最終回です。どうぞお楽しみに!)


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 スペシャリスト金高社長のプロフィール
株式会社キートゥサクセス 代表取締役 金高 誠司

大阪府出身。

株式会社東洋情報システム(現TIS株式会社)から、
株式会社三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社) を経て
2000年株式会社キートゥサクセスを設立。

趣味はゴルフ。

高杉晋作の「苦と楽を差し引きすれば、浮き世の値わずか三銭」、
丹羽伊藤忠商事会長の「認めて、任せて、褒める」が座右の銘。