これからの資材調達(3)
会社名:株式会社プログレス・パートナーズ
投稿者名:シニア・マネージャ 阿部浩義
〜「モノを買う」調達から「機能を買う」調達へ〜
   
 
今こそ戦略会計を実施するとき!その必要性とは?

アスクルという会社をご存知かと思います。
インターネットによる低コスト化もありますが、注文した商品が今日・明日には入手できる点が話題になりました。
ここで買手=バイヤーとして注目すると、バイヤーは単にモノが安いから買っているわけではなく、欲しいときに商品を供給してくれる「供給機能」も合わせて購入しているということです。供給機能に関わるコストは請求されませんが、商品の価格には含まれています。
アスクルの場合は、間接資材を提供する会社ですが、製品の原料・部品である直接資材の調達においても、「機能を買う」重要性や期待できる効果は同様あるいはより大きいものです。

従来は、同じ「モノ」を1社あるいは少数サプライヤから調達し、同じあるいは類似の「モノ」で括って量を増やし、単価を下げる交渉方法が主流でした。これが現在の「集中購買」と呼ばれる買いかたです。それができない場合は、個別の商談ノウハウによる価格交渉となっているかと思います。
しかし、今後さらに多品種少量が進み、受注生産の比重が増えてくると、単一のモノの括りではコストダウンの前提条件としての量のコミットは難しくなってきます。

そこでモノではなく「機能を買う」という考え方が必要になってきます。

自動車メーカでは、開発初期段階で同時にコストまで作りこむ「開発購買」が主流になっていますが、この開発購買は、サプライヤの開発機能を買っているわけです。そして同時にコストの作りこみを協働で行い、コストダウンを行います。

自動車メーカの場合はメーカとサプライヤの間の力関係が極めて明確であるという事実はありますが、「機能を買う」という視点に転換することは、サプライヤとの力関係のいかんに関わらず、大きな効果を生み出します。

機能による括りは、モノによる括りと比較して広い分野が対象になり、外注加工(ex.)板金プレス+パンチ+組み立て加工の一括発注)やキット化(ex.)基板+付属部品+供給システム)など「括り方」を拡大できます。
点で捉えていた場合と比べて、「括り」の量が大きくなります。

これが「調達モデル」の考え方です。

調達モデルによって組織的な効果を得るには、良い調達市場を持つこと、および、バイヤーのパワーと意識を日常業務から企画業務へシフトしていく全社的な取り組みが必要です。