少子・高齢化が進行する中で、企業には労働者が仕事を続けながら育児や介護を行える職場環境を整備することが求められています。このため「育児介護休業法及び雇用保険法の一部を改正する法律」が国会で成立し、平成21年7月1日に公布されました。今回の法改正の目的は、出産や家族の介護をきっかけに離職せざるを得ない人が多数存在するという実態を改善し、仕事と家庭生活の両立支援をより一層推進することにあります。それでは改正法の概要を確認してみましょう。
■子育て期間中の働き方の見直し
子育てをしながら働く女性の多くが短時間勤務と残業の免除を希望していることから、短時間勤務制度と所定外労働の免除が義務化されます。
| 短時間勤務制度(1日6時間)の義務化 |
3歳までの子を養育する労働者に対し、短時間勤務制度を設けることが事業主の義務となります。 |
| 所定外労働の免除の義務化 |
3歳までの子を養育する労働者が請求したときは、所定労働時間を超えて勤務させることはできなくなります。 |
| 子の看護休暇付与日数の拡充 |
現行制度では、小学校就学前の子がいれば子の人数にかかわらず年5日ですが、改正後は、小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日となります。 |
■父親も子育てができる働き方の実現
男性の約3割が育児休業を取得したいと考えているにもかかわらず、実際の取得率は2%に満たないことから、父親も子育てや家事に参加できるよう次の措置が実施されます。
| 育児休業取得可能期間の延長 |
父母がともに育児休業を取得する場合、子が1歳2ヵ月(現行は原則1歳)に達するまでの間に、1年間(母親の産後休業期間を含む)休業することが可能となります。 |
| 出産後8週間以内の父親の育児休業取得促進 |
妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、特例として、再度育児休業を取得することが可能となります。
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| 労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止 |
現行制度では、配偶者が専業主婦(夫)等である場合、労使協定により事業主は育児休業の申出を拒むことが可能とされていますが、こうした制度は廃止され、配偶者が専業主婦(夫)である労働者も育児休業が取得できるようになります。
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■介護のための短期休暇制度の創設
要介護状態にある対象家族の病院への付き添い等に対応するため、介護のための短期休暇制度が創設されます。介護休暇の日数は、要介護状態の対象家族が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日となります。労働者から事前に介護休暇の申出があった場合、事業主はこれを取得させる必要があります。
■実効性の確保
育児休業の取得等による苦情・紛争について、都道府県労働局長による紛争解決の援助や調停委員による調停の仕組みが設けられるとともに、厚生労働大臣の勧告に従わない場合の公表制度や虚偽の報告をした者に対する過料が設けられます。
■雇用保険法の一部改正
育児休業が取得できる期間の改正にあわせて、育児休業給付についても改正が行われます。
改正法の施行は、平成22年4月1日を予定しています。ただし、就業規則の改定作業や労使協議の実施等、改正法対応への企業の負担も大きいことから、中小企業(常時100人以下の労働者を雇用する事業主)については当面の間、改正項目の一部の適用が猶予される見込みとなっています。
仕事と育児・介護を両立できる職場環境を整備することは、企業にとって一時的な負担になるかもしれません。しかし、ワークライフバランスという考え方も定着しつつあり、従業員にとって働きやすい職場環境を提供することは、優秀な人材の確保・定着につながり、長い視点でみれば会社のためになります。特に人材獲得に有効な制度の整備は、中小企業にとってメリットは大きいと言えます。
今回の法改正をきっかけに、皆様の職場でも仕事と育児・介護の両立について考えてみてはいかがでしょうか。
※この記事は平成21年9月30日現在の情報です。