会計ひろば2
資産税業務の実績とノウハウが
相続税改正を追い風に強みに
 F&Mパートナーズ税理士法人では、資産税業務と法人業務の2グループに分かれ、コンサルティングや税務サービスを展開しています。特徴的なポイントは、資産税業務に特に力を入れていることです。
 従来、一般的な税理士事務所の中で、資産税業務に注力している事務所はほとんどないと思われます。相続税の申告割合は4%(100人亡くなって4人)程度と言われていますが、資産税関連では基本的に相続税の申告業務がある時にしか報酬が発生しないため、人員や労力を割くメリットは少ないと判断され、個人や法人に対するその他の税務業務を優先する事務所が大多数でした。それに対し、私は税理士事務所に所属して最初に担当した案件が、個人の地主向けの資産税業務だったため、その後も数多くの実績を重ねることができました。
 しかし、最近になって資産税を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。13年度の税制改正で相続税の改正が発表され、15年1月1日以降の相続では、基礎控除が大幅に縮小されるとともに、税率がアップする見込みとなったからです。相続税の申告割合は、全国で6%となり、東京や大阪など資産家が多く住み、土地の価格も高い都市部では、その割合は14〜15%になるともいわれています。
 個人や中小企業経営者の関心が高まり、私たちの事務所では「相続税を試算してほしい」など、これまでより多くの問い合わせや依頼を受けるようになっています。他の税理士事務所でも、資産税業務に力を入れ始めたり、都市部に新たに拠点を設けたりする動きが目立っています。顧客のニーズに反応し、税理士業界は今、大きく変化し始めています。
相続人をまとめられるかがカギ
十分なヒアリングで要望を聞く
 従来から資産コンサルティングに注力してきた当社には、多くの経験があります。相続では、配偶者や兄弟、お子さんなど相続人の間で話し合って遺産を分割すること、法律の範囲内で納税額を可能な限り縮小させること、相続税を用意して確実に払うことの3つがポイントになります。分割のやり方次第では、相続税額が大きく変わってきますし、分割の割合で相続人の間で議論になることもあり、納税額が有利になるように、いかに議論をまとめていくかということが重要です。
 もちろん、どの相続人も公平に対処すること、弁護士など他の士業の管轄業務に絶対に踏み入れないことは大前提です。その上で、税法上で適切な選択肢をアドバイスし、顧客が満足できる結果に導くことが資産税務のスペシャリストの役割です。資産税分野でライバルが増え競争は激しくなっていますが、私たちには今まで積み重ねてきた実績、その間に培った数多くのノウハウがあります。現在でも年間平均20件以上の相続税関連業務を行い、その数は税理士事務所の中では多い部類に入ると思いますが、今後はさらに幅広い層の顧客にコンサルティングの対象を広げ積極的に支援を図っていこうと考えています。
 資産税業務で最も大切なことは何かと聞かれれば、迷うことなく「顧客からのヒアリング」と答えます。顧客の状況は一つひとつ違うため、ヒアリングを通じて、「顧客がどうしたいのか」「それに対し私たちは何ができるのか」を把握することが、何より大切だからです。
 例えば事業承継の問題も資産税業務の一環ですが、お子さんが3人兄弟の場合、どの方に継いでもらいたいのか、あるいは、3人に平等に継がせたいのかなどオーナー様の意向は多種多様ですし、お子さんが結婚しているかどうかによっても異なってきます。大事なのは顧客の「こうありたい」という願いを実現することなので、それには十分なヒアリングが不可欠なのです。当社では、顧客との話し合いをするためのミーティングルームを事務所内に開設し、顧客を迎える環境を整えています。
数字に強い若手経営者が増加
月次データをタイムリーに共有
 一方、法人業務でも「コンビニオーナー向け税務サービス」と「中小企業向け経営支援サービス」に大きく分けて、独自のサービスを展開しています。前者は、顧客から郵送された、領収書やレシート、通帳の写し、本部からの資料をもとに、会計ソフトへの入力作業や、決算報告書の作成、申告業務、電話による税務相談を低価格で提供する税務サービスです。現在約250店舗と顧問契約を交わしています。
 後者は、顧客を訪問して月次決算をサポートしたり、財務分析、事業計画の作成、月次決算報告・相談会などを通じて経営をサポートしたりするサービスです。特に注意している点が、顧客の資金繰り、キャッシュフローをいかにスムーズにするかということです。これは多くの顧客が重視することでもあり、金融機関からの融資なども活用しながら、手元資金を厚くするアドバイス、サポートに力を入れています。
 また、会計ソフトを活用した支援にも注力しています。最近は若手の経営者を中心に、経営に関する数字に強い方も増えているので、月次データは必要に応じてインターネットを通じて送付し、タイムリーに確認していただいています。数字に問題点が見つかれば、悪化する前に対策が打てるからです。さらに、顧客を訪問しての報告・相談会をする場合、予め数字を頭に入れていただいていたほうが議論もスムーズになります。経営上の数字を普段から頭に入れることは、経営者の方にとって非常に重要なファクターです。
会社の規模の大小に関わらず
導入できる奉行シリーズは最適
 事業を立ち上げたばかりの経営者の方を支援する場合もあります。その時は会計ソフトを導入して数字に強くなることをおすすめすると同時に、会計ソフトでは「奉行シリーズ」を推薦しています。「奉行シリーズ」は会社の規模の大小に関わらず使うことができるので、将来的な売上拡大や成長を目指す経営者の方にとって、適した会計ソフトだからです。将来的に売上を1億、10億と増やしていく想いがあるのであれば、奉行シリーズが最適ではないかと考えています。
 当社では、今後も資産税業務と法人業務を通じて、顧問先の個人や企業の未来を切り拓き、いかに存続させていくかに力を注いでまいります。
 実は私の父は公務員で、50歳の定年後に町の電気店を始めました。しかし、私も妹も後を継がず、25年続いた店は廃業となってしまいました。せっかく店舗もあり、周りの人たちともつながっていたのに、それが絶たれてしまったことは、今でも悲しく、悔しい想い出として心に残っています。存在しているものは半永久的に存続させる――。それを使命として、これからも多くの方々のお手伝いができればと思います。
Vol.33
2014年春号
「ASOSの会計ひろば」では、OBCが運営・管理する会計人パートナー制度に加入する会計人が登場!
自慢のサービスを紹介しながら、会計・税務&奉行シリーズに関するトピックを語っていただきます。

>安藤かずえ氏
代表税理士
行政書士・税務訴訟補佐人
安藤 かずえ
(あんどう かずえ)
税理士資格取得後、総合コンサルティング会社及び都内税理士事務所で資産税コンサルティングを担当。一般企業で財務コンサルティングを担当した後、1996年に安藤かずえ税理士事務所を設立し、渋谷区で独立開業。2003年には他地域の3人の税理士とともに、税理士法人を立ち上げ、F&Mパートナーズ税理士法人東京事務所代表に就任。生命保険会社、大手ハウスメーカー、金融機関、商工会議所、その他資産家向けの各種セミナーで講演するなどの活動も展開している。座右の銘は「前進あるのみ」。

F&Mパートナーズ税理士法人 東京事務所

F&Mパートナーズ税理士法人 東京事務所

住所:東京都新宿区西新宿3-2-11 新宿三井ビルディング二号館3F
TEL:03-5339-7900

1996年に個人事務所として開業し、2003年に法人化。資産コンサルティングを中心に、コンビニオーナー向け税務業務や小企業向けの経営支援業務を展開する。特に注力する資産コンサルティング分野では、資産税務のスペシャリストが資産家の大きな悩みの種である相続税対策に関して、相続前から申告後まで一貫して支援している。コンビニオーナー向け税務業務は低料金で決算報告書の作成や申告業務の代行、電話による税務相談などのサービスを提供。中小企業に対しては、財務分析や決算対策、事業承継対策などをきめ細かくサポートする。

●奉行EXPRESS 2014年春号より