会計ひろば2
管理部門を企業経営に積極活用
必要な要素は意識・知識・技術
 中堅・中小企業で最も大きなウエイトを占めるのはお客様を獲得するための営業活動でしょう。では経理や人事などの管理部門はどうでしょう。管理部門への経営資源の投資が十分でなければ、経営のバランスは崩れてしまいます。
 フェリックスジャパンでは、中堅・中小企業をさらに成長させるために、管理部門を単に作業を行う部署にしておくのではなく、戦略的な部署として企業経営に積極的に活かすための仕組み作りを支援しています。
 管理部門を戦略的部署にするには、「意識」「知識」「技術」の3つの要素が必要です。まずは経営者の方の「意識」が全ての始まりです。会社が今どういう状態で、どうしていきたいのかという現状把握と成長目標のベクトルを、私たちとのやり取りを通じ、確認・共有していきます。
 そして「知識」とは企業経営を進めるうえで必要なルールとノウハウを知ることです。私たちは税制、会計、労務に関するルールと、それをどう駆使すれば有利なポジションに行けて、リスクをコントロールできるかというノウハウを提供します。
 さらに「技術」では、お客様に必要な手段を提案し、仕組みを作っていきます。これらの意識、知識、技術をバランス良く持つことで初めて戦略的な管理部門の構築が実現するのです。
奉行シリーズ等で経理事務を合理化
管理会計オプションでレベルも向上
 意識、知識、技術のどれもが重要ですが、今回は奉行シリーズにも関係する、管理会計の技術関連を中心にお話しします。管理会計とは経営に役立つ会計、経営者や管理職の方が知っておく必要のある会計のことであり、もっと言えば、「利益を出すための会計」と表現できます。その関連の技術とは、最適なITツールを使っていかに経営上必要な分析データを効率的かつ効果的にアウトプットできる仕組みを作るかということです。
 それには経理事務の合理化が不可欠です。そのために私たちは、自計化できていない会社には、まず奉行シリーズなどの会計ソフトを用いて自計化を支援し、社内で月次決算ができる体制を整えます。一方、自計化はできている会社には、より効率的に早く計数管理ができるように全ての工程を見直し最適化します。
 見直しのポイントは経理事務の前工程と後工程を交通整理することです。言い換えれば、仕訳データを容易に集められるようにして、集めたデータを速やかに加工してアウトプットするということです。例えば営業が入力した伝票を自動的に会計ソフトに取り込めるようにし、科目体系ごとに各部門の実績を比較したレポートなどを毎月経営者や幹部に渡せる仕組みを作ります。
 製造工場のライン生産方式と同じように、各種データがワンラインでシームレスに流れ、最終製品=レポートとして、経営者層の手元に届けられるイメージです。実現するためには営業の現場まで遡って、業務プロセスを改善したり、データを入力するための新たなルールを作ったりすることが必要となります。こうした仕組み作りは私たちの得意とするところで、ひとたび構築してしまえば、スピードや正確性が高まるのはもちろんのこと、経理担当者が変わっても、業務が滞ることはなくなります。
 さらに、レポーティングでは二次加工して自社独自の会計帳票を作ることが重要ですが、その際は奉行シリーズの「管理会計オプション」が非常に便利です。会計帳票の縦軸や横軸のレイアウトを自由に設定でき、予算・実績・会計以外の非会計データも簡単に会計帳票に反映できます。仕訳データをExcelにエクスポートし、改めて二次加工する作業を排除できるため、月末、月初の帳票作成業務の負担が大幅に軽減されます。このように使い方次第で、現場の負担を増やすことなく、簡単に管理部門のレベルアップを図れることが、ITの醍醐味なのです。
会計システムのクラウド化を推進
災害からデータを守り効率もアップ
 ただし、IT化を推進することによって課題も出てきます。蓄積されていく膨大なデータをいかに安全・安心に管理するかということです。そこで、私たちが現在積極的に取り組んでいることが会計サービスのクラウド化です。
 クラウド化を始めるきっかけとなったのは東日本大震災です。災害によって大切なデータが消失してしまうリスクを目の当たりにし、データを守る重要性を痛感しました。災害以外にも、顧客のパソコンが壊れてしまったり、データを誤って消してしまったりするなど日常的なリスクは多々あります。
 何か良い方法はないものか――。OBCの担当者に相談したところ、提案されたのが、OBCのパートナーである株式会社インストラクションのクラウドサービスを活用することでした。これは勘定奉行など基幹・会計・給与・業務ソフトをデータセンターで一元管理するクラウドホスティングサービスです。当社に導入するとともに、顧客にも提案し導入を促進しています。
 当社と顧客がデータセンターで管理されている1つのデータを共有して更新するので、スタンドアローンのシステムのように相互でデータをいちいち合わせたりする必要がなくなります。ソフトのインストールも不要なので、顧客の負担は減りますし、何より災害に強いデータセンターでデータを保全できます。クラウド化は想像以上にメリットが大きく、今後、中小企業でも導入する事例が増えていくのではと考えています。
他社とネットワークを構築し
起業・株式公開・上場後を支援
 当社では、起業支援や株式公開(IPO)、上場後のサポートも、他社と緩いネットワークを結びながら、ワンストップのトータルサービスとして展開しています(図参照)。起業時の事業コンセプト立案や資金調達、マーケティングなどは株式会社アイキューブが支援し、起業後のアーリーステージからの成長期では、私たちフェリックスジャパンがサポートします。私自身が前職の監査法人トーマツ時代に様々な株式公開案件を経験しており、独立後も数多くの実績を重ねているため、上場を視野に入れた成長段階の支援には長けています。さらに上場後は会計基準の変更時の対応など会計コンサルティングを提供する株式会社ヴェリタス・アカウンティングがサポート、その他、佐藤公認会計士事務所や山岡法律会計事務所が、問題・課題に応じて対処します。
 これらの組織がそれぞれの得意分野を武器に、顧客が中小企業からより大きな企業に成長するプロセスを全面的にサポートするユニークな体制です。将来的に上場を視野に入れていたり、更なる成長を目指していたりする中小企業の経営者の方は、ぜひ一度相談していただければと思います。
Vol.32
2014年冬号
「ASOSの会計ひろば」では、OBCが運営・管理する会計人パートナー制度に加入する会計人が登場!
自慢のサービスを紹介しながら、会計・税務&奉行シリーズに関するトピックを語っていただきます。

>三林昭弘氏
代表
公認会計士・税理士
三林昭弘氏
(みつばやし あきひろ)
公認会計士事務所、不動産会社を経て、監査法人トーマツに入所。主に証券取引法監査(現金融商品取引法監査)、商法特例法監査(現会社法監査)を担当し、不動産・建設業、流通業などで公開準備会社の予備調査や公開指導にも数多く携わる。平成16年に三林公認会計士事務所を開業し、同時に有限会社フェリックスジャパン(現フェリックスジャパン株式会社)を設立。顧客の管理部門の技術的支援に力を入れて活動をしている。著書に『すらすら税効果会計』(中央経済社)、『Q&A会社清算の実務と書式』(共著、新日本法規出版)がある。

フェリックスジャパン株式会社

フェリックスジャパン株式会社

住所:東京都港区北青山3-5-9 中央珈琲本社ビル8階
TEL:03-5772-5764

効率的・効果的な計数管理の仕組み作り支援や組織開発支援など、会計と労務のコンサルティング業務を提供。また給与計算や経理業務のアウトソーシング事業も展開する。得意とする分野は外食産業や食品メーカーなど「食」に関わる業態。開業支援や株式公開、連結子会社会計支援などでも数多くの実績を持つ。グループ組織である三林公認会計士事務所は会計・税務の専門的知識の提供や税務申告手続きなどを担い、また課題に応じて法律事務所、コンサルティング会社との連携を行いながら顧客の管理部門の成長を支援している。

●奉行EXPRESS 2014年冬号より