治療法を提案する“主治医”
事業会社出身者が経営を支援
会計業務を行うトップ会計事務所と、経営コンサルティング業務に主軸を置くトップコンサルティングでは、顧客の財務状況を見極め、経営者の悩みを解決し、改善に導くサポートを提供しています。医療にたとえるなら、単なるレントゲンを撮ること(決算書や試算表を作成すること)にとどまらず、診断(問題の発見)し、その治療方法(問題解決方法)を的確に提案、助言する「主治医」でありたいと考えています。現在、特に力を入れているのが、後者のトップコンサルティングで展開する経営コンサルティング事業です。トップコンサルティングの事業の柱は「経営戦略コンサルティング」、「出口戦略構築」、「IT化推進」の3本です。
まず、「経営戦略コンサルティング」から説明します。近年、月次決算のサポートや経営に関する助言を行う会計事務所が増えています。しかし、財務面からのアドバイスはできるものの、総合的な経営に関するコンサルティングとなると、現実的には難しい面もあるかと思います。それに対し、私たちは経営コンサルティングの関連会社を25年ほど前に設立し、本格的な経営戦略コンサルティングサービスを長年にわたり提供してきました。今は、主力のコンサルタントが15人ほどいます。IT会社、証券会社、流通会社、製造会社など、前職は会計事務所の領域とは別の事業会社の第一線で活動していたスタッフが多く、それぞれの業界事情に精通していることが強みです。外部協力者のネットワークも幅広く、事例に合わせて様々な分野のスペシャリストが待機しています。新規顧客開拓や新事業創出などの経験も豊富で、それらを顧客の経営戦略、事業戦略、資本戦略を構築する際に役立てることができます。
例えば、高い印字技術を持つ会社があったとします。特に金色の印字技術に優れ、従来は皮革製品への印字が主な事業でしたが、私たちなら、その技術をスマートフォンの本体やアクセサリーへの印字、日本の伝統産業で作られる器への印字など、様々な新事業展開を立案し、具体的なプランを提案できます。
あるいは、別々のエリアで種類の異なる建材を販売する2社があったとします。出入りする取引先の業種は、住宅メーカーや建築会社など同業。そうであれば、在庫管理システムをオンラインで結び、双方の顧客を紹介し合い、新規販路の開拓につなげるという提案が成り立ちます。
中小企業の経営者が求めているのは、まさにこうした経営や事業のイノベーションを実現する提案力です。これらはあくまで例に過ぎませんが、実際には様々な企業に対し、日々、経営を改善させるための攻めの提案を行っています。
「出口戦略」の構築もサポート
ネットを使い後継者を探す
一方、「出口戦略構築」では、中小企業経営者の事業引継ぎの悩みを解決しています。年商1億円以下の企業では、実に76.3%が後継者難という問題を抱えています。自分の子どもや親族に託すことができればいいのでしょうが、上手くいかない場合が多いのも現実です。そういった中で挙げられる選択肢の一つが「M&A」です。トップコンサルティングでは、日本M&Aセンターグループ専用情報流通システムを活用しています。このシステムはインターネットを活用した全国網での事業引継ぎの相手探しができ、システムによる事業引継ぎ手順の標準化を実現しています。これにより、従来多くの時間と費用がかかっていた事業引継ぎを簡素化し、最低水準の報酬によるスピーディーなM&Aを可能にしています。
私たちの使命は、事業価値を評価し、引き継ぐ相手を探し、新しい経営者につなげることです。これは後継者がいない場合の有効な出口戦略となり得ると言えます。経営者は売却金額を得てハッピーリタイアができ、企業は維持され、従業員の雇用も維持される可能性が高くなります。私たちも、提供するサービスの的を絞るという意味合いから、出口戦略構築は、今後積極的に展開したいと考えています。
顧客に奉行シリーズの利用を促す
最新のデバイスを使った新サービスも
トップコンサルティングでは契約先に対し、奉行シリーズの利用を促進させるなど、会計のIT化にも力を入れています。当社が奉行シリーズを顧客に勧める第一の理由は、企業の成長に応じて、会計システムの規模や機能をスムーズに大型化・高度化が可能ということです。奉行シリーズは、小さい規模の段階からミドルクラスの段階以降、さらに大規模な会社でも使うことができ、途中で会計処理が困難になることもないため、成長志向の企業に大変マッチしたソフトだと言えます。
また、奉行シリーズは、製品群のラインナップが豊富なので、顧客の要望に対応しやすいこともメリットです。最初は勘定奉行からスタートし、その後相手先企業が成長する中で、販売仕入や人事労務などのシステムも必要に応じて展開していくことができます。
今後は当社独自のサービスとして、顧客の営業社員にダブレット端末を支給し、営業現場で会計データや販売管理データなどを確認したり、活用したりする、いわゆる「見える化」も実現していきたいと考えています。
顧客の人材育成にも力を入れる
「差別化」「脱埋没化」が鍵
トップコンサルティングでは、3本柱以外にも、様々な新しい業務に挑戦しています。その1つが、人材の育成です。顧客の経理部員を受け入れ、奉行シリーズをはじめとする会計システムの使い方や経理のノウハウなどを指導しています。正直なところ、経理関連をアウトソーシングとしてすべて引き受け、手数料を得たほうがいいのではという考え方もあるかと思いますが、顧客の経理部員を育てることで、自社のリソースをコンサルティングに集中することができるのです。長い目で見れば、当社にとっても顧客にとってもそのほうがWin-Winの関係を築くことにつながります。
さらに、顧客の幹部クラス、経営者、後継者候補を集め、経営戦略、事業戦略に関する勉強会や研修会も開催しています。大手企業の決算書を分析して議論したり、参加者の企業の決算書を読み解きながら、強みと弱点、今後の改善策を話し合ったりする内容となっています。このセミナーは、中小企業の人材育成に一役買っていると自負しています。
中小企業も私たち会計事務所も、他社や他所と同じことをやっていたのでは、生き残ることはますます厳しくなっていくでしょう。キーワードは「差別化」であり、「脱埋没化」です。価格競争に巻き込まれないためにも、常に経営革新を意識し、新しい高付加価値のある製品やサービスを生み出していきたいと思います。
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