これからの資材調達(2)
会社名:株式会社プログレス・パートナーズ
投稿者名:シニア・マネージャ 阿部浩義
〜事業統合で集中購買の効果が出ないワケ〜
   
 
今こそ戦略会計を実施するとき!その必要性とは?

昨今、M&A(企業統合&買収)に関するニュースがテレビ・新聞の紙面を賑わせています。M&Aでの期待効果に必ずと言っていいほど出てくる項目が「集中購買による資材調達コストの削減」です。
実際、好業績企業の30%が、特に集中購買によるコスト削減活動に注力しているという調査結果もあります(2007年9月5日「購買・調達に関する実態調査」)。
しかし、M&Aを行った企業のすべてがその恩恵にあずかっているわけではありません。
特に製造業ではその統合効果が出にくいと言われていますがなぜでしょうか。

その理由は、製品特性とそれぞれの「調達市場」・「調達モデル」との関係にあります。
調達市場とは、バイヤーとサプライヤの取引の場であり、調達モデルとは、一言で言えば[量の括(くく)り方+買い方]になります。
2社の事業を統合した場合に、うまく同じ特性の製品・サービスが重なれば、集中購買の効果を出せます。
しかし、特に補完型統合・買収という自社が入り込めていない市場に関わる事業を買収・統合する形態では、特性の異なる製品(ex.)受注少数生産vs見込大量生産)のそれぞれ対応する調達市場の能力、調達モデルの違いから、期待していた資材の「量の括り」ができず、サプライヤに量をコミットしてのコストダウンが困難になります。
では、どうすれば特性の異なる製品市場で「量の効果」を出せるのでしょうか。

それには、調達市場と調達モデルを見直し、今まで「点」で捉えていた括(くく)りの視点を「面」の視点に変えることが必要になります。
「モノを買う」調達から「機能を買う」調達によって点から面へ、調達モデルが広がり、括りの効果を生むチャンスができます。