あなたの会社のビジネスは本当に儲かっていますか?
会社名:株式会社プログレス・パートナーズ
投稿者名:シニア・マネージャ 木村泰士
〜「連結」の基本的な考え方を知らないなんて、もったいない!〜
   
 
「連結」の基本的な考え方を知らないなんて、もったいない!

前回は、「連結は『ヒトゴト』ではない」、連結のメリットを経営に活かしていただきたい、というお話をさせていただきました。今回は、そもそも「連結」とはどういうことなのか、メリットは何なのか、ということを簡単にご説明したいと思います。




たとえば、両親と息子1人の3人家族を考えてみましょう。息子は大学に通うため、親元を離れて一人暮らしを始めました。1ヶ月につき、父は40万円の収入がありますが、息子に5万円の仕送りをしています。一方息子は、5万円の仕送りを受け取る他に、アルバイトで10万円を稼ぎ、合わせて15万円で、学費と生活費をまかなっています。




このとき、父は40万円、息子は15万円の収入があるわけですが、両親・息子の3人で1家族として考えると、55万円の収入があるわけではありません。仕送りの5万円は家族内でのやり取りに過ぎないので、家族全体としては、収入はあくまで50万円ですね。
両親を親会社、息子を子会社に、そして収入を売上に置き換えてみれば、このグループ全体での売上高は55万円ではなく50万円ということになります。

このように、家族全体でものを考えるのが、連結の基本的な発想です。収入(売上)だけでなく、親子間のお金の貸し借り(債権・債務)など、家族内のものはすべて相殺して考えます。




もう1つ、連結において重要なものとして、「未実現利益の消去」という考え方があります。たとえば、親会社が外部から仕入れ、もしくは生産した、原価100円の品物を100個、いったん販売子会社に120円で販売し、販売子会社が150円で顧客に販売する、という流れを考えます。



このとき、親会社は品物を販売子会社に売った時点で20×100=2,000円の利益が上がります。しかし、仮に販売子会社がその品物を顧客に売ることができず終いであれば、グループとしてはその利益は最初からなかったのと同じことです。あくまで、品物が顧客に売れてはじめて、1個につき20+30=50円の利益が上がったと言えるわけです。たとえば顧客には90個しか売れていないとすると、残り10個分が本当に売れるかはまだわからないのですから、その時点での利益は
20×100+30×90=4,700円ではなく、50×90=4,500円と考えるべきなのです。
そこで、連結の考え方として、グループ会社に残っている在庫に別のグループ会社が乗せた利益がある場合は、いったん各社の利益を単純に合算(4,700円)した後で、まだ売れていない在庫に既に含まれている利益(20×10=200)を消去して、本当の利益を計算します。これが「未実現利益の消去」です。




他にも連結のための特有の処理はいくつかありますが、このようにグループ会社を全体としてあたかも1つの会社とみなしてものを見るのが「連結」の考え方です。たとえばグループ会社の間で取引を意図的に膨らませたり、販売子会社に商品を押し込んで、親会社の売上や利益を多く見せかけるといった会計上の操作も、連結で見れば無意味になります。

逆の言い方をすれば、連結しないと、ビジネスが本当に伸びているか、儲かっているかはわからないのです。たとえば、あなたの会社は儲かっているように見えても、その多くは実は子会社に押し込まれた「未実現利益」だったら。儲かっていると思い込んで、大量に仕入れてしまったら。そしてそれが結局顧客には売れず終いで、最終的に廃棄せざるを得なくなってしまったら。。

グループの真の実力や状態が見えるのが、連結のメリットです。連結ベースで情報をとらえ、正しい意思決定を行う。これは、たとえ制度上連結決算の開示を強制されていない会社であっても、当然行うべき、きわめて重要なことなのです。

 
 

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