新卒採用は、バブル期以来の“売り手市場”と言われています。
従前であれば、6月のこの時期「新卒採用選考が一段落」するはずですが、多くの企業で2007年新卒採用が引き続き行われています。新卒採用も年度末まで“通年化”している傾向も見受けられます。
マーケティングで最も重要なのは「顧客理解」であることは言うまでもありません。
しかし、採用の現場で本当に「顧客理解」ができているでしょうか?
採用する側に固定観念が残っていたり、バイアスがかかっているケースは無いでしょうか?
このコラムでは、大学生の姿を客観的なデータで示して行きたいと思います。
下は、『大学生の就職観』を、3ヵ年比較したデータです。
【大学生の仕事観−97〜04年−】
■「仕事とは自分の能力や個性を生かすための営み」
97年 68.4%
01年 51.5%
04年 47.2%
■「仕事を通して自分自身の成長」
97年 72.5%
01年 63.1%
04年 61.1%
■「仕事を通じて社会貢献」
97年 43.7%
01年 56.3%
04年 58.1%
■「社会のために尽くそうという気持ち」
97年 21.3%
01年 25.8%
04年 28.9%
■「自分の仕事が世の中で果たす役割」
97年 40.8%
01年 27.1%
04年 27.6%
■「仕事で経済的に豊かな生活」
97年 51.7%
01年 33.9%
04年 34.3%
■「仕事から多くの収入を得ることは重要」
97年 56.9%
01年 33.5%
04年 31.6%
(株)ベネッセコーポレーション「全国4年制大学学生調査」(2004年)より
スコアは肯定指数
注)数値=「とてもあてはまる(%)」+「まああてはまる(%)」×0.5 |
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3ヵ年比較で、最も伸びている項目は「仕事を通しての社会貢献」「社会のために尽くそうという気持ち」。“社会的自己実現志向”が強まっている傾向にあります。
逆に「仕事とは自分の能力や個性を活かすための営み」や「仕事を通しての自己実現」といった“私的自己実現志向”、「仕事で経済的に豊かな生活」「仕事から多くの収入を得ることは重要」などの“かせぎ志向”は年々低くなっています。
近年、環境問題やコンプライアンスに代表される「企業の社会的責任のあり方」が問われマスコミでもこの点が大きく扱われています。時代に敏感な大学生が、自分の成長と社会貢献を重ね合わせてとらえる状況になってきているとも言えます。
新卒採用で、自社のアピールをする際に「仕事を通しての社会貢献」「社会のために尽くそうという気持ち」に訴求したものになっているでしょうか?
勿論、自社の競争優位性や特色、安定性、事業規模・シェアなども重要なアピールポイントです。
ただ、今の大学生は社会的な貢献に感度が高くなっており、会社選択の基準にしているという点を認識して自社のアピール(採用広報・社員のトークなど)を組み立てていく視点もはずせないということをこのデータは物語っていると言えます。
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