これからの資材調達(1)
会社名:株式会社プログレス・パートナーズ
投稿者名:シニア・マネージャ 阿部浩義
〜調達部門の憂鬱〜
   
 
今こそ戦略会計を実施するとき!その必要性とは?

調達部門の仕事はインターネットの普及による電子調達などで、一見かなり効率化されたように見えます。
その一方でバイヤーの仕事がなくなるのではと心配する声も聞かれます。さて、実際に調達の電子化によって悩みは解消され、バイヤーのノウハウは不要になりつつあるのでしょうか?
以下に主要な調達部門の悩みをあげてみました。 みなさんの会社ではいくつ該当するかチェックしてみてください。

  • 調達活動が個人ノウハウに依存しており、人が変わると買い方も変わってしまう。
  • サプライヤの開拓・育成のしくみがなく、必要になる技術を持つキーサプライヤが将来不足する可能性がある。
  • サプライヤとの協働体制が弱く、重要調達品目(キーパーツ)の市場で信頼関係が築けていない。
  • 調達部門の企画・提案機能が弱い・あるいは「ない」ため、サプライヤや設計・製造などの関連部門への提案が困難である。
  • 日次業務に追われ、経営・生産・調達各方針および政策を反映できず、同じモノを違うところから、高い価格で買うなど統制が取れていない。
  • 管理項目が増えたがしくみが追いつかない(コンプライアンス・グリーン調達・CSR調達 など)。
  • 調達管理(QCDE)、および、計画や管理などを支援する情報システム基盤が弱い。
  • サプライヤの管理が難しい。特に2次・3次転注しているサプライヤの製品の品質維持に悩んでいる。
  • 発注・納期管理・不良対応など「守りの業務」に追われて1日が過ぎる。
  • サービス機能向上・調達コストダウン・サプライヤ開拓/育成・買い方の研究など「攻めの業務」ができていない。
  • 調達に関して科学的な検討ができておらず、単価主義(一律一割ダウンなど)に陥りがちであり、個人のKKD(勘・経験・度胸)に頼る非効率な業務になっている。
  • 調達コスト(=購買コスト+供給コスト)のあるべき姿が描かれておらず、品質を維持しながら、どこまでコストダウンできるのか見えない。
以上の悩みは、ほとんどが「しくみ」の問題ですから、情報システムを入れただけで解決する問題ではありません。
また、個人のスキルアップだけでも解決はしません。「調達を技術化する」ための組織的な取り組みが必要になります。
バイヤーが不要になるわけではなく、役割の重心が変わるということです。
調達部門は、全社のコスト・コントロールセンターです。扱う金額の割には、なかなか改善が進みにくい部門ですが、いったん解決に転ずれば、非常に大きな事業利益をもたらします。
「調達市場と調達モデル」という考え方がその糸口となります。