基本を極めるビジネスの心得
正しい「敬語」使いが円満ビジネスの第一歩(後編)
社外の人に対して正しい敬語を心をこめて使いましょう
人間は基本的に平等なものですが、とりわけビジネスにおいては、相手を少し上にして物を言うことが鉄則です。相手を上にして話すのが尊敬語。自分が主語になり、一歩へりくだるのが謙譲語。この二つを使い分ければ、敬語は完璧。「丁寧でしっかりした人」という印象を相手に与えることができ、それが深い信頼感につながっていくのです。
ここで相手を立てようとするあまり、一番間違いやすいのが「二重敬語」でしょう。たとえば「○○さんがおっしゃられるように」は、間違いです。正しくは「○○さんがおっしゃるように」です。二重敬語は座布団を二枚重ねるようなもので、うっとうしいだけ。
それからもう一つ間違えやすいのが、謙譲語に「れる」「られる」をつけて相手に使ってしまうこと。たとえば「○○さんはおられますか」は間違いです。正しくは「○○さんはいらっしゃいますか」です。これは男性に多い間違いですので思い返してみてください。
その二つに加え、最近気になるのは俗語に「ですます」をつけてしまう若い人たちの言葉です。「ヤバイですから」とか「どん引きしました」は、ビジネスの相手に使う言葉ではありません。いくら「ですます」をつけても同じことで、品性を疑われます。さらに、私が研修の講師に招かれて気になるのは、「1万円からお預かりします」とか「お席の方からご案内します」などという意味不明の言葉です。「こちらが企画書になります」などというのも気になります。実は3年前くらいからこの類の言葉が増えてきました。こういった言葉はぜひ新人研修のうちに改めておきたいものです。人事や総務の担当の方にも、ぜひ社員への言葉遣い教育を徹底されることをお勧めします。それが会社の信用につながっていくのですから。
今回はビジネスシーンで便利な敬語のクッション言葉と、否定と命令の丁寧な言い回し方を表にしてみました。覚えておくとコミュニケーションがスムーズになるはずです。
ビジネスの心得
●奉行EXPRESS 2007年秋号より