スキルアップメモ 2014年冬号
■キャリアアップ助成金

経営総務

 キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、「正規雇用への転換」「人材育成」「処遇改善」「健康管理」などの取組を実施した会社に対して助成金を支給する制度です。

■キャリアアップ助成金の概要(全6コース)
(1)正規雇用等転換コース
 有期契約労働者の正規雇用等への転換、派遣労働者の直接雇用を行う会社に対して助成されるものです。有期契約労働者等のより安定度の高い雇用形態への転換を通じたキャリアアップを目的としています。
要件等 正規雇用等に転換または直接雇用する制度を規定し、有期契約労働者等を正規雇用等に転換等した場合に助成されます。
受給額 1人当たりの額(1年度1事業所当たり10人まで)
有期労働→正規雇用:40万円(30万円)
有期労働→無期雇用:20万円(15万円)
無期労働→正規雇用:20万円(15万円)
※( )内は大企業の額。他のコースの支給額についても同様。

(2)人材育成コース
 有期契約労働者等の職業能力開発を通じたキャリアアップを目的としています。
要件等 有期契約労働者等に、一般職業訓練(Off-JT)または有期実習型訓練(「ジョブ・カード」を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3〜6箇月の職業訓練)を行ったときに助成されます。
受給額 1人当たりの額(1年度1事業所当たり500万円まで)
Off-JT 賃金助成:1h当たり800円(500円)
経費助成:上限20万円(15万円)
OJT 実施助成:1h当たり700円(700円)

(3)処遇改善コース
 賃金水準の向上を図った会社に対して助成されるものであり、有期契約労働者等の処遇改善を通じたキャリアアップを目的としています。
要件等 すべての有期労働契約者等の基本給の賃金テーブルを改定し、3%以上増額させた場合に助成されます。
受給額 1人当たりの額 1万円(0.75万円)(1年度1事業所当たり100人まで)

(4)健康管理コース
 有期契約労働者等に対して法定外の健康診断制度を導入する会社に助成されるもので、健康管理体制の強化を通じた有期契約労働者等のキャリアアップを目的としています。
要件等 有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を規定し、延べ4人以上実施した場合に助成されます。
受給額 1事業所当たりの額 40万円(30万円)(1事業所当たり1回のみ)

(5)短時間正社員コース
 短時間正社員への転換や新たな雇い入れを行う会社に対して助成されるものです。主にワーク・ライフ・バランスの観点から正規雇用労働者から短時間正社員に転換するケースや、短時間労働者を短時間正社員に転換するケースなどを想定して設けられています。
要件等 短時間正社員制度を規定し、雇用する労働者を短時間正社員に転換、または短時間正社員を新規で雇い入れた場合に助成されます。
受給額 1人当たりの額 20万円(15万円)
(短時間労働者の週所定労働時間延長コースの人数と合計し、1年度1事業所当たり10人まで)

(6)短時間労働者の週所定労働時間延長コース
 社会保険の適用を受けることのできる労働条件(社会保険の加入対象となるのは、通常の労働者のおおむね3/4以上の日数・労働時間)の確保を通じた短時間労働者のキャリアアップを目的としています。
要件等 1週間の所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等について、労働時間を30時間以上に延長した会社に対して助成されるものです。
受給額 1人当たりの額 10万円(7.5万円)
(短時間正社員コースの人数と合計し、1年度1事業所当たり10人まで)

●全コース共通の要件
 各要件の他に、雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、3年〜5年程度の「キャリアアップ計画」を作成し、管轄の労働局長の認定を受ける必要があります。また、支給申請時点において対象労働者を会社都合による解雇をしていない等の要件もあります。

■助成金の活用
 厚生労働省やその他の機関において、労働者雇用、人材育成、仕事と家庭の両立、再就職支援などに関する各種の助成金・奨励金が設けられています。今回取り上げたキャリアアップ助成金はその一部です。概要のみを触れていますので、詳しい要件や支給申請の手続き方法等は厚生労働省ホームページやパンフレットをご確認ください。