ASOSのひろば
ワンストップで顧問先の悩みを解決
士業の連携による“総合判断”を実現
 TRAD社会保険労務士法人の強みをひと言で言えば、“ワンストップ”で顧問先を支援する体制を整えていることです。 社労士法人としては、労働保険・社会保険事務や給与・賞与計算事務のサポート、人事労務の相談、助成金活用、就業規則の作成と運用のサポートから、社員の採用や教育、メンタルヘルス・ストレスチェック対応、マイナンバー対応まで、幅広いサービスを提供しています。
 同時に、グループ会社であるTRAD税理士法人が会計や資金調達、TRADコンサルティング株式会社がM&Aや事業承継、上場準備、TRAD司法書士事務所が会社・不動産登記、起業、成年後見などのサービスを展開。労働紛争、許認可申請や外国人ビザは提携する弁護士事務所、行政書士事務所が対処し、その他、メンタルヘルス、銀行・生保・損保・介護関連・システム構築なども外部協力会社で対応するスキームを構築しています。顧問先の経営者の方が「誰に何を相談すればいいかわからない」時も、電話かメールを1本入れていただければ、問題に応じた専門家が即座に適切な支援を提供できます。
 例えば、顧問先が関係者に仕事を発注した場合、それが税務的には外注費なのか、給与なのか、消費税はかかるのか、労務的には社会保険の加入は必要なのかなど、判断が難しいことがあります。社労士が税務を知らずに判断すると、後々税務署の調査で否認を受ける可能性も出てきます。逆に税理士が労務を知らずに判断することもリスクを伴います。こうした境界が曖昧な事案で「総合判断」が求められるケースでも、TRADグループであれば士業同士の連携でスムーズに対応できるため、顧問先は安心して任せることができます。
経営者の課題は「人材の採用と定着」
時間の制約がある人の活用が糸口に
 最近、顧問先の経営者の方々にとって大きな悩みとなっているのが、「人材の採用と定着」の問題です。労働人口が年々減少する中、人が辞め、フルタイム勤務の募集をかけても人が集まらず、補充ができないために残っている社員の負担が増え、疲弊してまた辞めていく――。このような負のサイクルに陥っているか、あるいは陥る可能性がある中小企業は増えていると言えます。介護離職の問題も深刻です。介護に直面した40代、50代のベテラン社員に辞められてしまうことは、中小企業にとって死活問題です。
 国も長時間労働の是正、短時間パートの社会保険加入の拡大、配偶者特別控除額の削減など、雇用環境に大きな影響を及ぼす動きを加速させています。今後は法律や時代の移り変わりに応じて社内の労務環境や仕組みを整え、人材の採用と定着を図ることが、経営者にとって最大の課題の一つになることは間違いありません。
 ポイントは、フルタイム勤務以外の人に、いかに働いていただくかということです。そうした時間の制約を受ける方を活用していく時代に今後は変わっていくでしょう。時間の制約がある方々を活用するとなると、現在の枠組みを超えた社内の制度を作っていく必要がありますし、既存社員のマインドも変えていかなければなりません。問題や課題が多いことは事実ですが、それでも今は、見方を変えて新たな人事労務に取り組むことが必要な時代に突入しています。
 取り組みの一つとして有効な手段がクラウドサービスの活用です。TRAD社会保険労務士法人では10年ほど前から、給与システムや社会保険手続きのシステム、社内連絡ツールにおいて、クラウドサービスを活用し、培ってきたツールやノウハウを顧問先に紹介しています。クラウドサービスを使えば、在宅勤務やモバイルワークが可能になり、時間や場所の制約に応じた働き方が可能になります。
OBCのクラウドサービスでデータを守る
個人情報保護法改正で漏洩防止が課題に
 OBCはマイナンバーサービス、ストレスチェックサービス、年末調整申告書サービス、勤怠管理サービス等で既にクラウド型サービスを展開し、今後は勘定奉行などにおいても、本格的なクラウドサービスを提供していく計画です。例えば、勤怠管理サービスは従業員がスマートフォンやパソコンで打刻・申請・承認を行うことができ、各データは集約・自動計算され、管理者がリアルタイムで把握できる勤怠情報の“見える化”を実現します。労働時間が長ければ警告するアラート機能もあり、働き方の見直しにもつながります。
 さらに、来年9月までには個人情報保護法改正が予定され、個人データのセキュリティ問題が改めて注目を集めることになるでしょう。TRAD社会保険労務士法人では、マイナンバー制度の次に来る、この個人情報保護法改正に向けた支援の拡充に力を入れてきました。同法の改正では、健康保険の記号番号、基礎年金番号、雇用保険被保険者番号、運転免許証、パスポートの番号や指紋、写真などが個人情報と新たに定義され、これらを情報漏洩防止に関して、マイナンバーと同様の取り組みの義務付けも考えられます。
 つまり、紙のファイルであれば鍵付きのキャビネットに保管し、データファイルであればパソコンにパスワードをかけて保管するなどの処置が必要になることも考えられます。より一層しっかりと情報を守ることが求められ、OBCが提供する強固なセキュリティによるサービスの需要は高まることでしょう。
システムでデータを守る2つの利点
マイナンバーの次のトレンドに注力
 自社管理のオンプレミス型にせよ、クラウド型にせよ、システムによってデータを守ることは、働く側にとって2つの大きなメリットがあります。1つは従業員の負担の軽減です。紙ベースで保管したり、独自にパソコン内で保護したりすることは、手間がかかる上、万が一漏洩した時の責任を一身に背負わねばならない重圧を感じることになります。セキュリティが強固なサービスを活用することで、手間や重圧を大幅に軽減できます。
 もう1つは生産性の向上です。手間がかかることをシステムが代わりに担ってくれれば、その分他の生産的な作業を行うことができます。システムを利用することは、国が進める働き方改革にもつながると言えるでしょう。
 OBCの各サービスを顧問先に紹介する中でよく聞くのは、サポート体制がしっかりし、安心できるということです。特にサポートセンターがつながりやすく、サービスの利用方法を解説する動画などを用意するなど、担当者にとって「あったらいいな」と思える支援が充実している点は評価できるポイントだと考えています。
 社労士が個人情報保護法改正に向け、顧問先のデータの保護を支援していく業務は、マイナンバー制度の次のトレンドになっていくことでしょう。今からでも取り組み始めることは決して遅くなく、社労士としてシステム利用、クラウド利用を推進していくことは、情報漏洩防止、労働生産性という観点から見て、非常に意義深い活動だと思います。TRAD社会保険労務士法人では、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC27001」の認証を昨年受けましたが、第三者機関の評価による安心、信頼を与えることも、社労士がセキュリティ業務に携わっていく上で、重要と言えるでしょう。
Vol.43
2016年秋号
「ASOSのひろば」では、OBCが運営・管理するパートナー制度に加入するプロフェッショナルが登場! 自慢のサービスを紹介しながら、人事労務に関するトピックスを語っていただきます。

>田畑啓史氏
TRAD社会保険労務士法人
代表社会保険労務士
田畑 啓史
(たばた けいし)
1994年、京都産業大学経済学部在学中に社会保険労務士試験に合格。都内大手総合会計事務所に入社し、3年間顧問先の巡回監査、決算、申告などに携わり、税務の基礎的な知識を得る。その後、4年間社労士の業務に従事し、99年に社労士事務所を設立。2006年に他の税理士、行政書士、司法書士などとともに顧問先にワンストップサービスを提供する総合会計事務所を設立し、パートナーに就任。12年に同所をTRADグループに改編し、現在はTRAD社会保険労務士法人の代表社労士を務めると同時に、グループ全体で40名の組織を管理する。

TRAD社会保険労務士法人

●TRAD社会保険労務士法人

1984年に田畑啓史氏の母、田畑治代氏が社会保険労務士田畑事務所を設立。当時、女性が運営する社労士事務所は珍しく、同所は一部上場会社と契約するなどして注目を集める。2007年に啓史氏が設立したSIP社会保険労務士田畑事務所と母が運営する事務所が合併。12年にTRAD社会保険労務士法人に社名を改称し、TRAD税理士法人、TRADコンサルティング株式会社、TRAD司法書士事務所とともにTRADグループを創設。グループで税理士(公認会計士を含む)7人、司法書士3人、行政書士1人、社労士5人が在籍し、ワンストップで顧問先を支援する。

●奉行EXPRESS 2016年秋号より